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不登法/元本確定後の根抵当権の譲渡
lepassemuraille741021 2025-04-19 18:47:45
「根抵当権の譲渡は元本確定前にのみ可能」は基本知識だと理解しているのですが以下の問題解説を理解できません。
辰巳法律研究所の田端のパーフェクトユニット記述式必修問題集第3版のp74問題8です。
債務者Dの破産手続開始決定により1番根抵当権が元本確定した。
よって抵当権者株式会社Yはこの根抵当権を債務者Dの母Bを債務者とする令和7年6月1日金銭消費貸借債権を有する一般債権者Pに譲渡した。令和7年6月15日
登記の目的:1番根抵当権譲渡
登記の原因:令和7年6月1日金銭消費貸借令和7年6月15日譲渡
債権額金1000万円
利息年1.5%
債務者住所B
受益者P
義務者株式会社Y
添付情報:登記原因証明情報、Yの登記識別情報、会社法人等番号
(解説)
根抵当権譲渡は元本確定後でなければすることができないので、もし破産開始決定がなければこの登記は不可能
ーーーーー
そもそも元本確定後の根抵当権をこのように枠だけ譲渡して譲り受け人の持つ債権を担保するようにできるというのは本当なのか?
根抵当権は元本確定後でなければ譲渡できないという解説も私の知識と違いすぎて理解ができません。
私が基本知識だと考えている「元本確定前にのみ可能な根抵当権の譲渡」とこの問題の「元本確定後にのみ可能な根抵当権譲渡」は違うものなのでしょうか?設定者の承諾も添付情報にないのでよくわかりません。よろしくお願い申し上げます。
lepassemuraille741021さん、こんにちは。
「元本確定前にのみ可能な根抵当権の譲渡」と問題として出題されている「元本確定後にのみ可能な根抵当権譲渡」の内容は全く異なります。
元本確定前にのみ可能な根抵当権の譲渡(全部譲渡-民法398の12Ⅰ)は、まさに枠ごと根抵当権を譲受人に移転し、根抵当権者の変更が行われます。
これによって、今後、譲受人の不特定債権が当該根抵当権によって担保されるようになります。
こちらは設定者にとって、根抵当権設定契約当時の債権者とは異なる債権者の債権が自らの不動産で担保されるようになるという影響が生じるため、その承諾が必要となります(民法398の12Ⅰ)
この場合は、「根抵当権の全部を譲渡する」旨が、通常は問題文に記載されています。
元本確定後にのみ可能な根抵当権の譲渡とは、民法376条1項の抵当権の譲渡として規定されているものです(民法398の11Ⅰ本文)。
これは根抵当権者(Y)の有する「優先弁済権」を受益者である一般債権者(P)に取得させるという効果が生じます。
ここでは、抵当権(根抵当権)そのものを取得するわけではないと表現するか、譲受人は、譲渡人の有する順位の抵当権(根抵当権)をその被担保債権の限度で取得すると表現するかは、学者の先生によっても分かれるところです。
こちらは、相対効であり、契約当事者以外の設定者にはその効果・影響は及ばず、当該設定者の承諾は不要です。
講師 小泉嘉孝
参考になった:2人
koizumi1 2025-04-20 14:15:16
ありがとうございます。全部譲渡、一部譲渡、分割譲渡という表現の譲渡とこの問題のように「元本確定後に無担保債権者に譲渡した」と表現される譲渡は違うという読み取りが必要なのですね。
ところで、376条1項の抵当権譲渡は元の抵当権と譲受人の無担保債権が同じ債務者でなければならないのではないでしょうか?この問題では根抵当権の債務者はDで破産手続開始決定で確定 譲受人の無担保債権は債務者Bなのに可能なのでしょうか。
よろしくお願い申し上げます。
lepassemuraille741021 2025-04-21 12:35:47
lepassemuraille741021さん、こんばんは。
「376条1項の抵当権譲渡は元の抵当権と譲受人の無担保債権が同じ債務者でなければならないのではないでしょうか?」
これについても重要な論点であり、必ずおさえておきましょう。
条文上は「同一債務者」となっていますが、「設定者」が同一であれば、債務者を異にする抵当権者間でも順位譲渡はできるというのが、通説的解釈であり、登記実務となっています(昭30.7.11第1427号)。
したがって、本問では譲渡をした根抵当権者Yの債務者はDで、受益者Pの債務者がBであっても、1番根抵当権の設定者がBであるならば、当該根抵当権の譲渡は可能となります。
つまり、(本問題の事例が、どのようになっているかは分かりませんが)1番根抵当権の物上保証人Bと受益者Pの債務者Bが同一になっているので、当該譲渡が認められるということになります。
講師 小泉嘉孝
koizumi1 2025-04-21 22:59:49
ありがとうございます。追加で質問させて頂きたいです。
>条文上は「同一債務者」となっていますが、「設定者」が同一であれば、債務者を異にする抵当権者間でも順位譲渡はできるというのが、通説的解釈であり、登記実務となっています(昭30.7.11第1427号)。
→そもそも設定者が同一でない、債務者を異にする抵当権者間の譲渡というのが存在するのでしょうか?
>したがって、本問では譲渡をした根抵当権者Yの債務者はDで、受益者Pの債務者がBであっても、1番根抵当権の設定者がBであるならば、当該根抵当権の譲渡は可能となります。
つまり、(本問題の事例が、どのようになっているかは分かりませんが)1番根抵当権の物上保証人Bと受益者Pの債務者Bが同一になっているので、当該譲渡が認められるということになります。
→「1番抵当権の物上保証人BとPの債務者Bが同一であるので譲渡が認められる」というのは、上で説明されている「設定者が同じ」とは違う気がします。
「設定者が同じままでの譲渡ならOK」は自明な気がしてしまうので、この譲渡が可能であるかどうかの確認ポイントがいまいち理解できません。
よろしくお願い申し上げます。
lepassemuraille741021 2025-04-22 09:46:53
そうですね、少し言葉足らずでした。
「設定者」が同一であれば、抵当権の譲渡ができるとは、「譲渡人の債務者と受益者の債務者が同一」の場合はもちろん、「譲渡人にとっての設定者である物上保証人(第三取得者を含む)と受益者の債務者が同一」である場合を含むという意味です。
そして、抵当権の譲渡とは、無担保債権者になされるものであるため、受益者側に「設定者」は存在しません。
なお、抵当権の順位譲渡は、後順位担保権者になされるものであるため、当該後順位担保権者にとっても設定者(所有者)が存在しており、もちろん、これは順位譲渡をした先順位担保権者の設定者(所有者)と同一です。
この場合、それぞれの債務者が異なっていても、順位譲渡は可能となります。
講師 小泉嘉孝
koizumi1 2025-04-22 18:22:30