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商登法/特別利害関係人と議決権
hinotori 2022-04-10 16:53:40
Q1:代表取締役は、選任(選定:取締役会設置会社)及び解職の場面で、当事者御本人が議決県行使できる・できない結果(会社法第369条2項)の差異を生じる理由が、わかりません?
具体的ケース1)株主総会での選任(非公開会社・被選任者が株主) 2)株主総会での解任(非公開会社・被選任者が株主) 3)取締役会設置会社での選定(公開会社・被選任者が株主に限らない) 4)取締役会設置会社での解職(公開会社・被選任者が株主に限らない)
です。昭和の時代に。銀座老舗デパートのO会長(代表取締役)が、取締役会で、緊急動議による解任事件(商法特別背任事件):O会長は、特別利害関係人に該当するので、議決権を行使できなかった(同席の弁護士に言われた。)と記憶していました。また、最近のN自動車株式会社のG会長さんの退職慰労金を決定するのに、取締役会の決議方法も気になりました。
それぞれ、議決権の行使できる・できないの根拠は、株主(会社のオーナー)・信用をベースにした会社との委任関係(委託信任関係ゆえに忠実義務違反は、NG)と考えてよいでしょうか。議事録作成に於いても、定足数など関係するので、よろしくお願いします。
hinotoriさん、こんにちは。
特別利害関係人が、株主総会においては議決権を行使できるのに対し、取締役会においては議決権を行使できない(369Ⅱ)のは、取締役は株主と異なり、会社に対する忠実義務(会社のために忠実に職務を執行すべき義務)を負うことから、常に自己の利益を離れ、会社の利益のために議決権を行使しなければならず、それが期待できない場合は初めから議決権を行使させないとしたためです(会社法テキストⅠP230)。
取締役会においていかなる決議がなされる場合に、当該取締役が特別利害関係人と判断されるかについては、解釈によるところです(争いがあります)。
そこで、代表取締役の選定につき候補者である取締役が議決権を行使することは、業務執行への参加にほかならず、特別利害関係人には該当しないと一般に解されています(株式会社法 江頭)。
一方、代表取締役の解職決議については、当該代表取締役が私心を去って会社に対し忠実に議決権を行使することは困難であるとして特別利害関係人に該当するというのが判例(最判昭44.3.28)、先例(昭26.10.3第1940号)です。
講師 小泉嘉孝
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koizumi1 2022-04-14 16:43:41
小泉先生、ご回答ありがとうございました。質問事項でのN自動車さんは、指名委員会等設置会社へ移行(2019・01より:当社のIR情報より)しているので、取締役会で、退職慰労金の金額を、ストックオプション含め決定したのだろうと思いました。報酬の一部後払いと考える『退職慰労金』も、解職のケース同様と解釈しました。
試験に結び付く内容の疑問がでてくると思いますので、よろしくお願いします。
hinotori 2022-04-15 13:43:49