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民法/相続人不存在時の民法第958条の2の運用について
msmzd 2024-07-14 13:46:26
被相続人死亡時に相続人が不存在が確定した場合、民法第958条第2項により特別縁故者の申立期間として3カ月がありますが、その運用を実務上ではどうしているのかということを質問させていただきます。
この3カ月の期間内に特別縁故者の申立が有って家裁の審判が確定した場合は特別縁故者のものになり、申立が無かった場合及び申立が有っても家裁で認められなかった場合は、国庫または他の共有者に帰属することになるとされています。
そこで疑問なのですが、特別縁故者というのは必ず一人だけとは限らないようですが、縁故者が複数人だった場合、その人達が一斉に申立をするとも限らず、時期がずれて申立をした場合にその都度家裁で審判をするとなると、帰属が確定するのは最後の一人の審判が確定した時ということになるかと思います。
また、複数の縁故者の申立が認められた場合、その相続分割合も裁定の必要になるかと思います。
しかしながら、特別縁故者が何人いるかは事前にはわからない可能性があり、かつ、いつ申立をするかわからないのではないかと思います。
そうすると、仮に一人の申立があってそれが家裁で否認されたとしても次なる申立人が現れる可能性があり、また、縁故者として認定されても、割合を確定させるには他に縁故者がいないことが確定してからということになると思います。
結局のところは3カ月の申立期間が経過してからでないと家裁の審判もできず、縁故者への相続は確定しないように思います。
そこで一つ目の質問ですが、相続財産帰属の手順としては、
①3カ月以内に特別縁故者の申立が無ければ国庫または他の共有者に帰属が確定
②3カ月以内に申立が有った場合は、3カ月が経過した後に家裁でまとめて審判を行い、縁故者への相続有無と割合を確定
という順番の流れでよろしいでしょうか?
もしそうであれば二つ目の質問ですが、②で申立人が全員否認となった場合、改めて①(国庫または他の共有者に帰属が確定)になるということでよろしいでしょうか?
あらゆるテキストでは縁故者への相続に関する記載が先で国庫や共有者への帰属に関する記載は後になっているため、なんとなく順番的には「縁故者確定が先」のイメージを持っていました。
でも、上記のように考えると実務での確定順は逆のように思えて質問させていただく次第です。
試験対策上は問題にならない論点ではありますが、前から気になっておりましたので本試験終了後のこのタイミングならと思い質問させていただきます。
お手数ですがご教示いただければ幸いです。
msmzdさん、こんにちは。
msmzdさんのお考えのとおり、特別縁故者の申立てに対する審判は、民法952条2項の期間満了後3か月を経過した後でなければ行うことができません(家事事件手続法204条1項)。
つまり、特別縁故者からの財産分与の請求期間中に審判がなされることはありません(民法958条の2第2項参照)。
また、複数の申立てがあった場合、当該審判に係る手続及び審判は、併合して行われます(家事事件手続法204条2項)。
そして、特別縁故者からの上記申立てを却下する審判が確定した場合、共有財産であれば他の共有者に帰属し、単有財産であれば国庫に帰属します(民法252条・959条)。
したがって、特別縁故者からの財産分与の請求期間中に請求があった以上、その請求期間が満了しても、この時点では他の共有者や国には帰属していないため、上記却下審判確定によって「改めて」他の共有者や国には帰属するという流れにはなっていません。
(特別縁故者に対する相続財産の分与の審判)
第204条 特別縁故者に対する相続財産の分与の申立てについての審判は、民法第952条第2項の期間の満了後3月を経過した後にしなければならない。
2 同一の相続財産に関し特別縁故者に対する相続財産の分与の審判事件が数個同時に係属するときは、これらの審判の手続及び審判は、併合してしなければならない。
講師 小泉嘉孝
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koizumi1 2024-07-16 13:13:11