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kujirakunさん、こんばんは。

ナイスなご指摘です。

確かに債務の承継に係る債権者の承諾は、「債務を免除する」という承諾ではありませんから、事業譲渡によって債務が承継されているならば、商号続用の有無にかかわらず、債権者が譲受会社に請求できるのは当然であり、会社法22条の実益は何かということになります。

事業譲渡では債務も承継されるのが原則ですが、実は会社法22条は事業に係る債務につき譲渡人が依然として債務者である(つまり、債務が承継されていない)例外的な場合を前提としています。

当該規定は、商号が続用される場合の債権者の信頼(債務が承継されたとの信頼)を保護し、不測の損害を避けることをその趣旨としています。

また、元々の債務者である譲渡会社は、当該規定により債務を免れるわけではなく、譲受会社とは不真正連帯債務の関係に立ちます。

会社法・商法テキストⅢP184を参照して下さい。

第22条 事業を譲り受けた会社(以下この章において「譲受会社」という。)が譲渡会社の商号を引き続き使用する場合には、その譲受会社も、譲渡会社の事業によって生じた債務を弁済する責任を負う。

2項以下省略

講師 小泉嘉孝

参考になった:1

koizumi 2017-11-02 22:00:30

小泉先生
ご多忙中、返信ありがとうございます。

1 事業譲渡には、①プラ・マイ含めて事業全体を譲渡
         ②債務を除いてその他のプラスの部分のみを譲渡
        の2類型があるという理解でよろしいのでしょうか。

2 そう言えば、個人の場合であっても、民法424などの無資力事例がありました。
会社の場合も、本来の債務者に弁済を求めたい場合は、民法424使えるのでしょうか。
譲渡を無かったことにする方法としては、利益供与、タコハイ、平等原則違反をあげることができますが、
そべて、譲渡先が既存の株主に限定されます。
単なる取引先に事業を譲渡した場合には、民法の規定424・94・177等を使うしかないのでしょうか。

3 事業の譲受人に弁済を求めたい場合
法人格の否認または会22が考えられますが、
会22は、事業が譲渡されながら、債務が譲渡されていない場合で且つ商号が続用されている場合に適用
その他が、法人格否認でよろしいのでしょうか。
使い分けができません。

先生よろしくご教授ください。
お願いいたします。

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kujirakun  2017-11-02 23:19:31

kujirakunさん、こんばんは。

1 事業譲渡の類型は、大きく分類すると「全部」又は「一部」ということになります。「一部」の中には、あらゆるパターンが考えられます。

2 kujirakunさんが記載されている「本来の債務者に弁済を求めたい」という「本来の債務者」とは、「譲渡人(譲渡会社)」のことだと思われますが、「譲渡人(譲渡会社)」が「譲受人(譲受会社)」にj事業譲渡に際して債権を承継させたという事案でしょうか?

仮にそうであると想定しても、詐害行為取消(民法424)、通謀虚偽表示(民法94)等、それぞれに要件があり、いずれも債務者たる「譲渡人(譲渡会社)」が他に事業譲渡をもって債権を承継させたというだけではその要件をみたしているとはいえず、各事案毎に検討する必要があります。

3「事業の譲受人に弁済を求めたい」ということですが、まず、事業譲渡によって、債務が承継されているのであれば、もちろん、債権者は譲受人に請求することができます。

会社法22条は事業に係る債務につき譲渡人が依然として債務者である(つまり、債務が承継されていない)例外的な場合において、商号の続用があることを要件として、債権者の信頼(債務が承継されたとの信頼)を保護し、不測の損害を避けるため、元々の債務者である譲渡人だけでなく、譲受人にも請求できるとしたものです。

また、単に事業譲渡をもって債務の承継がなされたというだけでは、法人格否認の法理を適用することもできません。

各制度の当てはめを検討するときは、まず、具体的な事案(ex.A会社がB会社に対して有する債権を事業譲渡に際して譲受人Cに承継させ、このとき・・・・・・である場合は、・・・)を作成し、図を描き、その上で文章を構成していくと、自分の中で論点が整理されてきます。

講師 小泉嘉孝

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koizumi  2017-11-17 23:29:32



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