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民法/先取特権(動産先取特権)
GsPs 2023-10-09 15:37:39
合格革命2023年度版基本書P454⋆3重要判例
「動産売買の先取特権に基づき、買主がその動産を用いて第三者のために請負工事を行った場合であっても、当該動産の請負代金全体に占める価額の割合や請負人(買主)の仕事内容に照らして、請負代金債権の全部又は一部をもって転売代金債権と同視するに足りる特別の事情が認められるときは、動産の売主はその請負代金債権を差し押さえて物上代位を行使することができる(最決平10.12.18)。」について、事案として請負工事に使われた動産(機械)の売主が請負代金債権に対して動産売買の先取特権に基づく物上代位権を行使できるかと思われますが、判例の内容が必ずしも理解できません。ご教授頂きたく宜しくお願い申しあげます。
転売代金債権の事例と考え方は同じです。
(売主・先取特権者)→(買主)→(第三者)
売買 転売
この場合、売主が転売代金債権を差押えて、動産売買の先取特権に基づく物上代位権を行使できます。
つまり、売主は売買代金を回収するために、転売代金債権から優先的に債権回収に充てることができます。
(動産は第三者の元に残ることになります)
少し理屈を言うと、動産売買の先取特権は民321条より、その動産を換価して代金債権の回収に充てるのが基本です。
ところが、その動産が転売され、第三者に引渡しされた後は、民333条より先取特権を行使できなくなります。
ここで生きてくるのが、民304条の物上代位権です。目的物である動産には手出しができなくなったので、買主である
債務者が受ける転売代金を差押えて債権回収を図ります。
転売代金債権の場合は、条文のみで解決できます。請負代金債権の場合はこれを差押えて物上代位権を行使できるとする
規定がないので、裁判所が考えた理屈が「当該動産の転売による代金債権と同視するに足りる特段の事情がある場合」に
物上代位権を行使できるとするものです。
ちなみに、この判例の事案では、請負人は約2000万で某会社から機械の設置工事を請負ったため、その機械を売主から
約1500万で発注し買いつけています。工事見積書からは機械の金額は約1700万であることが分かっています。
請負代金債権が転売代金債権と同視するに足りる特段の事情があると判断できますね。
この後、某会社は約1500万を供託しているので、売主は物上代位権行使の結果、その供託金から代金債権の回収ができる
ことになります。
いろいろ、ごちゃごちゃ書いてしまいましたが、要は、動産売買の先取特権は、転売代金債権を差押えて物上代位権の行使
が可であり、請負代金債権の場合も転売代金債権と同じに見なせる事案なら物上代位権行使が可というものです。
参考になった:1人
lunlu 2023-11-24 17:47:45
lunlu様
お礼のご返信が遅くなり申し訳ございませんでした。
ここで、あらためて御礼申し上げます。
大変わかりやすく、しかも懇切丁寧寧にご回答を賜り、
lunlu様のご誠実さをも感じ取れます。
今後も、お世話になるかと思いますが、
勉強不足である私のような方々の、
頼もしい存在であって下さることを、
祈念いたしております。
本当にありがとうございました。
GsPs 2024-03-08 09:17:10