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不登法/共同担保/登録免許税法13条の適用
tonton-chan 2017-08-22 22:13:06
共同担保の登記等において登録免許税法13条1項の適用される「不動産等」についてお尋ねします。
解説書には、建設機械と船舶を共同担保とする(根)抵当権設定について、「13条1項の適用なし」との記述があります。これに対して、不動産やみなし不動産どうしを共同担保とする場合には、13条1項の適用があると解釈してよいのでしょうか。それとも、不動産どうしを共同担保とする場合だけに、同項の適用ががあると解釈してもよいのでしょうか。
13条1項の規定における「不動産等」の「等」がどの範囲なのかが把握できずにおりますので、ご教示ください。
同様の問題は、13条2項についてもありますが、13条2項で規定する「不動産等」は、上記の「不動産等」よりも広く、登記、登録が可能な動産も含めて、適用されるのでしょうか。
というのは、ある解説書で、不動産について抵当権の設定の登記をした後、共同担保として船舶に抵当権の設定の登記を申請する場合には、登録免許税法13条2項の適用がある(登記研究482号P181)と記述されています。
ということは、不動産とみなし不動産「以外」の不動産の共同担保では、1項の適用はないが、2項の適用は受けられる、と解釈してよいのでしょうか。さらに、広く解釈すると、不動産以外の登記、登録できる動産どうしでも、2項の適用は受けられるということでしょうか。
やはり、13条2項の「不動産等」の「等」がどの範囲なのかが明確でないために、困惑しております。
この点について併せて、ご教示いただきたくお願い申し上げます。
登録免許税法【抜粋】
(共同担保の登記等の場合の課税標準及び税率)
第13条
一の登記官署等において、同時の申請~により同一の債権のために数個の不動産等に関する権利を目的とする~抵当権の保存若しくは設定、移転又は信託の登記又は登録(以下この条において「抵当権等の設定登記等」という。)を受ける場合には、これらの抵当権等の設定登記等を一の抵当権等の設定登記等とみなして、この法律の規定を適用する。
(中略)
2 同一の債権のために数個の不動産等に関する権利を目的とする抵当権等の設定登記等を受ける場合において、当該抵当権等の設定登記等の申請が最初の申請以外のものであるときは、当該抵当権等の設定登記等に係る登録免許税の課税標準及び税率は、~財務省令で定める書類を添付して当該抵当権等の設定登記等の申請をするものに限り、当該抵当権等の設定登記等に係る不動産等に関する権利の件数一件につき千五百円とする。
tonton-chanさん、こんにちは。
まず、登録免許税13条1項及び2項の「不動産等に関する権利」の範囲は異なっておらず、「不動産、動産、立木、工場財団、鉱業財団、漁業財団、港湾運送事業財団、道路交通事業財団、自動車交通事業財団、観光施設財団、企業担保権、鉄道財団、軌道財団、運河財団、鉱業権、特定鉱業権、著作権、出版権、著作隣接権、特許権、実用新案権、意匠権、商標権、回路配置利用権、育成者権、漁業権、入漁権、ダム使用権又は公共施設等運営権に関する権利」を指します(登録免許税11条1項-『以下第十四条までにおいて「不動産等に関する権利」という。』)。
次に、この登録免許税13条の適用が「共同担保」の関係にある場合に限られるのか否かは、明確にされていない一つの論点の一つです。
①「建設機械と船舶を共同担保とする共同根抵当権の設定の登記は、これをすることはできず、建設機械と船舶のそれぞれにする根抵当権の設定の登記については、登録免許税法13条1項の適用はない」(登研734号)と②「不動産について抵当権を設定した後、同一の債権を担保するため船舶を追加設定として抵当権を設定する場合にも、登録免許税法13条2項の適用がある」(登研482号)は、それぞれ1項と2項を対象とする登記研究となっていますが、この1項と2項で、その対象物件を異にしているとは考えにくいものがあります。
船舶は不動産ではなく、また「みなし不動産」でもないため、民法392条の適用はなく、不動産と船舶を共同担保とする抵当権設定登記は申請することができません(登研41号・56号)。
そこで、上記②の登記研究482号については、確かに不動産と船舶は共同担保の関係にはならないものの、登録免許税法13条2項は、「共同担保」の関係にあることは要件としておらず、単に「同一の債権のために数個の不動産等に関する権利を目的とする抵当権等の設定登記等を受ける場合」と規定しているため、この場合にも、登録免許税法13条2項の適用があると、従前解されていました。
ところが、上記①の「建設機械と船舶」の事案では、あたかも「共同担保」の関係にないため、それぞれにする根抵当権の設定の登記については、登録免許税法13条1項の適用はないと結論づけているように思われます。事案は詳細には記載されていませんが、そもそも「共同担保」とする根抵当権設定登記の申請の可否を問題にしていることから、これは前提として、同一の債権を担保するものと考えます。
そうすると、①と②の間に矛盾が生じていることになります。登記研究で示される見解には時折そういったことが生じますが、これが従来の見解を変更したものか否かは、本件も含め、不明な場合があります。
ただ、小泉予備校のテキスト及び講義では、基本的には新しい見解を採用しています。
ゆえに、基本的には①の登記研究の見解を優先させ、問題に応じて、それではどうしても解答が導けない場合には、②の見解を当てはめてみるというという方法をお勧めします。
講師 小泉嘉孝
参考になった:7人
koizumi 2017-08-24 18:02:22
小泉先生、今回も、ほんとうに丁寧なご回答をしていただきまして、深く感謝申し上げます。
同じ13条でも1項と2項では、同列に考えられない場合もあるということですね。
まずは、基本的な考え方を抑えてみたいと思います。
tonton-chan 2017-08-28 20:25:11