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不登法/抵当権/抵当権の処分の登記
tonton-chan 2017-09-03 23:19:10
抵当権の処分の登記における「登記の目的」「登記原因及びその日付」の書き方についてお尋ねします。
抵当権を他の債権の担保とするため、転抵当権を設定する場合(民法376条1項)に、申請情報の内容として記載する登記原因及びその日付は、
債権の一部を担保するときは、
「年月日金銭消費貸借債権額 万円のうち 万円の年月日設定」(登記記録例420)
となります。
一方、通常の抵当権の設定登記では、債権の一部を担保するときには、
「年月日金銭消費貸借金 円のうち金 円年月日設定」(昭30.4.8民事甲683号)
となります。
両者は、似ているようですが、微妙に異なっています。
具体的には、抵当権の処分の方には、「債権額」という語句が入っています。
同様に、共有抵当権の持分の譲渡又は放棄では、
「年月日金銭消費貸借年月日持分譲渡(又は放棄)」(登記記録例427)
となっているのに対し、
共有抵当権の持分の順位の譲渡又は放棄では、
「年月日順位譲渡(又は順位放棄)」(登記記録例434)
となっており、似たような持分の処分でも、「登記原因及び日付」の記載に、「持分」という語句を明記していません。
このようなことは、登記の目的の記載にもあり、
共有抵当権の持分の順位の譲渡又は放棄では、
「 番抵当権のA持分の 番抵当権への順位譲渡(又は順位放棄)」(登記記録例434)
となっているのに対し、
共有抵当権の持分についての転抵当では、
「 番抵当権A持分転抵当」(登記記録例422)
となっており、
共有抵当権の持分の譲渡又は放棄でも、
「 番抵当権A持分譲渡(又は放棄)」(登記記録例427)
となっており、いずれも「A持分」の前に「の」は入っていません。(非常に細かい話ですが)
抵当権の一部の譲渡又は放棄では、
「 番抵当権の一部(金 万円のうち 万円)譲渡(又は放棄)」(登記記録例426)
となっているのに対し、
抵当権の一部の順位の譲渡又は放棄では、
「 番抵当権の一部(金 万円のうち 万円分)の 番抵当権への順位譲渡(又は順位放棄)」(登記記録例432)
となっており、「分」という語句が入っています。
また、抵当権の一部の転抵当でも、
「 番抵当権の一部(金 万円のうち 万円分)転抵当」(登記記録例421)
となっており、はやり「分」という語句が入っています。
受験生にとって、このような微妙な違いをどこまで正確におぼえなければならないのでしょうか。
つまり、どれが意味のある違いで、どれが影響のない些末なことなのかが判然としません。
全く寸分たがわずに覚えるには、とてもエネルギーが必要です。
いろいろ調べてはみましたが、よく分かりませんので、「受験生」という立場では、どのように対応したらよいのかアドバイスをお願いします。
tonton-chanさん、こんばんは。
私も受験生の時から悩んでいた論点であり、正直、いまだに解決できていません。
一つ一つの微妙な文言の違いにどのような意味が込められているのかを解説している文献にも出会ったことがありません。
あくまで私の個人的な見解ですが、ある程度の規則性はあるものの(債権額の一部を特定する場合は、原則的に「登記の目的」で特定し、括弧を付ける等)、その規則性も絶対ではなく、微妙な文言の違いにはほとんど意味がないと考えています。
おそらく、最初に権威のある人物が記載例を示し、それが慣習的に引き継がれているものではないかと推測します。
そうすると、後は受験対策としてどのレベルが要求されるかということですが、これも法務省が具体的な採点基準を示しているわけではないため、厳密には分かりません。
ただ、基本的な発想として、「登記の目的」「原因」その他の「登記事項」というのは、全国的に統一した文言でこれを実行するものであり、そのためには、一定の「記録例」に従う必要がある。
そうすると、必然的に申請情報の文言も、そのまま登記記録に反映できるように、その記録例に従って提供するというのが原則であると考えざるを得ません。
結果として、微妙な違いも押さえつつ正確な文言で記憶するというのが、最も無難な選択ということになります。
しかし、答案としての採点で、「の」一字、「分」一字によって、正誤が分れるのかと問われると、その程度であれば正解となる可能性は十分にあると、私は考えています。
ゆえに、債権額の一部の特定を「登記の目的」で特定するのか、「原因」で特定するのかは、大きな違いであり、必ず区別をするべきですが、「債権額」「の」「分」「金」については、余裕があれば区別して記憶して下さいというのが、私からの提案です。
tonton-chanさんのように、一度、混乱するものを書き出し、比較し、違いを明確にするというのが、まず第一歩です。
そこから、自分なりに規則性を見つけ出し、まとめます。
そして、仲間とこれをネタにマニアックさを競い、楽しむというのが、私の受験時代の一つの成功体験であり、思い出となっていることを付け加えておきます。
講師 小泉嘉孝
参考になった:6人
koizumi 2017-09-05 23:41:38
小泉先生、ご回答誠にありがとうございました。
最初は理解していたようなつもりでも、後から次々と微妙な違いのあるものが出てくると、いつも「どこまで正確に覚えるのか」との迷いが生じて、それが学習の足かせになっていたような部分がありました。
しかし、今回、先生の体験談を踏まえてのアドバイスをいただいたことで、対策の要領を得たようで、とても気持ちが楽になったような気がします。そして、一見、似たようなものでも、「登記と目的」「原因」の記述については、絶対に見逃せられない区別もあるのだということを教えられたように思います。
今後の学習に活かしていきたいと思います。
tonton-chan 2017-09-06 00:37:52