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不登法/遺言執行者と更正登記
hinotori 2022-04-08 01:04:41
過去問 H20-24 エ:未登記の不動産の所有者が、死亡して、相続人A及びBによる所有権保存の登記がされ、AとBとの共有とされたが、その後に、Bが包括遺贈により当該不動産の全部を取得しており。かつ、遺言執行者として、Bが指定されていたことが、判明した場合、Bは、遺言執行者兼受遺者として、AからBへの持分の全部の移転の登記を申請できる。 誤り
根拠:①先例:昭和44.10.31ー2337) ②共同申請主義の原則に反するから(AからBへの A持分全部移転登記)パーフェクト過去問集:不動産登記法1 2021版94頁 早稲田経営出版より抜粋引用
上記の解答するときに、遺言執行者の権利義務(民法1012条1項):遺言執行者は、遺言の内容を実現するため、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有する。
を想起して、〇としてしまいました。
試験官の(推定)出題意図は、①先例学習を求めていたのか? ②共同申請の原則を思い出して解答させる意図だったのか?今後の学習指針(解法パターン)としてアドバイスをお願いします。
hinotoriさん、こんにちは。
本肢の場合、実体関係(B単独での所有権取得)と登記(A・B共有)に原始的不一致があったため、A・B共有名義の所有権保存登記をB単独名義とする更正登記又は「真正な登記名義の回復」を原因とするA持分全部移転登記を申請する必要があります。
いずれの場合も、包括受遺者である相続人BはAと共同して申請することができるだけであって、Bが遺言執行者兼受遺者として単独で申請することはできません(昭37.6.28第1717号・昭44.10.31第2337号)。
受遺者が遺言執行者に指定されている場合において、「遺贈」を原因とする所有権移転登記は、登記義務者である遺言執行者は同時に登記権利者である受遺者として登記を申請することができる(大9.5.4第1307号・登研307号)とされていることから、これが問題となります。
しかし、この「遺贈」を原因とする所有権移転登記は、登記申請行為は新たな権利関係を生じさせるものではなく、債務の履行に準ずるものにすぎないという理由で認められているものです。
では、受遺者が遺言執行者に指定されている場合は、いかなる登記であっても当該遺言執行者が単独でその申請ができるのかといえば、そうではないというのが結論です。
本肢は、単純な「遺贈」を原因とする所有権移転登記ではなく(その申請は認められない)、一旦実体とは異なる誤った登記が実行され、これを実体に合致させるための登記を申請する場面ですから、遺言執行者であるBが当然にAを代理して単独でその申請ができるとすると、共同申請主義という登記制度の基本原則に反することになるためです。
上記のように、当該先例は、受遺者が遺言執行者に指定されている場合において、当該遺言執行者が単独で登記を申請することができるケースを認めつつ、それがすべての場面にあてはまるわけではなく、共同申請の原則が適用されることを示したものですから、①先例か、②共同申請の原則かを区別して論じるものではないということになります。
講師 小泉嘉孝
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koizumi1 2022-04-14 14:58:05
小泉先生、 ご回答ありがとうございました。
今回のケースは、1)単なる権利移転の場面ではなく、誤りを正す場面
2)そのことを、登記簿に反映させる(権利の真正を担保する)ために、共同申請が必要であること大変勉強になりました。
現場シーンを想定できるようにしながら、問題に取り組むようにします。
hinotori 2022-04-16 01:04:35