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民法/詐害行為取消権
500505 2019-08-02 14:34:34
詐害行為取消権を学んでいて矛盾を感じたので、確認させてください。
詐害行為取消権は自己の債権額の範囲内でのみしか行使できません。
それなのに、取り戻した財産が総債権者のための引き当てとなる、とあります。
これは詐害行為の目的物が不可分の場合以外にも適用されますか?
不可分の債権で価額が債権額を上回るならまだいいのかな、と思うのですが、自己の債権100万を取り戻しても、実際に手元に残るのが少額になるような場合もあるとしたら、せっかく詐害行為取消権を行使したのに、、、としっくりこなくて。
どのように考えればいいのか、教えてください。
よろしくお願いします。
こんにちは。
自己の債権100万を取り戻したら、他の債権者に渡す(按分)必要はないです。
この100万は、元々、債務者の財産なので債務者に返すのがスジであり、その
場合は、この100万は総債権者のための引き当て(按分)になります。
しかし、裁判所は、取消権者が直接引き渡しを受けた場合、他の債権者に分配する
義務も有さず、取消権者の被保全債権と債務者の引渡し請求権が相殺されることに
より、取消権者が「事実上」の優先弁済を受けることを認めています。
詐害行為の目的物が不可分の場合、例えば、建物の場合、取消権者に直接、登記を
移転させることはできず、いったん、債務者名義に戻してから、差押えをして執行
手続きに入ります。建物は金銭に換価され、総債権者のための引き当てになります。
参考になった:1人
lunlu 2019-08-04 19:10:33
lunlu様
ご解説をありがとうございました。
金銭の場合は事実上取消債権者が優先弁済を受けられるようになっているとのこと、すっきりしました。
手持ちのテキストに「優先弁済を受けることはできない」と書かれているのですが、学習上は総債権者のための引き当てになると理解するということですね。
ありがとうございました。
500505 2019-08-05 17:46:09
~補足します~
詐害行為の目的物が不動産のように不可分の場合、原則として、取消権者の被保全債権額を超えて
不動産全体について取消しすることができます(例外もありますが、ここでは複雑なので省略)。
取消権者の権限を越えた行為のように見えますが不動産を分割することは、非現実的なので仕方
ありません。また、債務者の下に不動産を戻すだけなので、結果としても妥当だと思います。
詐害行為の目的物は、元々、債務者の責任財産なので、総債権者の引き当てになるのは当然なんですね。
なので、「総債権者のための引き当てとなる」というフレーズは、意識して記憶するようなものでは本来は
ないんですね(条文の文言でもないですし)。
詐害行為の目的物が金銭や動産の場合、直接引き渡しが受けられる以上、民法で規定されている「相殺」ができて
しまい、それを禁じる規定もないこともあって、「事実上」の優先弁済があるという結論が導かれると考えること
ができます。
元々、相殺には、「担保的機能」が備わっています(例えば、受働債権が差押えされる前に、自働債権が成立していれば、
相殺権者は、差押権者に優先して、弁済を受けられます)。
lunlu 2019-08-06 11:47:29
lunlu様
追加のご説明をありがとうございます。
債務者の財産の保全が目的とのこと、認識が曖昧になっていました。
そう考えると総債権者の引き当てになることは当然で、けれども相殺ができることから事実上優先弁済されることになる、ということですね。
補足くださり、ありがとうございました。
また気づくのが遅く、失礼いたしました。
500505 2019-08-13 15:14:31