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民法/留置権
sto57 2025-03-27 19:11:32
留置権について質問です。 必要費支出後に債務不履行を理由に賃貸借契約を解除された場合、不法占拠者として留置権が主張できないのに対し、有益費支出後に債務不履行を理由に賃貸借契約が解除されても留置権が認められる理由が分かりません。
(過去問令和6-11のウ、平成17-12のイ)
両方とも弁済期にあると思いますが。
教えていただけると助かります。
sto57さん、こんばんは。
まず、ここでは、各問題の事案として、必要費と有益費の違いがありますが、いずれも弁済期にある以上、これを支出した建物賃借人が賃貸人に対するその償還請求権を被担保債権として、当該「建物」を留置できる点は同じです。
また、占有開始時には権原があり適法な占有であったが、その後無権原占有となり、その段階で、占有権原のないことを知りながら、占有物に関して債権を取得した場合には、留置権は成立しないとするのが判例です(295Ⅱ類推適用-最判昭46.7.16等)。
したがって、いずれの事案でも、債務不履行を理由に建物賃貸借契約が解除された後に必要費・有益費が支出された場合は、留置権は成立しないのが原則となります。
しかし、各問題の事案は、いずれも解除前に必要費・有益費が支出されているため、上記原則には該当せず、当該「建物」に対する留置権の行使が認められます。
さらに、平17-12イでは、当該留置権が行使されている間にさらに修繕費(必要費)を賃借人が支出しており、賃貸借契約は解除されていても、留置権行使に基づく占有がある以上、やはり無権限占有の段階で占有物に関する債権を取得した場面とは異なるということになります(最判昭33.1.17)。
よって、建物賃借人Bは、当該「建物」を留置することができます。
一方、令6-11ウの事案については、必要費を支出した建物賃借人が「土地」に関する明渡しを拒むことができないという結論になります。
これは、まず留置権の被担保債権は、当該留置の対象となる物に関して生じた債権であることが要求されます(295Ⅰ)が、本肢の必要費償還請求権は、「建物」に関して生じた債権であって、「土地」から生じた債権ではないからです。
次に、上記のように「建物」についての留置権が認められる場合に、その「敷地」も留置できるか、という論点がありました。
そこで、借地上に建物を所有する借地人が、土地賃貸借が終了する際に建物買取請求権を行使し、その代金債権を被担保債権として、当該建物を留置できる場合は、その敷地をも留置できるとするのが判例です(大判昭14.8.24・大判昭18.2.18)。
これは、敷地を留置できなければ、建物のみを留置することは不可能であるからというのが、その理由です。
一方、本肢のように借地上の建物賃借人が、建物に対する費用償還請求権を被担保債権として、当該建物を留置できる場合に、その敷地をも留置できるかというと、これは原則として、否定されています(大判昭9.6.30)。
ここでの敷地所有者は、建物買取義務まで負担しているわけではなく、建物所有者(借地人)に対する費用償還請求権で、建物賃借人が土地所有者の返還請求を拒むことは、公平を失するとの判断です。
ただ、当該建物所有者が、その敷地に対して所有権その他の利用権を有する場合には、当該敷地も留置できるとも解されています(大判昭9.6.30・最判昭44.11.6参照)。
そうすると、本肢では、建物所有者(借地人B)は、敷地に対する所有権を有さず、また、土地賃貸借契約の解除によって、もはや借地権も有していません。
したがって、建物賃借人Cは、建物は留置できても、当該敷地の留置は認められないことになります。
講師 小泉嘉孝
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koizumi1 2025-03-29 00:09:15