ニックネーム | *** 未ログイン ***
不登法/本試験平成29年19問イと令和2年19問エの違い
tdih375 2026-01-29 00:06:07
平成29年19問
甲不動産の所有権の登記名義人Aに相続が生じた場合
イ
Aには子B、C及びDが、Bには子Eがおり、Aの相続開始後Bが死亡し、CとEとが、その各相続分をそれぞれDに譲渡した場合には、相続を登記原因とするAからDへの所有権の移転の登記を申請することができない。
令和2年19問
甲不動産の所有権の登記名義人であるAが死亡し、Aの法定相続人として配者B、子C及び子Dがいるときの相続の場合
エ
Aの遺産分割協議が未了のままDが死亡し、Dの相続人がE及びFである場合において、BがEに、CがFにそれぞれ相続分の譲渡をした上で、E及びF間における遺産分割協議に基づきFが甲不動産を取得することになったときは、Fは、相続分譲渡証明書及び遺産分割協議書を提供して「年月日D相続 年月日相続」を登記原因とするFへの所有権の移転の登記の申請をすることができる。
上記に問題について質問です。
まず、平成29年19問の解説では
「数次の相続人間で相続分の譲渡があった場合は、順次、相続の登記及び相続分の譲渡による持分の移転の登記を申請することを要する(平4.3.18民三1404号)。したがって、CからDへの相続分の譲渡を証する情報を提供して、B及びDへの共同相続の登記を申請した後、BからEへの相続の登記及びEからDへの相続分の譲渡によるE持分全部移転の登記を申請することを要する。」
私は令和2年19問エの肢もこの状況(数次の相続人間で相続分の譲渡があった場合)と一緒と考えて一回で申請はできないと判断しました。
しかし令和2年19問エの肢は⭕️なのです。
なぜこのような違いが生じるのでしょうか?令和2年の方は数次の相続人間で相続分の譲渡があった場合に該当しないのでしょうか?
超有名A論点ですね。 芸能人で例えたら、キムタクと中居くん、みたいなものでしょうか。
この論点、記述でも出ますので、私は、完全暗記で対応していますが(手続法ですので)、一応理論づけするとすれば
平成29年の方は、相続分の譲渡とは言えず、「相続分の相続分の譲渡」ともいうべきものなので駄目で、令和2年のほうの、
この図も何度も目にしてますが(小泉先生の直前予想でも似た感じのがありました)、こちらに関しては、
「数次相続が生じた場合に圧縮登記をする事ができるのは中間の相続人が単独の場合である」
というセオリーから見て、このパターンは原因を見れば、物権変動の過程の公示も果たしており、これは妥当と言えます。
参考になった:1人
bravo-one 2026-01-29 05:42:35
ここで、ちょっと俯瞰して手続法を考える必要があると考えます。
先例やら登記研究やらというのは、例えば現場で「こういう申請来ましたけど甲理論でも、乙理論でもどちらの適用で通してもいいような気がしますけど
どうしますか?」 というものですので、究極的には理屈がありません。 今回のものは筋の通った理論が存在するものでありましたが、「局長がそう判断
した」としか言いようが無いものも存在しますので、そこは、手続法は直球勝負!と思って、割り切ってやらざるを得ない面があります。
bravo-one 2026-01-29 05:50:40
これ、本試験で出たら、「あの時、キムタクとかで例えて言ったやつだなぁ~」と思いながら、余裕を持って解答
できると思います。
論点提示、誠にありがとうございました。
bravo-one 2026-01-29 05:54:49
tdih375さん、こんばんは。
相続人間で相続分の譲渡がなされた場合において、直接譲受人へ相続登記ができるのは、同一順位者間で相続分譲渡がなされた場合に限られます。
平成29年第19問イでは、BCDは同一順位者ですが、EとDは同一順位の相続人ではありません。
したがって、相続を原因として、直接AからDへの所有権移転登記を申請することはできません。
これが原則となります(平4.3.18第1404号)。
一方、令和2年第19問エにおいても、BCとEFでは、同一順位の相続人ではありませんが、その後、EF間で遺産分割がなされている点が、上記と異なります。
遺産の分割は相続開始の時に遡ってその効力が生じ(民法909)、Fが相続開始時に当該不動産を取得したことになるため、遺産分割協議までの間に行われた相続分の譲渡を公示することは、実体上は存在しないはずの物権変動を公示することになるともいえ、そのような登記は不要であるとここでは考えます。
また、Dが単独で相続した不動産について、Dを被相続人とする遺産分割によりFが単独で相続したことになるため、中間者は単独であり、直接Fに対する相続登記が可能となります(平30.3.16第136号)。
ただ、これは、共同相続人間において相続分譲渡と遺産分割がなされた事案であって、共同相続人以外の者に相続分譲渡がなされ、その譲受人との間で遺産分割が成立したケースは、また結論が異なります(登研744号・745号参照)ので注意が必要です。
INPUTテキスト不動産登記法ⅠP265~267
講師 小泉嘉孝
参考になった:3人
koizumi1 2026-01-30 00:04:45
小泉先生
ご回答ありがとうございます。
誠に恐縮なのですが追加で、小泉先生に以下の2点についてご教示いただければ幸いです。
【1点目】
令和2年の問題の事例についてです。
仮に、すでに共同相続人間(B・C・D)で相続登記がされている場合において、その後の遺産分割の結果、不動産をFが取得することとなったときは、
「原因 年月日遺産分割」として、直接Fへの所有権移転登記をすることができる、という理解でよろしいでしょうか。
この点につき、登記研究787号「質疑応答」の以下の要旨を前提に考えています。
登記研究787号「質疑応答」
要旨 亡Xの相続人であるA,B及びCを登記名義人とする相続による所有権の移転の登記がされている甲不動産に関して、Cの相続分をA及びBに対し譲渡する旨の調停がされ、その後、AB間で甲不動産をAの単有とする旨の遺産分割協議が行われた場合には、相続分の譲渡による所有権の移転の登記をすることなく、遺産分割を登記原因として、直接、B及びCからAへの所有権の移転の登記をすることができる。
【2点目】
一方で、小泉先生のご説明にありました、
「ただ、これは、共同相続人間において相続分譲渡と遺産分割がなされた事案であって、共同相続人以外の者に相続分譲渡がなされ、その譲受人との間で遺産分割が成立したケースは、また結論が異なります(登研744号・745号参照)ので注意が必要です。」
との点について確認させてください。
登研744号の質疑応答では、
相続分を譲り受けた第三者が遺産分割により不動産を取得した場合、「相続分の譲渡による遺産分割」を登記原因として直接第三者へ所有権移転登記をすることはできない、とされています。
この場合の処理としては、
① いったん共同相続人間で相続登記を行った上で、
② その後、「原因 相続分の売買(譲渡)」として第三者への所有権移転登記を行う、
という流れになるのでしょうか。
お手数をおかけしますが、ご教示いただけますと幸いです。
よろしくお願いいたします。
tdih375 2026-01-30 00:53:47
tdih375さん、こんばんは。
【1点目について】
登記研究787号は、同順位の共同相続人間で相続分の譲渡と遺産分割がなされたケースであるので、同様に解することができるとはいえません。
令和2年19問エの事案(平30.3.16第136号)は、相続分譲渡の譲受人FはAの直接の相続人ではなく、譲渡人Cとは異順位の共同相続人となっています。
この異順位の共同相続人で相続分の譲渡と遺産分割がなされ、共同相続登記がなされていないケースについては、明確な結論は示されていません。
一般的には、Fを登記名義人とする共同相続登記がなされていない場合に、「遺産分割」を原因として、当該Fに対する持分移転登記は認められないものと考えられます。
登記研究744号では、まさに登記記録上、共同相続人でない譲受人が「遺産分割」を原因とする持分移転登記を受けることについて、公示上問題があるということを論点としています。
ただ、数次相続におけるFは、完全な第三者でもなく、A共同相続人Dの子であって、これを共同相続人の一人とみなすという考え方が全くできないわけではありません(不動産登記実務の視点ⅤP410参照)ので、微妙なところです。
結論が示されていないこの部分が試験で問われることは、ほとんど考えられません。
【2点目について】
登記研究744号は、共同相続による所有権移転登記がなされている不動産を対象とする事案であり、たとえば、所有権登記名義人Xの相続人がABCであり、その相続登記がなされており、①Cから第三者Dへの相続分の譲渡(売買)、②ABD間で、Dが単独で取得する旨の遺産分割がなされた場合は、①CからDへの相続分の譲渡(売買)による持分移転登記と②ABからDへの遺産分割による持分移転登記を要することになります。
共同相続登記がなされていないケースでは、「相続」を原因として、共同相続人への所有権移転登記の申請が必要となります(登研728号参照)
【まとめ】
(1)共同相続人間で相続分の譲渡+遺産分割
①法定相続による登記なし(昭59.10.15第5195号)
⇒直接「相続」を原因として、当該不動産を取得した者に対して、所有権移転登記ができる
②法定相続による登記あり(登研752・753・787号)
⇒直接「遺産分割」を原因として、当該不動産を取得した者に対して、持分全部移転登記ができる
(2)共同相続人以外の第三者に相続分の譲渡+遺産分割
Xの共同相続人ABCのうち、Cが第三者Dに対して相続分を譲渡し、その後、DとABが遺産分割協議をした結果、Dが単独で当該不動産を取得することになった場合
①法定相続による登記なし(登研728号)
⇒次の登記を順次申請
a「相続」を原因として、共同相続人への所有権移転登記
b「相続分の売買」等を原因として、第三者への持分全部移転
Aが単独で当該不動産を取得することになった場合(登研753号)
a「相続」を原因として、共同相続人への所有権移転登記
b「相続分の売買」等を原因として、Cから第三者Dへの持分全部移転登記
c「遺産分割」を原因として、BDからAに持分全部移転登記
②法定相続による登記あり(登研744・745号)
⇒次の登記を順次申請
a「相続分の売買」等を原因として、第三者への持分全部移転登記
b「遺産分割」を原因として、第三者への持分全部移転登記
(3)異順位の共同相続人に相続分の譲渡+遺産分割(中間者単独)
①法定相続による登記なし(平30.3.16第136号)
⇒直接「年月日○○相続年月日相続」を原因として、当該不動産を取得した者への所有権移転登記
②法定相続による登記あり
⇒不明
koizumi1 2026-01-31 18:16:43



