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不登法/抵当権の変更/元本弁済による利息の登記
tonton-chan 2017-09-24 01:28:54
元本が弁済されたが利息が残債務として残っている場合には、元本弁済を登記原因とする抵当権の変更をすることができます。
元本が弁済される前に、転抵当権が設定されているときは、上記の抵当権の変更の登記を申請するには、当該転抵当権者の承諾が必ず必要になってきます。
そこで、質問なのですが、このような場面が発生するのは、そもそも元本が弁済される前に、転抵当権の設定について原抵当権者への通知又は原抵当権者の承諾を得ていなかった場合ということでしょうか。(1)
転抵当権の設定について原抵当権設定者(債務者)への通知又は承諾がなされて、当該債務者に対する対抗要件が備えられていれば、原抵当権設定者が無断で抵当権者に元本を弁済することはできなくなるので、原抵当権が元本弁済分だけに縮小してしまうという事態を避けることができるはずです。
原抵当権設定者への通知又は承諾を得ていない場合には、債務者によって元本を弁済されても仕方がありません。
この場合、冒頭の抵当権の変更登記の際に必要となる転抵当権者の承諾は、登記上の利害関係を有する者の承諾です。
しかし、ここで、また疑問です。
確かに、債務者に対し転抵当権につき対抗要件が備えていませんが、たとえそうだとしても、転抵当権者は、この承諾を拒むことができるということでしょうか。
つまり、原抵当権が元本弁済分だけに縮小しているという事実があるとしても、抵当権の不可分性のため、それでも転抵当権者の承諾がなければ利息だけを債権額とする抵当権の変更の登記はできないし、裁判で意思擬制の判決を得て当該変更登記をすることもできないということなのでしょうか。(2)
以上(1)と(2)の疑問について、ご教示くださいますようお願い申し上げます。
tonton-chanさん、こんにちは。
元本弁済による抵当権の変更登記は、債権額の減額変更登記の一つであるため、転抵当権者は、常に登記上の利害関係人に該当します。
これは、あくまで登記記録から形式的に判断するものであり、転抵当の設定について債務者への対抗要件(通知又は承諾)が具備されているか否かを問いません。
ただし、転抵当権者に承諾義務があるか否かについては、実体上の判断となるため、転抵当の設定について債務者への対抗要件が具備されており、当該債務者が転抵当権者の承諾を得ることなく抵当権者に弁済を行った場合は、これをもって転抵当権者に対抗することができないため、転抵当権者に承諾義務はなく、それ以外の場合には承諾義務が生じます。
転抵当権者に承諾義務がある場合は、現実の承諾が得られない場合であっても、承諾に代わる裁判を得ることによって、その裁判の謄本を添付することで、抵当権の変更登記を申請することができます。
一方、転抵当権者に承諾義務がない場合は、このような裁判を得ることができません。
講師 小泉嘉孝
参考になった:4人
koizumi 2017-09-28 14:04:10
小泉先生、ご回答誠にありがとうございます。
当方は、この質問を申し上げるに際して、民法の転抵当の解説を復習してみたのですが、先生の解説を拝読しますと、改めて当方に理解力のなさを思い知らされてしまいます。
引き続き、ご指導のほど、よろしくお願いします。
tonton-chan 2017-09-28 20:12:49