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会社法/訴訟上の和解における取締役の責任の免除
shumouri 2025-04-06 13:23:20
テキスト会社法商法Ⅰ第2章のP366の「(9)訴訟上の和解における取締役の責任の免除」の①の理由中に「本来的には総株主の同意が必要であるが」との記載があります。
425条で一部免除の場合は総株主の同意ではなく、株主総会の特別決議で免除できる旨の規定があるので、一部免除の場合は総株主の同意は不要ではないかと思いますが、このP366の「総株主の同意が必要」とはどのケースのことを指しているのか教えてください。
shumouriさん、こんばんは。
まず、役員等の会社に対する責任は、総株主の同意がなければ免除できないというのが、原則になっています(424)。
これを受けて、責任追及等の訴えにおいて、和解をする場合に総株主の同意は要しないと規定しています(850Ⅳ)。
一方、株主総会の特別決議で一部免除をする対象は、役員等の任務懈怠責任(423Ⅰ)であり、また850条4項に対して一定の要件を満たした場合の例外的措置を認めたものです。
上記の「責任追及等の訴え」の対象としては、この「任務懈怠責任」(423Ⅰ)も含まれますが、テキストP358①・P357にあるように、それ以外の責任も対象になります(免除の対象にならないものもありますが、これはまた和解の対象にもなりません-850Ⅳ・テキストP357表・P366(9)③)。
また、株主総会の特別決議で責任の一部免除ができる範囲は限定されています(425Ⅰ)が、その範囲を超える部分についても和解が成立することがあります。
したがって、役員等の責任追及訴訟における和解と株主総会特別決議による責任一部免除の対象は、完全に一致しているわけではなく、ここでは本来(原則として)総株主の同意が要求されている424条との関係を定めているのが、850条4項であると理解してください。
講師 小泉嘉孝
第423条(役員等の株式会社に対する損害賠償責任)
取締役、会計参与、監査役、執行役又は会計監査人(以下この章において「役員等」という。)は、その任務を怠ったときは、株式会社に対し、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
2項以下省略
第424条(株式会社に対する損害賠償責任の免除)
前条第一項の責任は、総株主の同意がなければ、免除することができない。
第850条
4 第五十五条、第百二条の二第二項、第百三条第三項、第百二十条第五項、第二百十三条の二第二項、第二百八十六条の二第二項、第424条(第四百八十六条第四項において準用する場合を含む。)、第四百六十二条第三項(同項ただし書に規定する分配可能額を超えない部分について負う義務に係る部分に限る。)、第四百六十四条第二項及び第四百六十五条第二項の規定は、責任追及等の訴えに係る訴訟における和解をする場合には、適用しない。
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koizumi1 2025-04-08 11:09:14
ご回答ありがとうございました。
ということは、原則として役員の責任免除は一部であれ全部であれ原則として総株主の同意が必要となるところを、一部例外として特別決議で一部免除の規定があるということであって
テキストのこの記載は「一部免除は総株主の同意が必要」ということを言っているのではなくて、あくまで原則としての総株主の同意のことを言っているという理解で良いでしょうか。
shumouri 2025-04-20 02:31:30