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yui0421さん、こんばんは。

①について
 287条1項は、「控訴が不適法でその不備を補正することができない」ことが「明らか」であるときに、第一審裁判所が決定で却下するものです。290条と異なり「明らか」であることが要件となります(つまり、形式的に簡単に判断できる場合に限られます)。
全部勝訴していて控訴の利益が認められない場合や控訴期間を経過している場合等がこれにあたります。

上記のように「控訴が不適法でその不備を補正することができない」ことが「明らか」な場合には、第一審裁判所は控訴を却下しなければならないと規定されていますが、仮に第一審裁判所がこの要件を満たさないと判断し、却下がなされないこともありえます。
しかし、このような場合であっても、290条により控訴裁判所は、口頭弁論を経ずに判決で控訴を却下することができるようになっています。
ここは第一審裁判所がこの要件を満たさないと判断したものを控訴裁判所が改めて判断するというものですから、今度は「判決」という形式にしていますが、「控訴が不適法でその不備を補正することができない」ことに変わりはないわけですから、控訴が不適法却下となる結論は同じであり、口頭弁論を開かずとも当事者に不利益はなく、また無意味であるということになります。


②について
 「判決」と「決定」は裁判所が行う裁判であり、「命令」は裁判官(裁判長・受命裁判官・受託裁判官)がする裁判です。

 「判決」は、重要な事項につき、慎重に判断する場合になされます(原則として、口頭弁論は必要)。
 特に訴訟についての終局的又は中間的な判断を行う場合に用いられます。

 ex.「裁判所は、訴訟が裁判をするのに熟したときは、終局判決をする。」(243Ⅰ)
   「裁判所は、訴訟の一部が裁判をするのに熟したときは、その一部について終局判決をすることができる。」(243Ⅱ)
   「裁判所は、独立した攻撃又は防御の方法その他中間の争いについて、裁判をするのに熟したときは、中間判決をすることができる。」(245)
   「裁判所は、判決に法令の違反があることを発見したときは、その言渡し後一週間以内に限り、変更の判決をすることができる。」(256Ⅰ)


「決定」は、上記判決事項以外について、簡易迅速に判断する場合になされます(原則として、口頭弁論は任意)。
 訴訟指揮としての処置、付随事項の解決、民事執行・民事保全に関する事項等を対象にします(ただし例外あり)。

「決定」で行うと明確に定めてある場合もありますが、明確に定められていなくとも、上記判決事項以外で、主語が「裁判所は」となっており、「・・・命ずることができる」「取り消すことができる」等となっていれば、「決定」の方式によるものになります。

 ex.「合議体の構成員である裁判官及び地方裁判所の一人の裁判官の除斥又は忌避についてはその裁判官の所属する裁判所が、簡易裁判所の裁判官の除斥又は忌避についてはその裁判所の所在地を管轄する地方裁判所が、決定で、裁判をする。」(25Ⅰ)
   「当事者が補助参加について異議を述べたときは、裁判所は、補助参加の許否について、決定で、裁判をする。」(44Ⅰ)
   「裁判所は、口頭弁論の制限、分離若しくは併合を命じ、又はその命令を取り消すことができる。」(152Ⅰ)
   「裁判所は、終結した口頭弁論の再開を命ずることができる。」(153)

以上のような基準で区別されていますが、「判決事項以外で」との基準は、結局何が判決事項以外になっているのについて覚えておかなければ、その当てはめができないということになります。
メジャーな部分は覚えておくべきですが、必要以上に神経質にならなくてもよいと考えます。  

講師 小泉嘉孝
  

参考になった:8

koizumi1 2023-05-19 23:13:01

小泉先生、ご丁寧なご解説大変感謝致します。
以前に比べ、かなり理解は深まりましたので、先生のご指摘どおり、ひとまずメジャーな箇所を抑えるようにしたいと思います。

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yui0421  2023-05-20 08:38:56



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