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商登法/上場会社の報酬特約
ysh557 2025-07-25 22:01:40
こんばんは。
募集株式の発行について勉強していると、教科書に上場会社の報酬特則に関する記述が断片的に出てきたので、その手続きの流れを整理したいと思っています。
以下の内容で合っていますでしょうか。また試験対策的に他に抑えておくべき点や注意する点などがあれば合わせて教えていただけると幸いです。
【上場会社の報酬特約】
募集事項の決定 定款もしくは株主総会の決議により決定
↓
通知(会社法205条4項) 割当日の2週間前までに通知
↓
引受けの申込み 先の株主総会の決定に係る取締役しか申込みができない
↓
割当て 以上で手続きは終わりで、払込みはない。取締役は役務を出資するイメージ
また、この後に資本金の計上をする段階で、役務の公正な評価額の帳簿価格を資本金に計上するとテキストに書いてありました。
取締役の報酬(給料)を決定し、それに見合う株式を割当て、その給料の額を資本金に計上するという認識でよろしいのでしょうか。
最後に、表題と関係のない質問になってしまうのですが、以下の2つの質問の回答をよろしくお願いします。
①会社法108条1項ただし書きについて、第9号の取締役・監査役の選任権付種類株式が、なぜ公開会社では発行できないのかの理由や制度趣旨を教えてください。
指名委員会等設置会社で発行できないのは、取締役や監査役の選任権は指名委員会が一手に握るものだからというふうに理解していますが、公開会社の方はいまいち理由がピンときません。
②会社法155条において、7号の単元未満株式の買取請求に会社が応じて買い取る場合には、自己株式の取得は剰余金の分配可能額までという財源規制にかからないと教科書に書いてありましたが、その理由や制度趣旨を教えてください。単に単元未満株式を会社が買い取るのに大きな額にはならないから規制が必要ないというだけの話でしょうか。
ysh557 さん、こんにちわ。
下の2つの方が簡単そうなので、そちらに対して、自分がこう習ったなという記憶を述べさせて頂きたいです。
1 公開会社は、広く有能な人材を登用すべきである。という趣旨を習ったと記憶しています。
2 単元未満株主の保護のため=投下資本の回収のための最後の手段となるため。 もちろん金額が小さいというのも理由に入ってくると思います。
以上私見です。 よろしくお願い申し上げます。
参考になった:1人
bravo-one 2025-07-27 12:50:59
bravo-oneさん、回答ありがとうございます。
私なりに、bravo-oneさんのご意見を理解いたしますと、以下のようになりますかね。
1について、種類株式総会より多くの人が決議に関わる株主総会の方が、いろんな人を取締役等に選任できる可能性があるので、公開会社においてはその方が望ましいということですね。
2については、単元未満株主にとって会社の買取が最後のよりどころになるので、より保護を厚くする意味合いで財源規制がないということになりますかね。
参考にさせていただきます。ありがとうございました。
ysh557 2025-07-27 18:26:59
ysh557 さん、こんにちわ。
優秀な方が疑問にお思いになられる点は、自分にとっても大変勉強になりありがたいです。
何よりエピソード記憶として、忘れられない感じになります。
1 に関しては、発想を逆転させてみてはいかがでしょうか? 基本が、誰でも登用すべきであるから、公開会社のようなパターン。
例外として、閉鎖的な、同族会社のような感じの非公開会社だからこそ、選解任権付の株式の発行が許される。 自分はにこちらの方が
自然な感じに、感じられます。
bravo-one 2025-07-28 13:43:27
bravo-oneさん
選任権付種類株式が発行できること自体は例外的なものと考え、それが発行できない公開会社のケースの方を例外と考えるわけですね。なるほどです。
確かにここでのやり取りなどを通して、記憶に定着しやすくなっているのを感じますね。
ありがとうございます。
ysh557 2025-07-28 18:32:19
ysh557さん、こんにちは。
【取締役等の報酬である株式に関する特則について】
大まかには、ysh557さんの記載されているとおりですが、以下の点は注意してください。
当該株式会社の株式を報酬とする場合には、その具体的な内容として、会社法361条1項に定める事項を定款又は株主総会の決議で定めます。
これは、募集株式発行におけるいわゆる「募集事項」とは異なります。
この場合、募集株式発行における募集事項は、取締役会の決議で決定します(会社201Ⅰ・202の2Ⅱ・199Ⅱ)。
なお、払込金額又はその算定方法を定めることを要しないため、払込金額が特に有利な金額である場合における株主総会の特別決議は要しない(令3.1.29第14号通達)となっています。
資本金の額の増加については、その具体的な限度額は、取締役等が役務を提供する時期に応じて(事前型・事後型)計算方法が異なります(会社計算規則42の2Ⅰ~Ⅲ・42の3Ⅰ~Ⅲ)。
【取締役等選任権付種類株式について】
この制度により、ベンチャーキャピタル(ベンチャー企業に投資する投資会社等)や少数株主が自分達だけで、何名かの取締役・監査役を送り込めるようになりました。
ただし、十分な合理性が認められない場合、つまり経営者側の支配強化のために少数の株主のみで取締役等を選任してしまう濫用のおそれがあるので、非公開会社だけに限定しています(株式会社法第9版江頭P168・商事法務1621号参照)。
また、指名委員会等設置会社では、役員選任議案の内容は指名委員会が決定することになっているため、この制度とは相容れないというのは、そのとおりですが、指名委員会等設置会社では、元々監査役は選任できない(327Ⅳ)点は注意しましょう。
【単元未満株式の買取請求について】
単元未満株の買取請求は、定款で株券の発行をしない旨を定めることができるほか、議決権の行使等ができないことから、その譲渡が一般の株式に比較して制約されることがあります。
そうすると、当該単元未満株主にとって、株式を譲渡することによる投下資本回収は、困難であるといえます。
そこで、単元未満株主に対し投下資本回収の手段を提供する趣旨として、この買取請求を認めており、その機会を保障するために、財源規制を課さないものとしています。
講師 小泉嘉孝
参考になった:4人
koizumi1 2025-07-29 22:38:09
小泉先生、回答をいただきましてありがとうございます。
上場会社の報酬特約について、株式を報酬にする場合の具体的な内容の決定と、募集株式の発行自体の募集事項を混同していたようです。
ご指摘、ありがとうございます。
後半2つの質問の回答もとても腑に落ちました。
制度趣旨の理解と記憶定着の一助にさせていただきます。
また、指名等委員会において監査役が選任できない点についてはうっかり見落として質問をしてしまっていました。
こちらのご指摘もありがとうございます。
ysh557 2025-07-29 23:06:38