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hatamanoさん、こんにちは。

1について。
昭37.3.8第638号(被相続人が売り渡した不動産を、売買登記未了の間に遺産分割によって相続人中の一人が取得し、その登記がされた場合には、当該相続登記は錯誤を原因として抹消し、買受人のために全相続人から所有権移転登記をなすべきであるが、相続登記を抹消することなく、相続登記を受けた相続人を登記義務者としてその売買による所有権の移転の登記の申請があった場合でも、受理して差し支えない。)の趣旨は、①相続登記が無効であり、現在の所有者は無効な登記名義人に対して所有権移転登記請求権を有すること、②相続登記を抹消して所有権移転登記を申請するよりも、相続人から直接売買を原因とした所有権移転登記を認めることにより、登記経済上、登記権利者の負担が軽減されること、③相続登記における原因及び年月日と売買による所有権移転登記の原因及び年月日の関係から、被相続人によって生前になされた売買にかかる不動産につき、誤って相続登記がなされてしまったことが登記記録上明らかであるためとされています。

時効取得の事案については、直接的な先例は存在しません。
ただ、上記の趣旨は、売買に限らず時効取得の場合であっても同様にあてはまることから、結論を異にする必要はないと考えます。


2について。
こちらも「年月日時効取得」の年月日(Xの占有開始日)には、Bはまだ登記名義人となっていなかったことから、現在の登記名義人Bを登記義務者とすることができるかが問題となります。

やはり先例等の明確な根拠は存在しませんが、実務上は、現在の登記名義人Bを登記義務者として、所有権移転登記を申請することができると一般に解されています(藤原勇喜「体系不動産登記」p659参照)。

実体的には、時効完成前の第三者との関係は当事者の関係であり、時効が完成したXはBに対して登記なくして所有権を主張でき、また、時効取得による原始取得は、公有水面埋立や建物新築のように全く新たに不動産が生じた場合の「創設的原始取得」とは異なり、単に権利の主体に変更を生じたに過ぎない「移転的原始取得」であることから、これも上記1と区別をする必要はないといえます。

また、上記1では、BがAの相続人であることから、AとBを一体として考え、時効取得者Xとの関係が当事者の関係となる点では、より一層強調されるものと考えます。

講師 小泉嘉孝

参考になった:4

koizumi 2018-03-28 16:59:58

小泉先生素晴らしい御回答ありがとうございました。

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hatamano  2018-03-30 10:22:46



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