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民法/所有権移転登記
sto57 2025-04-14 06:46:20
平成13-6の3と4で結論が異なる理由を教えて下さい。
それぞれ売却者が異なるのは分かるのですが、なぜ、抹消できる範囲に差異がでるのか教え下さい。
sto57さん、こんばんは。
13-6③について
遺産分割後の第三者との関係は、対抗関係となります。
遺産分割には遡及効があり、Dは無権利者Bから権利を取得することはできないのではないか、ということが問題となりますが、第三者Dとの関係では、遺産分割は相続人ABが一旦取得した権利についての新たな変更を生じさせるもの(実質的にB持分の贈与)であるとして、Bを起点としたBからA、BからDへの二重譲渡と構成します。
したがって、Bの持分については、AとDが対抗関係となり、Aは、その登記を受けたDに対して、自己がその持分(B持分)を有することを主張できません(899の2Ⅰ)。
一方、元々Aが有する持分(相続によって取得した持分)については、登記なくしてDにその権利を主張できます。
よって、実体と登記の不一致は一部にすぎないため、Aは、Dに対し、その所有権移転登記の全部の抹消を請求することはできず、更正登記を請求できるのみとなります。
13-6④について
Bは遺産分割の遡及効により、相続開始時から無権利者であり、Dは登記なくしてBに、その権利の全部を主張することができます。
Bは遺産分割の「当事者」であって、民法899条の2第1項の「第三者」ではないところが、上記13-6③とは異なります。
つまり、13-6③は、「当事者A」から「第三者D」に権利の主張と登記の請求をしているのに対して、13-6④では、「第三者D」から「当事者B」に権利の主張と登記の請求をしています。
また、元々Aが有する持分(相続によって取得した持分)については、当然Bは無権利者であり、Dは登記なくして、その権利をBに主張できるという関係は、上記13-6③と同様です。
そうすると、B単独名義の相続登記は、その全部が無効であるため、Dは、Bに対し、その所有権移転登記の全部の抹消を請求することができます。
第899条の2(共同相続における権利の承継の対抗要件)
相続による権利の承継は、遺産の分割によるものかどうかにかかわらず、次条及び第九百一条の規定により算定した相続分を超える部分については、登記、登録その他の対抗要件を備えなければ、第三者に対抗することができない。
2項省略
講師 小泉嘉孝
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koizumi1 2025-04-16 11:34:41