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民法/平23-16 取立債務の履行遅滞について
zuka12 2025-02-07 18:57:11
絵画をAがBに売却し約束の期日にAの住所でBに引き渡すという契約において、Aは約束の期日までにBに絵画を引き渡す準備をして待っていたが、その期日を過ぎた後もBは取りに来なかった。Aが絵画を引き渡さないことを理由として引き取りに行かなかったBが債務不履行に基づく損害賠償をAに対して求めてきたら認められるか
学生の回答→取立債務は現実の提供をする必要はないが、引き渡しの準備だけでは足りず、引き渡しの準備をしたことを通知して口頭の提供をしなければ、債務者は債務不履行責任を負うことになり、Aが引き渡しの準備をしたことをBに通知してなければ、債務不履行に基づくBの損害賠償請求は認められることとなる
答え 誤り
とあるのですが、取立債務の場合には、相手があらかじめ拒否している場合などを除いて、口頭の提供が必要なため、本問は正しいと考えるのですがいかがでしょうか。
本問題のように、弁済期が決まっている場合には、弁済期到来により特に債権者の行為を要せず、当然に履行遅滞になるため、取立債務であっても口頭の提供がいらないという考えなのでしょうか?本問題も弁済期が決まっておらず、取立債務なのに口頭の提供もない場合には、履行遅滞に陥らないのでしょうか?
zuka12 さん、こんばんは。
債務者は、弁済の提供をすることにより、履行遅滞とはならず、債務不履行に基づく損害賠償責任を免れます。
そして、取立債務においては、この弁済の提供は、口頭の提供(準備+通知)で足りるとするのが、原則です。
ただし、履行期が定まっている(確定期限付)取立債務においては、履行期日に売主(債務者)のところに買主(債権者)が取立てに来なければ、売主(債務者)は口頭の提供をしなくても、債務不履行責任を免れると解されています。
これは、履行遅滞とは、債務者が履行しようと思えばできるのに、債務者がそれを履行しない場合に問うことのできる責任であり、債権者の行為を要するときには、まず当該債権者の協力行為がなければ、債務者はそもそも履行ができないことを理由とします。
また、履行期日に売主が引渡しの準備をして(履行場所に目的物を保管し、いつでも買主に引き渡せるようにして)待っていれば、それだけで「現実の提供」として弁済の提供の効果が生じるという見解も存在します。
よって、本肢では、取立債務であり、債務者Aは、約束の期日(履行期)までに債権者Bに絵画を引き渡す準備をして待っていたが、その期日を過ぎた後もBが引取りに来ないのであるから、口頭の提供(準備+通知)をしなくても、債務不履行に基づくBの損害賠償請求は認められないとの解答も成立することになります。
講師 小泉嘉孝
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koizumi1 2025-02-07 23:31:21