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不登法/抵当権登記の抹消
Harry 2025-06-10 20:36:32
平成29年 午後14番 肢ウ
甲不動産について、A株式会社を登記名義人とする抵当権の設定の登記がされていたが、当該A株式会社を消滅会社、B株式会社を存続会社とする吸収合併がされ、その後に、弁済により当該抵当権が消滅した。この場合において、当該抵当権の登記の抹消を申請するときは、その前提として、当該合併を登記原因とするA株式会社からB株式会社への抵当権の移転の登記を申請しなければならない。
回答は、「正しい」(A株式会社からB株式会社への抵当権の移転の登記を申請しなければならない)ですが、弁済以前にA株式会社のB株式会社の合併登記がなされていた場合(問題には記載がありません)、以下の登記申請は誤りでしょうか。吸収合併なのに、当該抵当権だけ個別に移転登記する必要性が理解できません。それとも、合併はされたが、合併登記前(あるいは効力発生前)に弁済があったという問題なのでしょうか。
登記の目的:1番抵当権移転
原因日付:令和7年4月1日弁済
権利者:株式会社X(債務者)
義務者:B株式会社(被合併会社A株式会社)
添付情報:登記原因証明情報(弁済を証する情報)
登記識別情報(B社に通知されたもの)
一般承継情報(合併を証する情報)
会社法人等番号(A社およびB社のもの)
代理権限証明情報
ご教示ください。
恐らく、①抵当権者の合併②弁済による抵当権消滅、という順の事実関係がある場合、合併による抵当権移転登記を省略して、弁済による抵当権抹消登記はできないのか?というご質問だと思いますが、だとしたら、そのような登記はできず、問題通り、1件目抵当権移転登記、2件目抵当権抹消登記が正しい登記手続きとなります。
このことは、商業登記における吸収合併による変更(及び解散)の登記の有無によって、結論は変わりません。
理由は、「権利変動を忠実に登記簿に反映する」というのが、不動産登記の重要な原則の一つであり、本問で言えば、「①合併により抵当権がA株式会社からB株式会社へ移転し、②B株式会社の元で、弁済により抵当権が消滅した。」この権利変動を忠実に登記簿に反映する必要があるからです。
また、吸収合併のような包括承継があった場合でも、包括承継だからということを理由に、個々の不動産についての不動産登記を行わなくて良い、とはなりません。確かに、会社の合併であれば、不動産登記において抵当権者がA株式会社名義のままでも、A株式会社の商業登記を見ればB株式会社と合併したことは確認できますが、それだと不動産登記に会社が登場する度、当該会社の商業登記を確認しなければならず、現実的ではありませんし、そもそも、不動産についての権利関係を公示する不動産登記制度として不十分でしょう。例えば、「所有者Aが死亡した。Aの権利義務を包括承継する、唯一の相続人はBである。この場合、相続による所有権移転登記をする必要性はあるか?」と聞かれたら、「必要性はある」と答えると思います。それと同じです。
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tashiro4566 2025-06-10 22:35:27