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民法/H29本試験問33
lunlu 2017-11-27 20:25:07
H26年合格者です。
旧質問広場では、活発な意見の交換があったように思いますが
新質問広場をザっと見たところ、以前のような活気がないように感じました。
さて、H29本試験問33は、民法知識を横断的に聞いてくる良く練られた
問題だと思いました。
肢の1は、賃借人の費用償還請求
肢の2は、留置権の消滅時効
肢の3は、動産保存の先取特権
肢の4は、事務管理の費用償還請求
肢の5は、不当利得に基づく請求権
聞かれていることもマイナー知識だと思いますが、特に肢の3は、先取特権
について正確な条文知識がないと、むしろ全く勉強していない方がいいくらいの
間違いやすい問題だと思います。
動産保存の先取特権は、民311より、債務者の特定の動産について権利を有します。
したがって、民311より、先取特権を行使できるように判断してしまいそうです。
しかし、肢の3では、債務者とは賃借人のことです。(債務者は所有者ではない)
民303では、先取特権者は、~中略~その「債務者の財産」について優先弁済を受ける
権利を有する。とあります。
つまり、肢の3の機械は、「賃借人の財産ではない」ので、先取特権が使えないわけです。
某大手予備校の有名な講師が、「機械を引き渡してしまったから権利を行使できない」
との趣旨の不適切な解説をされていました。(分析会という限られた制約の中で十分な
解説はできないとは思いますが・・・)
条文の理解と正確な記憶が、いかに大切かを思い知らされる問題だと思います。
肢の5は、転用物訴権についての平成7年判例を聞いているのでしょうが、転用物訴権は
法律構成が複雑で、判旨の言い回しもわかりにくい上に
昭和45年判例(ブルトーザー事件)を実質的には変更したような感じになっており、不当
利得に基づく請求を肯定と判断し、解答してしまっても全然不思議ではないと思います。
問33の問題は、司法・予備試験の短答で出てもおかしくないくらい良い問題だと思いました。