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不登法/抵当権/抵当権の抹消/混同
tonton-chan 2017-11-04 17:39:45
混同を原因とする抵当権の登記の抹消についてお尋ねします。
2017年後期 不登法9-5 テキスト166ページ以下を拝読させていただきましたが、
他の参考書に気になる次の解説がありました。
抵当権者が抵当権の目的である不動産の所有権を取得した場合でも、後順位の抵当権の設定の登記がされているときは「年月日混同」を登記原因として、自己の抵当権の設定の登記の抹消を申請することはできない。
同順位の抵当権者が存在する場合も、混同は生じない(登記研究537号p200)。
これは、平成10年第20問のイの問題だそうですが、次の追加解説もありました。
混同が生じた日は、後順位の抵当権者や転抵当権者が存在するため混同が生じなかったが、その後、後順位の抵当権等が弁済等により実体上消滅した場合は、当該消滅の日が登記原因の日付となる(登記研究15p32)。
確かに、混同を原因に消滅する抵当権が他の権利の目的となっている場合(上記の追加解説では、「転抵当権者が存在」する場合)では、抵当権は消滅しないことことは理解できます。
しかし、混同が生じた先順位抵当権は、消滅してしたとしても、後順位者は何ら不利益とはならないため、後順位抵当権が消滅しないという理由が全く理解できません。
この点についてご教示くださいますよう、お願いします。
tonton-chanさん、こんばんは。
今回はtonton-chanさんが疑問に思われている論点が、私の方でうまく把握できず申し訳ないのですが、特に「後順位抵当権が消滅しない」という部分が理解できません。
上記登記研究15p32は、たとえば、1番と2番の抵当権が設定されており、1番抵当権者が所有権を取得しても、2番の抵当権が存在している間は、1番抵当権につき混同は生じない。
その後、2番の抵当権が債務者からの弁済により消滅した場合は、1番抵当権について、混同の例外となる部分が除去されたため、この時点で、原則どおり混同が生じ、消滅する。
この場合の1番抵当権抹消登記の原因日付は、2番抵当権が実体上消滅した日(弁済の日)である、という内容と考えます。
tonton-chanさんの疑問に思われている部分が他にある場合は、追記をお願いします。
講師 小泉嘉孝
参考になった:4人
koizumi 2017-11-07 23:09:18
次のとおり追記申し上げます。
「1番と2番の抵当権が設定されており、1番抵当権者が所有権を取得しても、2番の抵当権が存在している間は、1番抵当権につき混同は生じない。」という部分がどうしてなのか、が理解できないのです。
混同の例外の民法の規定は、すでに学習済みです。
それでも、私の民法の根本的な部分の理解が足りないか、この登記研究で想定している場面を取り違えてしまっているのかもしれません。
なお、登記研究という雑誌を購読していないので、登記研究15p32が具体的に、どのような場面かが分かりませんが、次の設例は、文理から当方が推測したものです。
まずは、2番抵当権といった後順位者が存在しない場合です。
抵当権者Aが甲土地に1番抵当権の設定を受けているとします。
そこで、Aが甲土地を取得すると、権利混同によりAの抵当権は消滅します。
しかし、問題は、同じ土地に、抵当権者Bが2番抵当権の設定を受けている場合です。
これが登記研究における問題の場面です。
この場合に、Aが甲土地を取得しても、Bの2番抵当権が存在している間は、混同によりAの抵当権は消滅しない。
と説かれています。
これが、なぜなのか、ということです。
思うに、2番抵当権者Bが目的としているのは、甲土地です。消滅するはずの1番抵当権ではありません。
このため、Aの1番抵当権が消滅しても、Bにとっては、何ら不利益が生じません。
むしろ、1番抵当権が消滅すれば、Bは、順位が上昇して、甲土地の交換価値を独占できます。
それなのに、なぜ、「2番の抵当権が存在している間は、1番抵当権につき混同は生じない」のかということが疑問点というわけです。
1番抵当権に転抵当権者Cがいる場合という場面でしたら、理解できます。
1番抵当権は、Cの権利を前提として、その存在価値があるので、1番抵当権が混同により消滅してしまっては、Cは困るのです。
この場合は、混同の例外が適用されて、1番抵当権は消滅しない、ということは分かります。
以上、追記しましたが、どうでしょう。ご教示いただけるとありがたいです。
tonton-chan 2017-11-08 22:10:29
tonton-chanさん、こんばんは。
1番と2番の抵当権が設定されており、1番抵当権者Aが所有権を取得しても、2番の抵当権が存在している間は、1番抵当権につき混同は生じない、となっているのは、2番抵当権者Bの利益を保護するためではなく、1番抵当権者Aの利益を保護するためです。
つまり、元々、第2順位のBは、第1順位のAに劣後する形でしか優先弁済を受けられなかったわけですが、混同により1番抵当権が消滅すると後順位者であるBが順位上昇し、第1順位での優先弁済を受けることになります。
しかし、1番抵当権者Aが所有権を取得したことによって、2番抵当権者Bにそのような反射的利益をもたらすことは不合理であると考えます。
そこで、たとえ2番抵当権者Bが当該抵当権を実行しても、あくまで1番抵当権が存続している以上、Bには第2順位としての配当のみを認めることで、1番抵当権者Aの利益を保護するという趣旨です。
民法のテキストⅡ P117(6)は、理由として簡単にしか記載していませんが、そのような意味です。
講師 小泉嘉孝
koizumi 2017-11-08 23:27:13
小泉先生、ご回答誠にありがとうございます。
混同の例外のポイントとなる部分でした。
当方の民法の知識が不足していたことが原因だったと痛感しているところです。
丁寧なご対応に厚くお礼申し上げます。
tonton-chan 2017-11-09 22:16:36