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hijk58さん、こんばんは。

①と④について
売主に抵当権の負担を負わせるのか抵当権者を保護するのかというのは、まさに民法で学習した解除と第三者の論点となります。

つまり、上記事例において、抵当権者は解除前の第三者であり、売主を犠牲にして抵当権を存続させるには、権利保護要件として抵当権者に抵当権の登記を要求することでバランスを保つということになります。

結果、当該事例では、抵当権の登記がなされているため、解除により売主に復帰した所有権には抵当権が存続していることになります(抵当権者には、抹消登記に承諾する義務はないということを意味します)。

この場合、売主は物上保証人的地位にあるといえますが、自ら抵当権者と設定契約を締結したわけではなく、抵当権設定後に当該不動産を取得しているため「第三取得者」と表現するのが正しいといえるでしょう。

また、売主に未履行債務(ex.不動産の引渡債務)がある以上、契約を解除をしなければ、当該債務を免れることはできないため、その範囲で売主からの解除には実益が生じます。

③について
解除がなされた場合の買主が取得する代金返還請求権への物上代位については、これが認められる可能性はあると考えます。

②について
何を根拠とした、どの損害についての損害賠償請求権のことであるのかが質問文から読み取ることができませんが、売買契約から生じた買主の債務につき、債務不履行があり、これに基づく損害賠償請求であれば、その損害(ex.代金支払債務の不履行)に応じた請求は認められることになります。

ただし、復帰した所有権に抵当権が存続しているということだけ(抵当権が実行されておらす、売主は所有権を失っていない時点)であれば、特約がない限り、単にそのことをもって売主に法律上の損害が発生していると主張することは困難といえます。

講師 小泉嘉孝

参考になった:2

koizumi 2018-03-21 21:04:12

先生こんばんは!

長々としたご質問にご丁寧なご回答ありがとうございます。

④についてですが、
売主に未履行債務(ex.不動産の引渡債務)がある場合は実益があるということですが、
売主の方は不動産の引渡債務等、債務を完全に履行してた場合で買主だけが債務の履行をしてない場合、
場合によっては実益がないことがあるということでよろしいのでしょうか?


例えばですが、

買主(山本)と売主(田中)で土地の売買代金1000万円とする売買契約が成立。
ただし、買主(山本)は10回の分割払いでよく、売主(田中)は先に、引渡し義務と登記義務を負うものとする。

売主(田中)は引渡し義務と登記義務完了

買主(山本)は抵当権者(鈴木)との間で抵当権設定契約

買主(山本)は売主(田中)に9回分つまり900万円までは支払ったが、あと一回分の100万円が支払われなくなり、債務不履行をおこした。

このような事例で
売主(田中)が買主(山本)に対して相当な期間を定めて催告をしたが、それでも支払われない場合、
売主(田中)は解除権を行使できると思いますが、
ここで売主(田中)が解除権を行使してしまうと
売主(田中)は受け取った900万円の代金に利息をつけて返還しなければならず、
さらに返還された土地には抵当権がついていることになり、
それならば、売主(田中)はあえて解除権を行使しない方が
いいのかなと思ってしまったのですが
どうなのでしょうか?

何度もすみませんがよろしくお願いします。



※あと、いくつかのテキストで、
 補正情報にも載ってない箇所で
 これは誤植なのかなと思われる箇所をいくつか発見したのですが、
 初心者の私の理解不足なのか誤植なのか確信がもてないのですが、
 この質問広場で確認した方がよろしいのでしょうか?

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hijk58  2018-03-21 23:32:34

hijk58さん、こんばんは。

経済的な観点から、解除が売主に利益をもたらすか否かを判断するには、あらゆる面から検討する必要あり、抵当権の負担と利息の要素だけで一概にこれを決めることはできません。

たとえば、抵当権は買主が抵当権者に弁済することで消滅するため、必ずしもこれが実行され、売主が所有権を失うとは限りません。

また、確かに売主は受領した代金に利息を付して返還することになりますが、受領した代金を運用することで既にその利息を上回るだけの利益を得ている可能性もあります。

さらに、不動産が売買当時(1000万円)よりも高騰している(2000万円)のであれば、解除により所有権を回復すると同時に第三者弁済により抵当権を抹消した上で、別の第三者に売却することで、結果として、当初予定していたよりも大きな利益が売主にもたらされる可能性もあります。

ゆえに、このような視点での検討は、もちろん実務上は大切ですが、現時点では軽く流しておくべきで、受験勉強としてはあまり実益がなく、先へ進めなくなってしまう弊害の方が大きいといえます。

まずは、解除の効果として、原状回復としての所有権の復帰と未履行債務の消滅、これと同時に損害賠償請求権が認められることの法律構成をどうするか、第三者との関係(解除前・解除後)、そして、その前提としての解除のための要件、これらが流れとして頭の中で次々に展開されるようになっていれば十分です。

誤植か否かの確認は、この質問広場でも結構ですが、下記のアドレスにメールを下されば、私が直接回答した上で、必要な部分は補正情報にアップします。
質問広場で自分の質問が公開される形はためらいがあるという方も、メールで送信して頂いて結構です。
ただし、添付ファイルとリンクは開きませんので、内容はすべてメール本文に記載して下さい。
また、回答に時間を要する場合もあるため、質問は1通のメールで1つだけにして下さい。

s-koizumi@beach.ocn.ne.jp

講師 小泉嘉孝

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koizumi  2018-03-23 00:04:39

先生こんばんは!

ある程度の学習が進み理解が得られてくると、
ある程度自分でも理解してるのかなとプラスに感じる反面、
あれ?これはどうなんだろう?といろいろと気になりだして
おっしゃるとおり、
そこで立ち止まってなかなか進まなくなるマイナス面はありますよね・・・
司法書士試験は
司法試験より細かい知識が要求される
ということが書かれてたのを見て、少しビビってるのかもしれません。

誤植の件もありがとうございます。
誤植を発見するというのも
理解がある程度は進んだという表れなのかもしれませんが
誤植なのかそうではないのか確信が持てないので
ご質問させていただきました。
いくつかありましたので
後ほど、それぞれメールさせていただきます。

いつもご丁寧なご回答ありがとうございます。

投稿内容を修正

hijk58  2018-03-23 00:59:39



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