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前提として、
Ⅰ:募集株式の発行等の類型:1)株主割当て(202条)
             2)上記以外のもの>:①公募増資(株式会社が、不特定多数の者に募集株式を取得させる) ②第三者割当増資:特定の第三者に募集株式を取得させる

Ⅱ募集株式の発行等に必要な手続き(以下、各構成要素の組み合わせ;マトリック表)
分類
大分類1.1)公開会社2)非公開会社 
中分類:2.1)通常の株式の発行等2)譲渡制限株式の発行等 
    3.1)株主割当て 2)第三者割当(>①通常の発行 ②有利発行)

*種類株式の場合:株主割当て:A種類株主に割り当てるのは、A種類株式でないと、株主割当てにならない。持ち株数に応じていたとしても。
第三者割当:A種類株式に、B種類株式が割り当てられたケース 
解法として、マトリック表に当てはめると、種類株式の『第三者割当』について
御質問のケース:パターン1:公開会社で譲渡制限株式を発行等している場合:第三者割当>通常発行等 決議要件:取締役会決議(201条1項)+種類株主総会特別決議(199条4項・324条2項2号4号)
パターン2: 公開会社で譲渡制限株式を発行等している場合                      >有利発行 決議要件:株主総会の特別決議・理由の説明(199条1項2項3項・201条1項・309条2項5
                                         号)+種類株主総会特別決議(199条4項・309条2項2号4号)
 パターン3:非公開会社で、譲渡制限株式を発行等している場合 :通常発行等  決議要件:株主総会特別決議(199条1項2項・309条2項5号)+種類株主総会特別決議(199                                                       条4項 324条2項2号4号)
パターン4: 非公開会社で、譲渡制限株式を発行等している場合 通常発行等:募集事項の決定を委任: 株主総会の特別決議(200条1項)+種類株主総会特別決議’200条4項・324条2項2号4号)

パターン5:非公開会社で、譲渡制限株式を発行等している場合 有利発行: 株主総会の特別決議・理由の説明(199条1項2項3項・309条2項5号)+種類株主総会特別決議(199条4項・324条2項2号4号)
                                                    
以上、種類株主総会特別決議については、定款で排除可能です。

いずれにせよ、結論:種類株主総会の特別決議必要ですね。小泉先生著テキスト 会社法Ⅱ3章 資金調達で、詳細に書かれています。
参考文献:1.会社法 田中 亘先生著 第4版 東京大学出版会 2.商業登記ハンドブック題4版 松井信憲先生著 商事法務 3.リアリスティック会社法Ⅱ松本雅典先生著 辰巳法律研究所 4.択一完全整理六法 商法 LEC
 以上です。






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hinotori 2023-10-04 01:20:39

hinotori さん
 
 ご回答を有難うございます。
 5パターンもあるのですね。多岐に及ぶ知識が素晴らしいと思いました。

 重ねて教えていただきたいのは、第三者割当においても、他の種類株主に損害を及ぼすケースはあり得るのではないかということです。
 株主割当では、ある種類株主に損害を及ぼすケースがある→そのためその種類株主の決議が必要 となることは理解できるのですが、
 一方で、第三者割当では、そのケースが想定されておらず、被害が生じるかもしれない種類株主総会の決議も求められていないことが不思議なのです。

 ご指摘いただいた、「種類株主総会の特別決議が必要」の結論にたどり着く前段階かもしれませんが、
 ご存じでしたらご指導お願いします。

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takugin97  2023-10-04 22:36:23

以下は、会社法の立案担当者の一人、
葉玉さんのブログからの引用です。

「発行可能株式総数・発行可能種類株式総数の範囲内で、通常の募集をやる場合には、種類株主総会はいらないのです。

 確かに、配当優先株式を追加で1000株募集するときには、普通株主は、その分、配当が減るので「損害を及ぼすおそれ」はありますが、
  定款で定められた発行可能種類株式総数の範囲内の発行については、普通株式も不利益を覚悟しておくべきである
という価値観から322条1項各号には、通常の募集株式の発行は、列挙されていません。」引用終わり

ここで「通常の」と言われているのは、株主割当以外ということです。

引用元のブログ「会社法であそぼ」は古いものですが現存なので、
「入門】募集株式の発行(3)」
で検索してみましょう。

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kilroy2016 2023-10-06 01:37:48

kilroy2016 さん

 ご回答いただき有難うございます。

 「会社法であそぼ」を検索しました。立法趣旨まで言及いただき、感謝申し上げます。
 
 確かに、発行可能種類株主総数の範囲内であれば、不利益は覚悟すべきですね。
 一方、その不利益は、株主割当でも第三者割当でも変わらないのではないか、とも感じたところです。

 理解が悪くて申し訳ありません。

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takugin97  2023-10-09 17:07:28

takugin97さん、こんばんは。

第三者割当てでは、種類株式発行会社において、募集株式の種類が譲渡制限株式であるときは、その募集事項の決定には、当該種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会の決議(特別決議)が必要となります(199Ⅳ・324Ⅱ②)。

これは、当該種類株主にとって持株比率の低下の問題が生じるためです。
これは、たとえばA種類が譲渡制限株式で、当該A種類の株式を発行する場合に、既存のA種類の株式を有する種類株主を構成員とする種類株主総会の決議が要求されるというものであり、他の種類の株式を有する株主による種類株主総会ではありません。

「第三者割当においても、他の種類株主に損害を及ぼすおそれはあると思います。」というのは、具体的にどのような場面を想定されているのでしょうか。

講師 小泉嘉孝


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koizumi1 2023-10-07 18:29:15

小泉先生

 直々にご指導を有難うございます。

 「第三者割当においても、他の種類株主に損害を及ぼすおそれはあると思います。」というのは、具体的にどのような場面を想定されているのでしょうか。
 →①A種類株式を構成員とする種類株主に第三者割当でA株式が大量に発行された場合、議決権に差が生じ、相対的にB種類株主の低下を招く。
  ②これは、B種類株主に損害が生じるため、B種類株主総会の議決が必要である。
  この流れは、A種類株主への株主割当で第三者割当でも、同じことが言えるのではないかと考えました。

  よろしくお願いいたします。
 

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takugin97  2023-10-09 17:03:44

takugin97さん、こんばんは。

第三者割当てにおいて、既存の株主(B種類株主)が自己への割当てがなされず、持株比率が低下する不利益については、市場等で当該株式(B種類株式)を買い増せば足りるということになります。

B種類が「譲渡制限株式」で、当該B種類の株式を発行する場合に、既存のB種類の株式を有する種類株主を構成員とする種類株主総会の決議が要求されるのは、譲渡制限株式については、たとえ既存の株主であっても、新たに当該種類株式を取得するには、(これと異なる定款の定めがない限り)会社の承認を得なければならず、どれだけ資金を用意しようとも、自分ではどうにもならない部分が含まれているためです。

したがって、譲渡制限株式以外の株式が第三者割当てにおいて募集される場合は、持株比率低下の要素について、特別な手当ては考慮する必要はないということになります。

講師 小泉嘉孝

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koizumi1  2023-10-09 18:40:12

小泉先生

 重ねてのご指導、本当に有難うございます。

 申し訳ありませんが、自身の力不足でどうしてもよく分からない点が残っています。

第三者割当てにおいて、既存の株主(B種類株主)が自己への割当てがなされず、持株比率が低下する不利益については、市場等で当該株式(B種類株式)を買い増せば足りるということになります。
→市場で買い増せば足りる、とは盲点でした。
 
一方、この論理は、株主割当・第三者割当で共通しないのでしょうか。
①A株主に株主割当がされて、B種類株主への割当なし。B種類株主の持ち株比率が低下するが、B種類株主は、市場等で買い足せば足りる。
②A株主に第三者割当がされて、B種類株主への割当なし。B種類株主の持ち株比率が低下するが、B種類株主は、市場等で買い足せば足りる。

こう考えてしまうと、やはり「A種類株主への株主割当のときは損害が及ぶ可能性のあるB種類株主の議決が必要だが、A種類株主への第三者割当のときはB種類株主の議決は不要」となる理由が分からないのです。

どうかよろしくお願いいたします。

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takugin97  2023-10-10 22:01:47

takugin97さん、こんにちは。

まず、「特定の株主A」に対してのみ募集株式の発行を行う場合は、「株主割当て」ではなく、「第三者割当て」になります。
ここでは、上記のとおり、発行される株式が譲渡制限株式以外であれば、他の株主の持株比率の低下については、特別な手当ては考慮する必要はありません。

次に、A種類とB種類を発行している株式会社において、A種類株主のみに募集株式(A種類)の割当てを行う場合は、「株主割当て」になります(株式会社法 江頭)。この場合に、A種類株主については、持株数に応じて割当てがなされているため、これを引き受けることで持株比率を維持することができますが、B種類株主については、当該会社が発行する株式全体の中で相対的な比率の低下を生じる要素があります。

しかし、種類株式については、その内容と発行可能種類株式総数が定款で定められており、その範囲内でのA種類株式の発行は、B種類株主も事前に了承しているといえます。
また、B種類株主は、市場等で買い増すことによって、持株比率を維持できるというのは、ここでも一切当てはまらないとはいえません。

では、一方で上記が会社法322条1項の「ある種類の株式の種類株主に損害を及ぼすおそれがあるとき」に該当する余地はないかというと、そうとも言い切れないと考えます。
確かに、種類株式発行会社が、株主割当てにおいて株式の種類ごとに異なる取扱いをすることは認められています(202Ⅰ①)が、異なる取扱いをしても、いずれかの種類の株主の損害を防止することが困難な場合(定款上も各種類株式の取扱いの明記がない場合)には、種類株主総会の決議が必要となります。

ただ、この「ある種類の株式の種類株主に損害を及ぼすおそれ」とは、その行為が外形的・客観的に他の種類の種類株主に損害を及ぼすおそれがある場合のみを指すと解されていますが、具体的に列挙されているわけではないので、一律には判断できません。


結局のところ、試験対策上は条文に沿って考えるしかなく、かつ、それで足りるということになります。

① 株主割当て
 種類株式発行会社が株主割当をする場合にある種類の株式の株主に損害を及ぼすおそれがあるときは、当該種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会の特別決議が必要(会社322Ⅰ④・324Ⅱ④) 。

② 第三者割当て
 種類株式発行会社において、募集株式の種類が譲渡制限株式である場合、その募集事項の決定には、当該譲渡制限株式の種類株主を構成員とする種類株主総会の特別決議を要する(会社199Ⅳ・324Ⅱ②)。

結論1
①について、具体的場面を想定、判断することは困難。

結論2
①の規定は、株主割当てについてのみ適用され、第三者割当てには適用なし。

結論3
②の規定は、第三者割当てにおいて、募集株式の種類が譲渡制限株式である場合にのみ適用され、それ以外には適用なし。

講師 小泉嘉孝

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koizumi1  2023-10-11 16:36:38

小泉先生

 毎回、有難うございます。理解の遅い自分に懇切丁寧にお付き合いくださり、感謝申し上げます。

 発行される株式が譲渡制限株式以外であれば、他の株主の持株比率の低下については、特別な手当ては考慮する必要はありません。
 →⑴ A種類株主にだけ株主割当がされた場合、B種類株主の持ち株比率が低下するわけですね。そのため、不利益が及ぶB種類株主の決議が必要となることは理解できました。
  そう考えますと、
  ⑵ A種類株主にだけ第三者割当がされた場合、やはりB種類株主の持ち株比率が低下するため、B種類株主の決議が必要となる。  ←違う!B種類株主の決議は不要!

  上記のとおり、⑴株主割当ではB種類株主の決議が必要だが、⑵第三者割当では不要 と差が生じる理由(背景あるいは立法趣旨とでも言うのでしょうか)が理解できないのです。

 同様に、
 結論2
 ①の規定は、株主割当てについてのみ適用され、第三者割当てには適用なし。
 →上記のとおり、第三者割当には適用がない理由が分かりません。条文上そうなっていると言えばそのとおりですが、できればその背景あるいは立法趣旨を知りたいと思いました。

 勝手な想像ですが、自分なりに次のように考えました。
  ア A種類株主にのみ株主割当がされた場合は、B種類株主との利害を調整する必要性が大きい。   理由:既存の株主間のバランスが重要である。
  イ A種類株主にのみ第三者割当がされた場合は、B種類株主との利害を調整する必要性は大きくない。理由:思いつきません…。

 あまり理由等にこだわらず、割り切ったほうがよろしいのでしょうか。

 ご指導をお待ちしています。

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takugin97  2023-10-11 22:17:52

takugin97さん、こんにちは。

まず、「発行される株式が譲渡制限株式以外であれば、他の株主の持株比率の低下については、特別な手当ては考慮する必要はありません。」というのは、第三者割当てについてです。

「⑴ A種類株主にだけ株主割当がされた場合、B種類株主の持ち株比率が低下するわけですね。そのため、不利益が及ぶB種類株主の決議が必要となることは理解できました。」
⇒ ここでは、B種類株主による種類株主総会の決議が必要となる可能性がある(322Ⅰ)というだけで、常にその決議が必要になるという意味ではありません。会社法322条1項の「ある種類の株式の種類株主に損害を及ぼすおそれがあるとき」というのが、具体的にどの場面を指すのかは明確になっていません。
そこで、記述式の問題文においては、「A種類株主にだけ募集株式の割当がなされた」とだけ示されても、通常は322条1項の種類株主総会が必要か否かは判断できないため、「当該割当は、他の種類株主に損害を及ぼすおそれがあるものである」、「当該割当は、他の種類株主に損害を及ぼすおそれはない」等の指示がなされているはずです。

「 ⑵ A種類株主にだけ第三者割当がされた場合、やはりB種類株主の持ち株比率が低下するため、B種類株主の決議が必要となる。  ←違う!B種類株主の決議は不要!」
⇒ A種類とB種類を発行している株式会社において、A種類株主のみに募集株式(A種類)の割当てを行う場合は、「第三者割当て」ではなく、「株主割当て」になります。したがって、「A種類株主にだけ第三者割当てがされた場合」というものを考えることはできません。

会社法322条1項で「ある種類の株式の種類株主に損害を及ぼすおそれがあるとき」に種類株主総会の決議を要するとしているのは、種類株式発行会社が、一定の行為をなす場合にそれがある種類の株主に不利益となるときは、当該行為につき株主総会の決議を要するものであったとしても、多数派株主によって承認されてしまう可能性があるため、種類株主総会の決議も要求することで、当該不利益を受ける種類株主の保護を図ろうとするものです。
もちろん、根底には株主平等原則があり、種類株式がその例外であっても、一定の場面では、不利益を受ける少数派株主に対する手当てを行っているということになります。
そこで、株主割当てにおいて株式の種類ごとに異なる取扱いをすることは認められています(202Ⅰ①)が、異なる取扱いをしても、いずれかの種類の株主の損害を防止することが困難な場合(定款上も各種類株式の取扱いの明記がない場合)には、種類株主総会の決議が必要となります。

一方、第三者割当てについては、特定の株主Aに対してのみ募集株式の発行を行う場合は、「株主割当て」ではなく、「第三者割当て」になりますが、このケースで考えるとイメージしにくいと思いますので、既存株主以外の特定の者に第三者割当てがなされたケースを想定してください。
この場合は、当該第三者は株主ではないため、割当ての手続を行う上で、そもそも株主平等原則を考慮する必要はなく、また、多数派株主が自分達が利益を受け、少数派に不利益を与える決定をしてしまうということも考える必要がありません。
そこで、上記のような趣旨はあてはまらず、会社法322条1項の「ある種類の株式の種類株主に損害を及ぼすおそれがあるとき」に種類株主総会の決議を要するという規定に対応するものは存在していないということになります。
しかし、発行される種類株式が「譲渡制限株式」である場合に、既存の当該種類株式の株主については、持株比率の維持という問題が生じるため、種類株主総会の決議を要するという別の規定(199Ⅳ・324Ⅱ②)が用意されているということになります。

講師 小泉嘉孝



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koizumi1  2023-10-12 17:15:30

小泉先生

 連日、丁寧なご指導を有難うございます。
 ここまでお付き合いくださるのは、先生しかいらっしゃらないと思います。敬服の至りです。

 ご指導において、再度確認をお願いしたい部分がございます。 

A種類とB種類を発行している株式会社において、A種類株主のみに募集株式(A種類)の割当てを行う場合は、「第三者割当て」ではなく、「株主割当て」になります。したがって、「A種類株主にだけ第三者割当てがされた場合」というものを考えることはできません。
→浅学の身で、第三者割当、株主割当を誤解していたのかもしれません。

 そう考えると、次の3段論法には、どこで誤りが生じているのでしょうか。
 (A種類株式も、B種類株式も譲渡制限なしのとき)
 ① A種類株主の構成員が甲氏と乙氏、B種類株主の構成員が丙氏と丁氏である。このとき、甲氏のみにA種類株式を多く割当てる。これは第三者割当である。 ← これは、株主割当でしょうか!?
 ② 結果、乙氏には割当てがないものの、総数ではA種類株式数は増加することになる。その一方で、B種類株主(丙氏と丁氏)の相対的低下を招く(不利益を及ぼす)恐れがある。
 ③ よって、B種類株主の決議が必要となることがある。

 ご都合のつくときで構いませんので、ご教示くださるようお願い申し上げます。

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takugin97  2023-10-12 22:56:29

takugin97さん、こんばんは。

A種類株主のうち、甲氏のみに割当てがなされ、乙氏には割当てがないのであれば、特定の株主への割当てとなるため、「第三者割当て」となります(A種類株主の全員にその持株数に応じて割当てがなされた場合は、「株主割当て」となります)。

これは、甲氏以外の株主にとって、相対的に持株比率の低下を生じさせることになります。

しかし、甲氏以外の株主は、市場等で株式を買い増すことでこれを解消できるため、別途、種類株主総会の特別決議は要しないということになります。

講師 小泉嘉孝

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koizumi1  2023-10-13 23:13:35

小泉先生

 ご多用中、遅い時間にもご対応いただき、有難うございます。
 お手数をおかけしてしまい申し訳ございません。

 第三者割当と株主割当についてもご教示いただき、有難うございます。
 そして、「市場で買い増すこともできるから、特に対応は不要」と勉強になりました。

 失礼ながら、最後に、1つだけお願いできませんでしょうか。 
 先の事例では、”A種類株式もB種類株式も譲渡制限なし”の場合でした。
 
 同じ事例で、”B種類株式のみが譲渡制限あり”の場合です。
 A種類株主のうち甲氏にのみ第三者割当で多数の株式が発行されたときは、
 「B種類株主の丙丁は市場で自由に買い増すことができない。よって、(損害が及ぶ恐れがあるときは)彼らの決議が必要」と結論は変化するのでしょうか。

 何卒、ご指導をお願いします。

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takugin97  2023-10-14 21:07:22

takugin97さん、こんばんは。

A種類株主のうち甲氏にのみ第三者割当がなされた場合は、B種類株主の丙丁についても、持株比率低下の不利益が生じる可能性がありますが、B種類が「譲渡制限株式」で、既存のB種類の株式を有する種類株主を構成員とする種類株主総会の決議が要求されるのは、今回募集の対象となっている株式がB種類株式(譲渡制限株式)の場合に限られています(会社199Ⅳ)。
A種類株式は譲渡制限株式ではないため、その対象となりません。

B種類株式のみが譲渡制限株式ということは、公開会社ということになりますが、そもそも公開会社では、譲渡制限株式以外の株式の発行を行うについて、通常、当該株式の既存株主は、持株比率の維持に関心を有していないといえます。

もちろん、既存株主の全員が関心がないとは言い切れませんが、既存株主の有する株式が譲渡制限株式でなければ市場等で買い増せば足り、既存株主の有する株式が譲渡制限株式であれば市場等で自由に買い増すことはできませんが、その部分につき、会社法上、特別な手当てをする規定は存在していないということになります。

もう一度、以下の内容を確認し、あてはめをしてみてください。

① 株主割当て
 種類株式発行会社が株主割当をする場合にある種類の株式の株主に損害を及ぼすおそれがあるときは、当該種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会の特別決議が必要(会社322Ⅰ④・324Ⅱ④) 。

② 第三者割当て
 種類株式発行会社において、募集株式の種類が譲渡制限株式である場合、その募集事項の決定には、当該譲渡制限株式の種類株主を構成員とする種類株主総会の特別決議を要する(会社199Ⅳ・324Ⅱ②)。

結論1
①について、具体的場面を想定、判断することは困難。

結論2
①の規定は、株主割当てについてのみ適用され、第三者割当てには適用なし。

結論3
②の規定は、第三者割当てにおいて、募集株式の種類が譲渡制限株式である場合にのみ適用され、それ以外には適用なし。


講師 小泉嘉孝





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koizumi1  2023-10-15 14:34:55

小泉先生

 ご指導有難うございます。

 お示しいただいた次の文には、なかなかたどり着くことができませんでした。ようやく納得することができました。

もちろん、既存株主の全員が関心がないとは言い切れませんが、既存株主の有する株式が譲渡制限株式でなければ市場等で買い増せば足り、
既存株主の有する株式が譲渡制限株式であれば市場等で自由に買い増すことはできませんが、その部分につき、会社法上、特別な手当てをする規定は存在していないということになります。
 
 ① B種類株式が公開株式  …B種類株主は市場で買い増す手段がある。よって、B種類株主総会の決議は不要である。
 ② B種類株式が譲渡制限株式…B種類株主は買い増す手段がないが、これを手当てする規定がない。   
 よって、A種類株主の甲氏に第三者割当割当がされても、B種類株主総会の決議は不要である。

 (ただし、②の「手当てする規定がない」ことは、B種類株主の保護を欠くという疑問は残ります。制度上の不備でしょうか。)

 たびたびお手数をかけてすみませんでした。
 ここまでお付き合いをくださり、再度、心よりお礼申し上げます。
 

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takugin97  2023-10-15 23:07:24

 takugin97さん
一旦、リセットして、シンプル思考でいきましょう。
1.種類株主総会と第三者割当の関係のイメージ:黒船来航:1853年7月鎖国状態の江戸幕府(種類株主総会)にペリー提督が、(第三者割当された者)が、黒船で、浦賀へ来航して、江戸幕府に開国を迫った。翌年、日米和親条約を締結した。
*敵対的買収とアクティビスト・太田洋弁護士著(岩波新書)を読んでいて、先生は、『敵対的買収者』を『黒船』としてイメージされてました。

2.株主の権利として
 1)自益権:会社から、直接経済的な利益を受けることを目的とする権利:EX:剰余金配当請求権(105条1項1号)・
 残余財産分配請求権(105条1項2号)など
2)共益権:会社の経営に参画することを目的とする権利:EX:株主総会における議決権(105条1項3号)や、会社の運営を監督是正する権利:①株主総会決議取消権 ②取締役の業務執行について:議題提案権(303条)・議案提出権(304条)・議案の要領の通知請求権(305条)など

3.種類株主総会で決議できること(321条):1)①この法律(会社法)に規定する事項 ②定款で定めた事項に限る:発行可能株式総数並び種類及び数(EX:発行可能株式総数300株・ 普通株式200株・優先株式100株)<定款の絶対的・相対的記載事項ですね。
*種類株式:広義:普通株式(107条・108条に基づく定款の定めを何も置かない場合に、会社法が自動的に定めてくれるもの)+株式の内容についての特別の定め(107条)や異なる種類の株式(108条)
狭義:107条・108条の株式
4.第三者割当が実行された場合:有効要件として、定款の変更事項となるので、株主総会の特別決議(309条2項11号:定款の変更は、第6章です。)+ある種類の株主に損害を及ぼすおそれが場合の種類株主総会の種類株主総会(322条)の特別決議が必要ですね。
*定款による権利調整:種類株主に『損害を及ぼすおそれ』おそれの判定が、すっきりできないケースも考えられるので、定款で、種類株主総会の決議を要しない旨(322条2項)を置いています。
 参考:会社法 神田秀樹先生著 弘文堂 
以上です。条文と基本書で攻めてみましょう。





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hinotori 2023-10-09 16:32:49

hinotori さん

 重ねてのご指導に感謝申し上げます。

 ペリーの例とは、話が壮大ですね。
 
 ご指導のなかで、項目4がよく分かりませんでした。

 4.第三者割当が実行された場合:有効要件として、定款の変更事項となるので、株主総会の特別決議+ある種類の株主に損害を及ぼすおそれが場合の種類株主総会の種類株主総会(322条)の特別決議が必要
 →第三者割当のときは、株主総会の特別決議も必要だったのでしょうか。そして、損害が及ぶおそれがある種類株主総会の特別決議も必要でよろしいのでしょうか。
  自分としては、この種類株主総会の決議が不要とされていたので、理解できなかったもので。
  

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takugin97  2023-10-09 17:19:09

Q4.第三者割当が実行された場合:有効要件として、定款の変更事項となるので、株主総会の特別決議+ある種類の株主に損害を及ぼすおそれが場合の種類株主総会(322条)の特別決議が必要
 →1)第三者割当のときは、株主総会の特別決議も必要だったのでしょうか。?
2)そして、損害が及ぶおそれがある種類株主総会の特別決議も必要でよろしいのでしょうか。?
種類株式発行会社であり、
A1:取締役会の決議(201条1項)のみで足りる場合
①公開会社である。②第三者割当てである。③通常の発行等(有利発行でない)で、④通常の株式の発行等(普通株であり、譲渡制限株式等でない)のパターンの場合だけです。
*その他のパターンは、最初の回答したとおりです。

A2:種類株主総会の特別決議(322条1項1号イロハ 4号 324条2項)必要です。理由:第三者割当てする前に、種類株式発行会社として、『…各号の定める事項(剰余金の分配など)及び発行可能株式総数』を、定款に定めなければならない。(108条2項)定款の相対的記載事項で、第三者割当てにより、いずれかの事項の変更がかんがえられるため。
以上です。
*参考:Ⅰ判例:1.アートネーチャー事件:最判平成27年2月19日(非上場会社における第三者割当てによる新
        株発行)
       2.ベルシステム24事件:東京高決平成16年8月4日(特定の株主の持株比率の低下と新株発行
         の差し止め)
       3.ニッポン放送対ライブドア事件:東京高決平成17年3月23日(第三者割当による新株予約権
        の発行差止め)取得条項・譲渡制限あり
    Ⅱ『ある種類の株式の種類株主に損害の及ぼすおそれ』について:小泉先生の御回答されてるケースに  
    さらに深堀したいされたい場合、今話題のCHAT GPT(専門家の先生の記載に限る。AIは、時として、ウソ
    つきます。)の活用も良いかも知れません。必ず、基本書・条文で検証してみて下さい。
 以上です。
       
        

  

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hinotori 2023-10-11 15:46:12

hinotori さん
 
 せっかくご指導いただきましたのにお礼が遅れてしまい、大変失礼しました。

 ニッポン放送の例の事件は、過去のことながらも記憶に残る内容でした。具体的な事件がでてくると理解につながりますね。
 それにしても、平成17年とは、ときの流れを感じます。
 
 CHAT GPTの活用とは、考えたこともありませんでした。機械は、便利なようで怖いです。

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takugin97  2023-10-15 23:12:39

takugin97さん
 最後に回答した
 判例の引用した文献:『会社法重要判例』第3版 成文堂です。追加として
 1.第三者割当増資と新株発行の差止め:忠実屋・いなげや事件:東京地決平成元年7月25日
 2.株主総会の特別決議を欠く新株発行の効力:東急不動産株式会社事件:最判46年7月16日
 3.違法な自己株式取得による会社の損害:大日本除虫菊株主代表訴訟事件:大阪地判平成15年3月5日 
  小説『少数株主』牛島 信 弁護士 著 幻冬舎:あの蚊取り線香の会社様の株主をモデル小説(事業承継のネックにもなりうる非公開会社の少数株主が、テーマ)です。裁判では、少数株主VS国税庁の税務訴訟(株式価評価額:1億円の攻防)。非上場会社・
  非公開会社でした。商号では、虫は、3つある虫のようです。
*過去問・答練ベースでがんばりましょう。
図書館から、借りてきました。大変面白いし、興味がわいてきますが、ゴルフでのグリーンオーバーしていると思うので、気分転換としては、読まれるのは、良いかもしれません。
 
 


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hinotori 2023-10-20 13:14:59



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