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会社法/会社設立無効の遡及効制限
ramen-otoh 2018-04-28 14:19:31
会社法を勉強中ですが、しっくりこない点があって困っていますので、基本的なことで大変申し訳ございませんが教えてください。
設立無効は訴えをもって主張でき(828条1項各号)、請求認容判決の効力は、将来に向かってその効力を失う(839条)となっています。
475条2号によれば、この場合には清算をしなければならないとも規定されています。
遡及効が制限(将来に向かって効力を失う)と清算との関係がよく分かりません。
設立無効の場合の「遡及効の制限」とは、どのようなものをイメージすればよろしいでしょうか、また、それは清算と矛盾しないのでしょうか。
両者の関係がうまくつかめません。ぜひとも、ご教示ください。
ramen-otohさん、こんにちは。
設立無効の訴えは、会社が成立した後、客観的無効原因がある場合に、その会社の成立を否定する訴えですが、たとえば会社成立から1年が経過した後に、当該訴えが確定すると、その1年の間に既に剰余金の配当がなされていることがあります。
この場合に、遡及効を否定し将来効とするということは、この既になされた配当を無効とせず、株主に返還を求めないということになります。
もちろん、混乱を避け、法律関係を安定させるためです。
また、1年の間に様々な取引がなされ、設立された当該会社が債権や債務を有していることも想定されます。
そこで、無効の訴え確定後の法人格は否定しつつ(今後、法人としての取引は成立しない)も、上記債権債務関係を遡及効をもって一挙に消滅させ不当利得等で処理するのではなく、一旦成立している会社の存在を尊重し、完全に有効に成立した会社が解散した場合に準じて、公告や催告等を含む清算手続きを行う形で処理することにしたということです。
講師 小泉嘉孝
参考になった:5人
koizumi 2018-05-03 21:37:12
小泉先生、ご多忙中のところ、ご回答くださいまして有難うございました。
「清算」という手続のイメージがつかめなかったので、「無効」との関係が分かりませんでした。
しかし、先生の解説のおかげで、理解の手助けになりました。深く感謝いたします。
ramen-otoh 2018-05-05 09:51:41