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両者は共に、「目的物の返還を求める」という点で同じです。

しかし、占有回収の訴えは「占有権」、所有権に基づく返還請求は「所有権」
に基づく訴えという根本的な違いがあります。

そこから言えることは、たとえば泥棒Aが占有している盗品を、別の泥棒Bが盗んだとしましょう。
Aは盗品の所有者ではないので、Bに対して所有権に基づく返還請求なんてできません。
しかし、Aは盗品を占有していたので、Bに対して占有回収の訴えを提起することはできます。

では、Aが真の所有者であった場合はどうか。
Aは占有回収の訴えでも、所有権に基づく返還請求訴訟でも好きな方を選んで訴えを提起できます。
また両方提起しても構いません(民法202条参照)。

普通、所有権に基づく返還請求訴訟を提起しないの?と思うかもしれませんが、所有権があることを
容易に証明することができない場合も考えられます。その時には、占有回収の訴えを提起することになります。
あくまで訴訟戦略の問題です。

また、その他の違いとしては、占有回収の訴えは、
①「占有を奪われたとき」しか、提起できない(民法200条1項)→詐取・遺失の場合は提起できない
②侵奪者の特定承継人が善意の時には提起できない(民法200条2項)
③侵奪の時から1年以内に提起しなければならない(民法201条3項)

ですが、所有権に基づく返還請求訴訟の場合にはこのような制限はありません。

単なる事実上の支配に過ぎない占有権と、絶対的支配権たる所有権という
権利の性質から生じる違いと思われます。

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smile0821 2017-01-20 13:45:12



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