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保全法/保全抗告について
takugin97 2022-11-16 21:45:36
皆様、よろしくお願いします。
次の過去問についてです。
(平成30年第6問肢オ)保全抗告についての裁判に対しては、更に抗告をすることができる。
答え…誤り。民保法第41条第3項「保全抗告についての裁判に対しては、更に抗告をすることができない」
単純に考えれば、条文どおりの出題と思います。
一方、最決平成11年3月12日では「高等裁判所のした保全抗告についての決定は、許可抗告の対象となる」とされています。
そのため、誤りと断定してしまうことは、疑問を感じます。
どのように考えるべきなのでしょうか。どうかご指導ください。
takugin97 さん こんにちは
Q:判例と条文の関係として:民保法第41条第3項「保全抗告についての裁判に対しては、更に抗告をすることができない」と最決平成11年3月12日では「高等裁判所のした保全抗告についての決定は、許可抗告の対象となる」とされています。どうして?
A:理由1.民事保全法の特質 1)付随性(従属性) 2)暫定性(仮定性):請求権は、未だ確定していない。3)迅速性(緊急性) 4)密行性 5)救済の簡易迅速性以上、『民事執行・保全 藤田 広美 先生 著 羽鳥書店刊より引用)の趣旨から、上記条文が、規定されています。
2.許可抗告 民事訴訟法337条の趣旨:法令解釈の統一性(例:売却の処分の相手方:民事執行法55条や担保権の存在を証明する文書の意義:民事執行法193条など)かつ、最高裁判所の負担軽減のための制度。以上、、『民事訴訟法 伊藤眞 先生 著 有斐閣刊 第三版 再訂版)より引用
いわば、例外・レアなケースを想定していますね。
3.解答の判断基準:1)条文(まず、文言)>制度趣旨>判例・先例 2)学説:通説 3)組合わせ:他肢との関係 4)最後は、多数派意見:受験生を想定だと考えています。
結論:条文(原則)制度趣旨>判例(例外)となります。なお。当該判例は、判例六法掲載から確認しました。判例百選:民事執行・保全法ですね。民事訴訟法の本記述が多かったです。後日、事件の概要も確認したいと思います。
*過去問を検索しましたが、該当肢は、『民事執行と保全命令の債務者への送達時期は?』になっていました。特にこの科目は、ピンポイントで考えると難しいですね。最近、思考パターンとして、小林亜星 先生『この木何のんき、気になる木』の『丘の大きな木』CM思い出すようにしています。先生は、慶応大学医学部に入学していたんですね。
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hinotori 2022-11-17 16:24:55
hinotoriさん
ご指導有難うございます。
まず、過去問の引用が間違っておりました。失礼しました。
正しくは、次のとおりです。
民事保全法 平成5年第2問肢5 保全抗告についての裁判に対しては、更に抗告をすることができる。
結論として条文(原則)制度趣旨>判例(例外)と考えるのですね。よく理解できました。
一方、作曲家の小林亜星氏の例え話はよく分かりませんでした…。
ご多用中にもかかわらず、丁寧な回答をいただき、重ねてお礼申し上げます。
takugin97 2022-11-17 21:37:12
takugin97さん、こんばんは。
最決平成11.3.12のポイントは、「許可抗告」(民訴337)は、法令解釈の統一を図るという立法趣旨を有しているので、これは特別(例外的)に認められるというところにあります。
つまり、「通常抗告」とは取扱いが異なるというところが論点となるため、「許可抗告」という文言が使用されず、単に「保全抗告についての裁判に対しては、更に抗告をすることができない。」という問題であれば、それはまさしく民保41条3項がそのまま問われているものと考えます。
逆に、上記判例を論点とする問題には、必ず「許可抗告」という文言が使用されているといえます。
講師 小泉嘉孝
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koizumi1 2022-11-19 23:31:09
小泉先生
直々にご指導を賜り、有難うございます。
そして、お礼が遅れてしまいましたことをお詫び申し上げます。
立法趣旨から出題の意図まで解かり易い解説を有難うございました。
許可抗告が論点となるときは、その文言が使用される、と考えるべきなんですね。
改めて感謝申し上げます。
takugin97 2022-12-07 22:24:02