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民法/過去問
nirverna220 2022-10-17 17:21:46
平成十九年第四問
司法書士試験 民法 次の問題が矛盾しています
次の事例に関する次のアからオまでの記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものの組合せは,後記1から5までのうちどれか。
〔事例〕
Aは,平成17年1月30日,Bとの間で,次の約定によりBから100万円を借り受ける旨の契約を締結し,同日,全額の交付を受けるとともに,自己所有の土地建物にBのために抵当権を設定した(抵当権の設定の登記を完了したものとする)。なお,AB間の金銭消費貸借契約には特約は付されていないものとする。
弁済期 平成18年1月30日
利 息 年10パーセント
ア AがBに対して支払うべき利息は,平成17年1月31日から発生する。
誤り。
ウ BがAに対して有する貸金返還請求権の消滅時効は,平成18年1月31日から進行する。
正しい。
エ Aが弁済期にBに対して貸金返還債務を完済しなかった場合には,Bは,Aに対して平成18年1月31日から支払済みまで年10パーセントの割合による遅延損害金の支払を請求することができる。
正しい。
何故、アで利息はその日から発生するといいながら、ウ、エで請求する場合には初日不算入なのでしょうか?
nirverna220さん、こんにちは。
ウの「消滅時効」という期間についても、民法140条が適用され、初日不算入となるというのが判例です(大判昭6.6.9)。
エについては、弁済期が1月30日と定められており、債務者は1月30日の午後12時までに履行すれば債務不履行とはならない(141)ため、債務不履行による損害の発生は、1月31日午前0時からとなります。
アについては、利息は元本利用の対価であると考えるならば、借主がこれを利用できる状況にあることが前提となるため、借主は目的物(金銭)を受け取った日以後の利息を支払うと規定されています(589Ⅱ・最判昭33.6.6参照)。
確かに元本たる目的物を丸一日利用できるわけではないのですが、たとえ丸一日でなくても利用できることに変わりはなく、やはりその対価は支払うべき、とここでは発想します。
第140条
日、週、月又は年によって期間を定めたときは、期間の初日は、算入しない。ただし、その期間が午前零時から始まるときは、この限りでない。
第141条(期間の満了)
前条の場合には、期間は、その末日の終了をもって満了する。
まず、原則をおさえ、例外が出てきた場合は、その考え方を理解し、覚えるしかありません。
矛盾する点を認めながら、柔軟に発想することこそ、法律を学ぶコツだといえます。
講師 小泉嘉孝
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koizumi1 2022-10-18 17:33:45