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商登法/平成26年第33問ウ、エについて
Kazu1234 2018-01-17 17:24:54
公開会社でない株式会社における募集株式の発行による変更の登記に関して
ウ 株主に株式の割当てを受ける権利を与えないでする募集株式の発行の場合において、払込みの期日が、募集事項の決定をした株主総会の決議の日の10日後であったときは、募集株式の発行による変更の登記の申請書に、期間の短縮についての総株主の同意を証する書面を添付しなければならない。
↓
誤り。
公開会社でない株式会社は株主総会で募集事項を決定するので、発行の差止めの機会をあたえる通知は不要でありますが、株主総会に参加していなかった株主は発行の差止めの機会がないことになるのですが、これは発行の差止めは機会があった株主だけが利用できればよいとの理解でよろしいでしょうか?
エ 株主に株式の割当てを受ける権利を与えてする募集株式の発行の場合において、募集株式の引受けの申込みの期日が、募集事項の決定をした株主総会の決議の10日後であったときは、募集株式の発行による変更の登記の申請書に、期間の短縮についての総株主の同意を証する書面を添付しなければならない。
↓
正しい。
公開会社でない株式会社は株主総会で募集事項を決定しますが、株主総会に参加していなかった株主にも株主割当ての権利がある旨の知らせをする必要があるからとの理解でよろしいでしょうか?
Kazu1234さん、こんばんは。
ウについて
「株主総会に参加していなかった株主は発行の差止めの機会がないことになる」「発行の差止めは機会があった株主だけが利用できればよい」としてしまうと、少しニュアンスが異なってしまいます。
まず、差止請求は、既存株主の不利益となる募集株式発行を効力発生前に差止めようというものであり、その前提として、当該募集株式発行の内容(募集事項)を株主が認識する機会が与えられなければなりません。
そこで、公開会社が取締役会決議で募集事項を決定する場合において、株主に当該募集事項を知らせてやろうというのが、会社法201条3項4項の通知・公告です。
一方、株主総会で募集事項を決定する場面であれば、当該決議を通じて、その内容を既に認識しているため、別途、通知や公告は要しないとしています。
また、この株主総会の開催にあたっては、事前に招集通知がなされており(特に有利発行については、議題だけでなく議案の概要も必要-施規63⑦)、その決議に参加する機会は与えられている以上、そこに出席せず、募集事項を認識できていないことは株主側の責任であるといえます。
しかし、他の株主から募集事項に係る情報を得た場合等であっても差止請求は可能であって、株主総会に出席したことが差止請求の要件ではないため、「株主総会に参加していなかった株主は発行の差止めの機会がないことになる」「発行の差止めは機会があった株主だけが利用できればよい」という表現は、厳密にいうと正確ではありません。
エについて
株主割当ての場合において、申込期日の2週間前までに株主(当該株式会社は除く)に対し、通知しなければならない事項は、①募集事項、②当該株主が割当てを受ける募集株式の数、③申込期日であり(会社202Ⅳ)、これは、当該株主に申込みの準備の機会を与えるためのものです。
次に、決議で決定すべき事項は、上記①及び③であり、②は含まれていません(会社202Ⅰ)。
そこで、②は各株主がそれぞれ準備すべき金額に影響するものですから、たとえ全員出席の株主総会で決議を行った場合であっても、上記通知の必要性は失われていないといえます。
講師 小泉嘉孝
参考になった:2人
koizumi 2018-01-20 15:38:22
小泉先生 おはようございます
株主総会の開催にあたっては、事前に招集通知がなされているので、決議に参加する機会は与えられており、総会出席せず、募集事項を認識できていないことは株主側の責任で、また募集事項情報を他の株主から得た場合でも、自らが株主であることには変わらないので差止請求権を行使できるのですね。
株主割当てにつきましても株主の資金調達に影響するものなんですね。
先生ほんとうにありがとうございます。
手元にあるスクールのDVD、テキスト及び市販の参考書等で調べたのですがすっきりせず、先生の回答ですべてすっきりしました。
ありがとうございました。
Kazu1234 2018-01-21 11:05:01