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民法/抵当権者による差押え後に、借主が修繕した
skccpnd 2025-06-05 08:28:35
賃貸借設定
→
抵当権設定
→
抵当権者による差押え
→
借主が修繕
①相殺
・・・
借主は、
差押え後に取得した修繕費債権だとしても、
抵当権設定登記前の原因によるものだから、抵当権者に対して相殺をすることできる
②留置権
・・・
借主は、
差押え後に取得した修繕費債権の場合、
抵当権設定登記前の原因によるものだとしても、買受人に対して留置権を主張することできない
①②合っていますか?
②が合っている場合、理由を知りたいです。
skccpndさん、こんにちは。
①について
「抵当権者による差押え」というのは、物上代位による差押えのことでしょうか。
民法511条2項の考え方を物上代位と相殺の優劣が問題となる場面についても及ぼし、賃借人の必要費償還請求権が抵当権設定登記前の原因に基づいて生じたものであれば、当該賃借人からの相殺が抵当権者に対抗できるとする見解は存在します。
しかし、その見解が正しいか否かを判断することなどできません。
また、最高裁の判例がなく、通説的見解として確立しているものがない論点が、司法書士試験で問われることは通常考えられません。
②について
「差押え後に取得した修繕費債権」とは、誰のどのような差押えなのかは不明ですが、質問の内容は、民事執行法59条4項の論点だと思われます。
まず、差押後に後れて成立した留置権であっても、当該留置権は買受人に引き受けられるというのが通説です。
法文上、4項の「第2項の規定の適用がないもの」という文言は質権にのみ係ると読むのが自然であること、また、差押えの処分制限は、債務者の行為を制限するものですが、留置権は債務者の処分によって成立するものではないので、差押えの処分制限効に抵触しないというのが、その理由です。
また、留置権は特段の対抗要件を必要とせず、第三者に対抗できる権利であることから、1項により消滅する権利に後れて成立した留置権であっても買受人が引き受けると考えられています。
講師 小泉嘉孝
参考になった:1人
koizumi1 2025-06-05 17:45:44
小泉先生、早速のご回答ありがとうございます。
①
貸主の債権者が、貸主の借主に対する賃料債権を差押えした場面でした。
(抵当権者とは書いていなかったです、申し訳ありませんでした)
貸主の債権者である一般債権者が物上代位して差押えした、ということで合っていますでしょうか、、、
判例がないものは試験に出ないのですね、ありがとうございます良かったです。
②について、正確には以下です。
債務者の建物に抵当権を設定
→
第三者が、債務者から賃借した
→
賃借人が修繕工事をした。
→
抵当権者が、差押え
→
賃借人は、買受人に対して、修繕費用を受け取るまで引渡しを拒むことできる
(抵当権設定後の賃借でも、差押え前に取得した債権だから)
②は、上記を参考にして、
抵当権者に差押えされた後に、賃借人が修繕したらどうなるのかなと気になって質問をしました
留置権を買受人が引き受ける、とは、
買受人に対しても留置権を主張できる、という意味でしょうか。
skccpnd 2025-06-05 19:16:26
skccpndさん、こんにちは。
①について
物上代位という制度は、留置権を除く担保物権を有する債権者が、本来の目的物の価値変形物(価値代表物)に対して、各担保物権の効力を及ぼすというものです。
したがって、「一般債権者が物上代位して差押え」をするということはありません。
②について
「抵当権者が、差押え」の差押えの目的物が何かは不明ですが、上記①の物上代位による差押えとは別ではないかと考えます。
ここはやはり民事執行法59条の論点として、競売による差押えでしょうか。
「留置権を買受人が引き受ける」とは、留置権を有する者が、買受人に対しても当該留置権を主張して目的物の引渡しを拒むことができる、という意味で間違いありません。
最初に基本的な各制度の意味・内容をINPUT学習で学び、次にその内容が司法書士試験では具体的にどのような形で、どの程度の深さまで問われるのかについて、自分で過去問を解きながら、その感覚を身につけていくことがとても重要です。
そこを疎かにして自分の関心や興味を軸にしてしまうと、いくら努力しても点数には反映されなくなってしまうので気をつけましょう。
講師 小泉嘉孝
koizumi1 2025-06-06 09:53:43