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会社法/株式の譲渡制限の公示について
2020-atsuko 2017-11-19 15:36:09
2017年 会社法・商法3-3
テキスト94ページ
株券発行会社ではない株式会社の譲渡制限の公示について教えて下さい。
①登記(911条3項7号)には発行する株式の内容が株式会社の設立の登記の登記事項となっています。この登記により確かに、当該会社は譲渡制限株式発行会社とわかりますが、株式の売買をするのが譲渡制限付き種類株式ときに、その種類株式に譲渡制限が付いているかどうかをどうやって知ることができるのでしょうか。
Rockyがおっしゃっているように、株式名簿にも譲渡制限について記載が不要なので、これでは複数の種類株式が発行されていて、そのうちのある種類の種類株式を売買するときは取引の安全という観点で不安になると思います。
基本中の基本で、試験ではそのような知識は必要ないかもしれませんが、よろしくお願いします。
2020-atsukoさん、こんにちは。
たとえば登記で公示されている譲渡制限のついた甲種類株式について、株券が発行されていなければ、取得する株式がその甲種類株式であるか否かは、当然には判明しないということになります。
そこで、取締役安全の保護としては、当該譲渡につき会社が承認をしなかった場合に、当該譲渡の効力が否定されるかというと、少なくとも当事者間では有効あるというのが判例(最判昭48.6.15)ですから、まず当該株式の「取得」という点では問題がないといえます。
また、当該譲渡が「有効」であることを前提に、取得者からも、会社に対して取得を承認するか否かの決定をすること及び取得を承認しない場合には会社が買い取るか指定買取人を指定することを請求することができる(137Ⅰ・138②)となっています。
一方、実務的には、契約書を交わし、種類株式発行会社であるならば、まず譲渡の対象となっている株式の種類(ex.甲種類株式)を特定し、さらにそれが譲渡制限株式であるならば、「本契約による本件株式の移転につき、○○株式会社の取締役会の承認を得るための手続きを行うものとする。」等の条項が記載されているのが通常であり、仮に記載がなければ、その必要性の有無を明確にすべきだといえます。
講師 小泉嘉孝
参考になった:3人
koizumi 2017-11-21 13:05:17
小泉先生、ありがとうございました。
たとえ取得した株式が譲渡制限株式だったとしても、株式会社か指定買取人に買い取ってもらえるので、取引の安全という観点では、手当てが用意されているということですね。
株式名簿に譲渡制限が付いているかどうかの記載がなくてもよいとは、わたしとしては理解しがたいものがあります。
株式会社にとっても、いろいろな種類株式がある中で、何を客体にしているのか、わかりずらいものとなると思うのですが。
しかし、会社法上、そういう仕組みになっていると覚えるしかないですね。
これからもご指導、ご鞭撻の程、よろしくお願い致します。
2020-atsuko 2017-11-22 22:07:45
2020-atsukoさん、こんばんは。
株主名簿の記載・記録事項として、直接には、譲渡制限に関する事項は要求されていませんが、種類株式発行会社では、各株主の有する株式の種類及び種類ごとの数が記載・記録事項となっています(会社121②)ので、会社は各株主の有する株式が譲渡制限株式か否かは把握できるようになっています。
ただ、株主名簿の閲覧・謄写を請求できるものは、株主・債権者・親会社社員に限定されているため、登記のように何人に対しても公示されてるわけではありません。
講師 小泉嘉孝
第121条 株式会社は、株主名簿を作成し、これに次に掲げる事項(以下「株主名簿記載事項」という。)を記載し、又は記録しなければならない。
一 株主の氏名又は名称及び住所
二 前号の株主の有する株式の数(種類株式発行会社にあっては、株式の種類及び種類ごとの数)
三 第一号の株主が株式を取得した日
四 株式会社が株券発行会社である場合には、第二号の株式(株券が発行されているものに限る。)に係る株券の番号
第125条 株式会社は、株主名簿をその本店(株主名簿管理人がある場合にあっては、その営業所)に備え置かなければならない。
2 株主及び債権者は、株式会社の営業時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。この場合においては、当該請求の理由を明らかにしてしなければならない。
一 株主名簿が書面をもって作成されているときは、当該書面の閲覧又は謄写の請求
二 株主名簿が電磁的記録をもって作成されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧又は謄写の請求
3 株式会社は、前項の請求があったときは、次のいずれかに該当する場合を除き、これを拒むことができない。
一 当該請求を行う株主又は債権者(以下この項において「請求者」という。)がその権利の確保又は行使に関する調査以外の目的で請求を行ったとき。
二 請求者が当該株式会社の業務の遂行を妨げ、又は株主の共同の利益を害する目的で請求を行ったとき。
三 請求者が株主名簿の閲覧又は謄写によって知り得た事実を利益を得て第三者に通報するため請求を行ったとき。
四 請求者が、過去二年以内において、株主名簿の閲覧又は謄写によって知り得た事実を利益を得て第三者に通報したことがあるものであるとき。
4 株式会社の親会社社員は、その権利を行使するため必要があるときは、裁判所の許可を得て、当該株式会社の株主名簿について第二項各号に掲げる請求をすることができる。この場合においては、当該請求の理由を明らかにしてしなければならない。
5 前項の親会社社員について第三項各号のいずれかに規定する事由があるときは、裁判所は、前項の許可をすることができない。
koizumi 2017-11-22 23:49:21