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民法/抵当権の処分/順位の放棄
tonton-chan 2017-09-28 23:59:15
2017年 初級 民法19-6 テキスト
抵当権またはその順位の譲渡・放棄の説明箇所で、④抵当権順位放棄順位 (注4)の計算方法についてお尋ねします。
設例において、Aの本来の配当額1000万円とCの本来の配当額800万円で、合計1800万円を双方の債権額で按分しています。
しかし、AがCに対して順位放棄したのは、Aが順位放棄した配当額が1000万円なので、この1000万円をAC双方の債権額(A1000万円、C1400万円)で按分計算し※、Cの最終的な配当額は、Cの当初の800万円に、この按分計算で得られたCの配当額を加算した金額だと考えることができないのでしょうか。
※ Cの按分額=1000×1400/(1000+1400)
Aが、Cの当初の配当額である800万円を含めて、按分計算の対象にしてしまうことに、どうしても抵抗感があります。
抵当権の順位放棄の計算方法としては、どのように考えたら、テキストに示されている方法になるのだと理解できるのでしょうか。
自己流の方法で計算したくないと思っていますので、ぜひとも、計算方法の基本的な考え方についてご教示ください。
tonton-chanさん、こんばんは。
抵当権の順位放棄の計算方法を理解するために、まず「順位放棄」がそもそも何かというところから考えていきましょう。
抵当権の順位放棄は、先順位の抵当権者から後順位の抵当権者等に対して、その順位を放棄することであり、これによって、放棄者と受益者の配当の順位が「同一順位」となる効果が生じます。
「同一順位」の抵当権とは、たとえばAとCが同一不動産に対して、いずれも1番の抵当権を有しているような状態です。
不動産登記法で具体的に学習しますが、同時に申請することによって、各抵当権を1番(あ)1番(い)という形で登記をすることも可能とされています。
この場合の配当は、当然、同一順位であるため、競売代金を各抵当権者の債権額の割合で案分することになります。
そこで、抵当権の順位放棄においても、「同一順位」となるという効果を生じるということは、たとえば1番抵当権者Aから3番抵当権者Cに順位放棄がなされた場合は、A及びCが1番で同一順位となり、3番でも同一順位になっている状態といえます。
ゆえに、その配当額は、1番抵当権としての本来の配当額と3番抵当権としての本来の配当額を合計して、AとCの債権額の割合で案分することになります。
講師 小泉嘉孝
参考になった:3人
koizumi 2017-09-29 23:20:29
小泉先生、ご回答誠にありがとうございます。
抵当権の順位放棄を自分の頭でも理解しようとしていたのですが、どうしても納得できない部分があったので、この質問をしてみました。
「1番抵当権者Aから3番抵当権者Cに順位放棄がなされた場合は、A及びCが1番で同一順位となり、」の箇所についてですが、
私は、次のように考えていたのが間違いでした。
たとえば、1番 A 本来の配当額 3000万円 債権額 3000万円
3番 C 本来の配当額 1000万円 債権額 1000万円
とすると、順位放棄の対象とするのは、Aが本来受ける配当額3000万円についてCと同一順位にする。
そして、この3000万円をAとCの債権額で案分する。
このように考えていたのです。
そうではなく、AとCとの合意により、AとCの順位を同一にするとは、Aにとっても、Cにとっても、それぞれが有する優先弁済権について、同一順位する。それが、順位譲渡であると。
今まで分かっているつもりでしたが、真の意味では全然分かってなく、今回、先生のおかげで、やっと理解することができました。
改めて、先生に感謝申し上げます。
tonton-chan 2017-10-01 17:29:37