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会社法/発起設立における払込金の返還について
akamine 2025-01-29 05:24:42
質問です。
2025年試験対策講座会社法の択一過去問題
会社法Ⅱ-24「株式会社の成立ー設立関与者の責任」の22問5択問題において
問題文「発起設立の方法によって株式会社を設立する場合において、発起人が引き受けた設立時発行株式につきその出資に係る金銭の払込みを受けた銀行は、当該株式会社の成立前に発起人に払込金の返還をしても、当該払込金の返還をもって成立後の株式会社に対抗することが出来ない。」
回答×
解説「募集設立において、払込み取扱銀行は、その証明した払込金額を、会社の成立の時まで保管して、これを会社に引き渡すべきものであり、会社の成立前に発起人または取締役に返還しても、その後成立した会社に対し、払込金の返還を対抗できない(最判昭37.3.2)しかし、これは募集設立の場合であり、発起設立においては該当しない。」とありますが、最後の発起設立においては該当しない理由がよくわかりませんでした。判例には「募集設立につき」ととあるので、当該判例が募集設立にのみ当てはまる考えとも解釈出来なくもないのですが、明確に発起設立には当てはまらないとも読みこめず、また、テキストを読み返してみてもいまいち納得がいきませんでした。
どういった論理でこの判例の考えから発起設立は排除されたのでしょうか。また、テキストに根拠が書かれているのであればどの部分に書かれているのかも教えていただければと思います。
akamineさん、こんにちは。
まず、払込取扱銀行が、一定の責任を負う根拠(基礎)は、払込金の保管証明を行ったことにあります。
つまり、この責任は、禁反言の法理(保管証明を行った以上、当該銀行は、証明した内容が真実に反していたことを理由に、それを覆すことができない)に基づく法定責任(委任契約に基づくものではなく、法が特別に定めたもの)であるとするのが、判例・通説の考え方です。
そして、この保管証明制度の適用は、「募集設立」に限定されています(会社64Ⅰ)。
また、判例(最判昭37.3.2)の「会社の成立前に発起人又は取締役に払込金を返還しても、その後成立した会社に対し、払込金の返還を対抗できない」というのは、現在の会社法64条2項の「当該証明書の記載が事実と異なる・・・ことをもって成立後の株式会社に対抗することができない」の中の一場面と捉えられています。
したがって、本肢の「設立時発行株式につきその出資に係る金銭の払込みを受けた銀行は、当該株式会社の成立前に発起人に払込金の返還をしても、当該払込金の返還をもって成立後の株式会社に対抗することができない」との記載は、募集設立についてのみ当てはまり、発起設立には当てはまらないということになります。
INPUTテキストでは、P138「6払込金の保管証明(1)保管証明の要否」に、その説明があります。
講師 小泉嘉孝
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koizumi1 2025-01-29 13:54:26