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会社法/新株発行の瑕疵
kujirakun 2017-10-19 22:46:04
差止と無効・不存在の区別は新株発行の効力が生じる前か後かで区別しています。
新株発行の効力が生じるのは何時でしょうか。
また、株券の効力発生時期とは別物なのでしょうか。
ご多忙中、すみません。よろしくお願いいたします。
kujirakunさん、こんばんは。
(1)新株発行の効力が生ずる(当該株式の株主となる)時期は、以下のとおりです(会社209)。
①払込期日を定めた場合は、当該期日
②払込期間を定めた場合は、出資の履行をした日
(2)株券の発行時期は、以下のとおりです(会社215)。
①公開会社
⇒株式を発行した日(上記(1)の効力発生日)以後、遅滞なく株券を発行することを要する(215Ⅰ・Ⅳ)
②非公開会社
⇒株主から請求がある時までは、株券を発行しないことができる(215Ⅳ)
(3)株券としての効力発生時期
会社が会社法216条所定の形式を具備した文書を株主に交付した時に、当該文書に株券としての効力が発生する(最判昭40.11.16)。
第209条 募集株式の引受人は、次の各号に掲げる場合には、当該各号に定める日に、出資の履行をした募集株式の株主となる。
一 第百九十九条第一項第四号の期日を定めた場合 当該期日
二 第百九十九条第一項第四号の期間を定めた場合 出資の履行をした日
第215条 株券発行会社は、株式を発行した日以後遅滞なく、当該株式に係る株券を発行しなければならない。
2 株券発行会社は、株式の併合をしたときは、第百八十条第二項第二号の日以後遅滞なく、併合した株式に係る株券を発行しなければならない。
3 株券発行会社は、株式の分割をしたときは、第百八十三条第二項第二号の日以後遅滞なく、分割した株式に係る株券(既に発行されているものを除く。)を発行しなければならない。
4 前三項の規定にかかわらず、公開会社でない株券発行会社は、株主から請求がある時までは、これらの規定の株券を発行しないことができる。
第216条 株券には、次に掲げる事項及びその番号を記載し、株券発行会社の代表取締役(指名委員会等設置会社にあっては、代表執行役)がこれに署名し、又は記名押印しなければならない。
一 株券発行会社の商号
二 当該株券に係る株式の数
三 譲渡による当該株券に係る株式の取得について株式会社の承認を要することを定めたときは、その旨
四 種類株式発行会社にあっては、当該株券に係る株式の種類及びその内容
講師 小泉嘉孝
参考になった:3人
koizumi 2017-10-20 23:28:22
小泉嘉孝先生
ご多忙中、申し訳ありません。
大変勉強になりました。
ありがとうございます。
ちなみに、株券に何らかの効力があるのでしょうか?
株券を発行しないこともできる以上、特に意味があるようには
思えません。
議決権の行使や配当を受け取ることに株券は不要のはずです。
先生、よろしくお願いいたします。
kujira
kujirakun 2017-10-21 01:32:16
kujiraさん、こんばんは。
株券発行会社では、株式の譲渡・質入れするには、株券の交付が必要であり(会社128Ⅰ・146Ⅱ)、当事者間では、それによって効力が生じます。
また、取得請求権付株式の取得請求や株式買取請求には、株券の提出が必要となっています(会社166Ⅲ・116Ⅵ・182の4Ⅴ・469Ⅵ・785Ⅵ・797Ⅵ・806Ⅵ)。
ただ、kujiraさんの記載されているとおり、株主名簿に記載された株主は、会社に対して権利行使をするためには、上記のような場合を除き、株券の提出が要求されているわけではなく、また、非公開会社では、頻繁に株式の譲渡や質入れがなされることはありません。
非公開会社が株券発行会社となっている場合に、各株主から請求があるまでは会社が株券を発行しないことができるとされている(会社215Ⅳ)理由は、そのことと繋がっています。
もちろん頻繁に譲渡がなされているのは上場された株式ですが、上場するためには、振替株式とする必要があり、株券の発行を廃止しなければなりません。
そうすると、実際にも株券が発行され、それが利用されている場面は、非常に少ないといえるでしょう。
講師 小泉嘉孝
koizumi 2017-10-23 23:45:06