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民法/二重譲渡と留置権について
gyouseisyoshi 2020-05-03 12:05:08
標記の件で、留置権の対抗要件は占有になると思いますが、次にあげる「裁判例(最判昭43.11.21)」と「行政書士の過去の試験問題(H27-30-1)」について、占有者の留置権の行使に関して相違があります。その違いについて、教示いただけないでしょうか。よろしくお願いします。
1.【最判昭43.11.21より「留置権は成立しない」】
AはBに土地を売却して引き渡したが登記は移転せず、同土地をCにも売却して登記はCに移転した(土地はCの所有となり、BはAに対して損害賠償できる)。BがCから土地の明渡しを請求された場合、Bが留置権を主張して、Aが賠償金を支払ってくれるまでCに土地を渡さないとはいえない(留置権を行使できない)
※B(第一買主)が占有しているにも関わらず、C(第二買主)に対して留置権を行使できないのはなぜか?
2.【行政書士試験H27-30-1より「留置権は行使できる」】
Aは自己所有の建物をBに売却し登記をBに移転した上で、建物の引渡しは代金と引換えにすることを約していたが、Bが代金を支払わないうちにCに当該建物を転売し移転登記を済ませてしまった場合、Aは、Cからの建物引渡請求に対して、Bに対する代金債権を保全するために留置権を行使できる。
こんばんは~。
留置権が成立するためには、次の4要件を満たす必要があります。
①「他人の物の占有」(同条1項本文)があること
②「その物に関して生じた債権」(295条1項本文)を有すること(債権と物との牽連性)
③「債権が弁済期」(同条1項但書)にあること
④「占有が不法行為によっては始まった場合」(同条2項)でないこと
よって、①の要件を満たすだけでは留置権は成立しません。
質問の両事案は、②の要件にかかわる問題です。
事案2、の代金支払請求権が「その物(=建物)に関して生じた債権」だということは容易に理解できると思います。
一方、事案1、の損害賠償請求権は、Aの債務不履行によって生じた債権であり、「その物(=土地)に関して生じた債権」
ではないということです。
その他、色々な理由付けができますが行政書士試験との関係では、この程度で結論だけ覚えておけばいいと思います。
「二重譲渡事例×、転売事例〇」です。
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smile0821 2020-05-10 23:14:13