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不登法/根抵当権の一部譲渡について
takugin97 2023-03-08 21:34:27
皆様、よろしくお願いします。
根抵当権の一部譲渡に係る考え方をご教授ください。
一部譲渡の際は、次のとおりと思います。
① 設定者の承諾は、必要
② 転抵当権者がいる場合、その者の承諾は不要
①は納得できるのですが、②がよく分からないのです。
自分では、次のように考えました。
一部譲渡をすることにより、新たに共有者となる者の被担保債権がより不安定になる可能性がある。
あるいは、その逆も考えられる。
根抵当権を実行する際には、債権者各々の債権額に按分比例して配当されるわけなので、
債権者の管理の程度で差が生じてくる。
そのため、転抵当権者としては、無断で共有者を増やされたくない。
よって、転抵当権者の承諾は必要である。
上記、どこか間違いがあるのではと思うのですが、いかがでしょうか。
ご指導をお待ちしています。
A:前提として、元本確定前の抵当権は、付従性・随伴性がない(債権との結びつきない)。そのため、債権とは、関係なく、根抵当権を第三者に譲渡することができる。この場合の『譲渡』は、抵当権の処分(民法376条1項)とは異なる。
『根抵当権』そのものが、移転することであり、譲渡人が、根抵当権者となる。
結論(理由):根抵当権の一部譲渡:転抵当権者にとって、原抵当権に対する法律的価値(担保価値)は、『極度額』は変わらないから。『極度額』は、減少してない。
根抵当権の譲渡のパターン 1)全部譲渡(民法398条の12第1項)
2)分割譲渡(民法398条12第2項):同順位の別個独立した根抵当権である。
3)一部譲渡:共有根抵当権である。
(民法398条の13)*登録免許税:極度額を一部譲渡後の共有者の数で除した額の1000分の2を納付します。
(登録免許税法:別表1.1.(7))
具体的なケースとして
根抵当権者G(極度額1000万円)・債務者S・設定者A・受益者Xとすると、GXが、極度額1000万円の根抵当権を準共有(民法264条)する。持分率は、当事者の合意がなければ債権額に応ずる。
参考:これに対して、
1)全部譲渡:Xが極度額1000万円の根抵当権の単独権利者となる。根抵当権者の変更(GからX)に伴い、①担保債権の変更も必要となる。➁譲渡は、譲渡人(G)と譲受人(X)の合意のほか、③設定者(A)の承諾を必要とする。
2)分割譲渡:Gが極度額の4割をXに譲渡すると、Gが極度額600万円、Xが400万円の同順位の根抵当権を取得する。
さらに、上記①+➁+③+④:転抵当権者の承諾:根抵当権を目的とする権利を有する者の承諾も必要である。
*上記1)及び2)被担保債権から完全に切り離して、根抵当権を譲渡することを認めたもので、普通抵当権にない制度です。
以上、回答に際し、民法Ⅲ 債権総論・担保物権法・内田 貴 先生著 東京大学出版会を参考(引用)しました。
参考になった:5人
hinotori 2023-03-10 15:41:17
hinotori さん
いつもご指導有難うございます。
仰るとおり、転抵当権者にとって、原抵当権に対する法律的価値(担保価値)は、『極度額』は変わらないから。 と考えると説得力がありますね。
学術書までご参照のうえご回答いただき、恐れ入ります。
さらに、全部譲渡や分割譲渡との対比まで示してくださり、勉強になりました。感謝申し上げます。
今後ともよろしくお願いします。
takugin97 2023-03-10 20:20:05