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会社法/種類株式/要綱で足りる事項
tonton-chan 2017-11-01 00:06:43
会社法108条関係で質問します。
種類株式については、原則として、その具体的内容を定款で定めなければならない。(2項)
そのうち一定事項については、その要綱を定款で定めれば足りる。(3項)
ということになっていますが、「要綱を定款で定める」ということは、結局、その要綱の内容は定款に定めるということでしょうか。
たとえば、2017年向け会社法・商法1-4 テキスト 22ページの表において、
⑤取得請求権株式の行で、要綱で足りる事項の列に、
a取得請求できる期間
b取得対価の内容、数又は算定方法
と書いてありますが、定款には、aもbも定めなければならないとすると、
「取得請求できる期間は、平成年月日から平成年月日、取得対価は~万円分~社債」などとなるように思います。
そうすると、初めてその種類株式を発行するときまでに、具体的に定める事項というものはほとんどなくなってしまうように思えます。
社債が取得対価のときには、利息や償還期限など、細かい事項があるかもしれませんが、取得請求できる期間の定めは、
「平成年月日から平成年月日」以外には考えられないため、要綱などと言わず、最初から定款に定めておけばよいと思ってしまいます。
この「要綱を定款で定める」の「要綱」について、どのように捉えたらよいのか、ご教示くださいませ。
tonton-chanさん、こんばんは。
その(種類株式)の内容の要綱を定款で定めなければならない(108Ⅲ)ということなので、まさに要綱の中身を定款で定めることになります。
そして、この「要綱」として、どの程度の内容を定款に定めておくべきかについては、「定款変更後において行われる細目の決定において、株主総会又は取締役会が、どの程度の範囲で裁量を有するかを判断することができるようにするための参考となる事項について定めれば足りる」(「論点解説 新・会社法」P59)、あるいは「他の種類株主の合理的な予測可能性を担保する程度に明確でなければならない」(会社法コンメンタール3P87)等の見解が示されていますが、具体的なところは明確になっておらず、個別事案ごとに検討しなければならないとして、実務的な課題となっています。
そこで、本試験においてこれを具体例で示し、「要綱」としてクリアしているか否かを判断させる問題が出題されることは、まず考えられません。
ゆえに、試験対策としてもこの部分を厳密に詰めておく必要はなく、また不可能ないし著しく困難なのですが、たとえば取得請求期間であれば、要綱として定める時点において想定される最短期間や最長期間を定めておき、その後、具体的期間として、平成○年○月○日から平成○年○月○日までと定めることが考えられます。
講師 小泉嘉孝
参考になった:2人
koizumi 2017-11-03 18:16:04
小泉先生、ご回答誠にありがとうございます。
期間といっても最短、最長などの例は、自分ではとても思いつきませんでした。
このとても分かりやすい例のおかげで、「要綱」と「具体的内容」の違いのイメージを当方なりに掴むことができました。
以前は、「要綱」と言われて全く見当がつかず困っているところでしたので、たいへんありがたいです。
「要綱」には、実務上の課題があることも教えていただき、初学者としては少々肩の荷が下りたような気持ちにもなりました。
tonton-chan 2017-11-03 21:33:35