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民法/制限行為能力者の行為
oyajisan 2017-10-31 12:50:46
平9-1-2の選択肢には、「成年被後見人が成年後見人と利益の相反する行為をしたとき」とあるのですが、具体的事例を想定できません。成年被後見人をA、成年後見人をB、第三者をCとして、具体例を教えて下さい。なお、択一試験の場合、問題文に書かれていない事情は、一切考慮できないのが、鉄則ですから、「成年後見人から、成年被後見人に対して、成年後見人自身の財産処分について、授権されていた」というような事情は、問題文に書かれていない以上、付け加えないで考えて下さい。
oyajisanさん、こんばんは。
成年被後見人Aと成年後見人Bの間で売買契約がなされた場合が、その典型例です。
後見監督人がある場合は、後見監督人が被後見人を代理し、後見監督人がない場合は、特別代理人が被後見人を代理することになります(860)。
本肢の「成年被後見人が成年後見人と利益の相反する行為をしたとき」 とは、上記後見監督人や特別代理人が代理することなく、成年後見人Bが自ら成年被後見人Aを代理したということです。
講師 小泉嘉孝
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koizumi 2017-11-02 21:33:09
回答有難うございます。
質問の事案と回答の事案が、違います。
本肢で問題となっているのは、回答にあるような「成年後見人が、成年被後見人を代理した場合」ではなく、「成年被後見人が、何ら授権なくして、成年後見人との間で、利益相反する行為を行った場合」です。行為主体は、成年被後見人です。
oyajisan 2017-11-03 11:39:50
oyajisanさん、こんにちは。
同じ日本語の文章に対して、いくつかの解釈が成立するのは当然ですが、試験問題である以上、「法的論点」から、出題者の意図(文章の意味)を掴んでいく必要があります。
本肢では、「成年被後見人が成年後見人と利益の相反する行為をしたときは、成年後見人は、その行為を取り消すことができるが、被保佐人が保佐人と利益の相反する行為をしたときでも、保佐人は、その行為を取り消すことができない。」という問題ですから、論点は、それぞれの「利益相反行為の効果」です。
さらに、この効果について、後見と保佐に違いがあるか否かを問うものです。
つまり、後見監督人や特別代理人が代理することなく、成年後見人が自ら成年被後見人を代理した(860条に違反した)場合の効果について、従前は無効と解されていました(大判大2.7.3)が、その後、判例は変更され、無権代理と解されるようになりました(最判昭45.5.22・ 追認の対象になることを認めたものとして大判昭18.8.3)。
また、平成9年の出題当時は、後見制度に関する民法の改正前ですから、保佐人には代理権が一切認められていなかったため、取消権も否定されるというのが判例の見解でした(大判大11.6.2)。
現行民法では、保佐の部分については、当該保佐人に代理権が付与されていた行為か否かについても区別をして検討しなければならないため、このような形のまま再度出題がなされることは考えにくいでしょう。
上記のような「法的論点」が存在することを踏まえると、本肢の「成年被後見人が成年後見人と利益の相反する行為をしたとき」 とは、何も特別な場面ではなく、前記のとおり、後見監督人や特別代理人が代理することなく、成年後見人Bが自ら成年被後見人Aを代理した(860条に違反した)という場面を出題者は想定していると読み取ることが必要です。
また、そうしなければ、「法的論点に対応する解答」は不可能となってしまいます。
出題の不完全さを追及したところで、合格には結びつきません。
むしろ、その不完全さを自分からフォローする技術と心が必要です。
そして、oyajisanさんが本気でこの問題に取り組みたいのであれば、試験に合格し、研究と発表を重ね、ご自身が試験委員となられたときに、新しい世界を生み出されるでしょう。
これは皮肉で言っているのではありません。
何かを変える人、新しいものを生み出す人は、いつも心が自由で、湧き出す思いを抱いているということです。
講師 小泉嘉孝
koizumi 2017-11-04 06:09:23