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商登法/募集株式払込における金銭債権との相殺、金銭債権での現物出資
y4waks92enpo 2023-11-30 20:59:21
過去同様質問がありますが、それでも理解できておりませんので恐縮ですが、ご教示願います。
2023年択一過去問 商業登記法Ⅰ 問3-43 では『募集株式の引受人から募集株式の払込金額をする債務と引受人のもつ会社に対する債権と相殺は認められない』とあり、
同 問3-54、55では『会社に対する金銭債権を現物出資の目的とすることができ』とあります。
実質的には払込における相殺も債権の現物出資も同じではないか?と思いますが、一方は認められず、他方は可能となっていることが理解できません。
下記、過去の先生のご回答では会社側からの相殺、会社と引受人との合意は認められるとも記載があり、
相殺/現物出資、会社側から相殺、合意の場合/引受人からの相殺、これらを実際上どのように区別しているかという点でも疑問です。
ご教示よろしくお願いします。
~~~2022-08-14 小泉先生のご返答抜粋~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
引受人の払込債務と引受人の会社に対する金銭債権との相殺については、引受人からの相殺は認められないと会社法208条3項で規定されています。
そこで、①会社側からの相殺と②会社と引受人の合意(相殺契約)は認められるというのが、一般的な解釈です(商登法テキストⅠP224)。
次に、現物出資財産の給付債務についても、引受人の側からの相殺は認められない旨が会社法208条3項で規定されています。
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y4waks92enpoさん、こんにちは。
確かに会社に対する債権を現物出資の対象とした場合は、債権混同によって当該債権は消滅することになり、実質的には相殺によって互いの債権が消滅した場合と差が生じないといえます。
しかし、現物出資は、引受人が望めばできるというものではなく、募集事項の一つとなっており(会社法199Ⅰ③-金銭以外の財産を出資の目的とするときは、その旨並びに当該財産の内容及び価額)、募集事項の決定として、取締役会等の決議がなされていることから、会社側が予めこれを出資の履行として了承しているといえます。
また、過大評価されて資本充実が害されることのないよう原則的に検査役の調査が必要とされています。
以上の点で、相殺と会社に対する債権を現物出資することは異なっています。
まとめると以下のようになります。
① 引受人からの相殺 ×
② 会社側からの相殺 ○
③ 会社と引受人の合意(相殺契約) ○
④ 会社に対する債権を現物出資 ○
②と③については、これを肯定する判例(大判明45.3.5)と否定する先例(昭39.12.9第3910号)があり、会社法成立後も争いがあるといえますが、平6.7.6第4192号の通達によって、少なくとも④の現物出資の規制に従う場合は、間違いなくこれが認められることが確認されたといえます(株式会社法 江頭 第8版 P796参照)。
講師 小泉嘉孝
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koizumi1 2023-12-15 13:44:32