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不登法/登記原因「合意」について
hotaru0902 2023-08-22 10:47:03
抵当権の順位変更や指定債務者の登記などはなぜ原因を「合意」とするのでしょうか?
「合意」がアリなら「意思表示到達」とかもアリな気がします。
「売買」「譲渡」など具体的な契約の種類を書くものと「合意」とするものの違いはなんですか?
hotaru0902さん、こんにちは。
登記原因とは、「登記の原因となる事実又は法律行為」のことをいいます(不登5Ⅱ)。
「登記の原因となる事実」とは、相続や時効取得等がこれに該当します。
「登記の原因となる法律行為」とは、売買契約や贈与契約等がこれに該当します。
実際には、「年月日売買」や「年月日贈与」としているのは、「契約」の文字が省略されているということになります。
なお、「譲渡」というのは、有償無償を問わず、特定の権利や財産を他人に移転させることを意味するもので、売買も贈与もここに含まれます。
つまり、包括的なものであり、具体的な法律行為を示す文言ではありません。
抵当権の順位変更については、民法374条1項で「抵当権の順位は、各抵当権者の合意によって変更することができる。」と規定されているため、ここでの法律行為は、「抵当権の順位を変更することについての各抵当権者の合意」ということになりますが、これを「合意」と略していることになります。
また、根抵当権の指定債務者の合意については、民法398条の8第2項で「元本の確定前にその債務者について相続が開始したときは、根抵当権は、相続開始の時に存する債務のほか、根抵当権者と根抵当権設定者との合意により定めた相続人が相続の開始後に負担する債務を担保する。」と規定されているため、ここでの法律行為は、「債務者について開始した相続につき、ある相続人が相続の開始後に負担する債務を根抵当権で担保することについての根抵当権者と根抵当権設定者の合意」ということになりますが、これを「合意」と略していることになります。
したがって、抵当権の順位変更も根抵当権の指定債務者の合意も、それぞれ実体法(民法)の規定に「合意」と文言が存在しているからこそ、登記原因に使用されているということであって、単独行為と合同行為を除くすべての法律行為に使用できるというわけではありません。
講師 小泉嘉孝
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koizumi1 2023-09-01 14:39:41