会社法７８５条１項の反対株主の株式買取請求権についてお尋ねします。
　本条は、「吸収合併等」をする場合に反対株主は、消滅株式会社等に対し、株式を買い取ることを請求できることを規定しています。
　ここで質問です「吸収合併等」には、「吸収分割会社」は該当するのでしょうか。
　吸収分割の場合は、同時に剰余金の配当をしない限り、直接、株主に合併対価等が交付されないと後述の解説にありました。「吸収分割」の場合には、「吸収分割会社」に株式が移転するため、その株主である「吸収分割会社」には、たとえ合併対価等が持分等であっても、反対株主の株式買取請求権が認められないということでしょうか。
　そうすると、反吸収分割会社の株主に合併対価等を交付する場合には、反対株主は、吸収分割会社に対し、株式を買い取ることを請求できるということになるのでしょうか。
　要するに、会社法７８５条１項で、なぜ「吸収分割会社」が除かれているのか分かりません。
　
　次に、会社法７８５条２項の反対株主の定義においても、「吸収合併消滅株式会社」と「株式交換完全子会社」が種類株式発行会社である場合に、合併対価等として持分等の割当てを受ける種類の株主を除くと規定されています。
　この２項の規定の中にも、「吸収分割会社」や「吸収分割会社の株主」の文字は出てきません。なぜ「吸収分割会社」が除かれているのか分かりません。

　さらに、会社法７８５条１項の規定では、「簡易分割の場合」は、消滅株式会社等の反対株主は株式買取請求ができる者から除かれています。
　テキストや解説では、簡易組織再編でも「消滅株式会社等に対する株式買取請求は、従来どおり認められる。」と解説されています。これは、「吸収合併等」の解説だからこのように書かれているということでしょうか。つまり、簡易分割の場合は、消滅株式会社等の反対株主は、株式買取請求が認められないということでしょうか。
　それでは、なぜ、簡易分割の場合だけが株式買取請求できないのか。反対に、なぜ、簡易吸収合併や簡易株式交換の場合は、消滅株式会社等の反対株主は、株式買取請求ができるのか。その違いに意味があると思うのですが、ご教示たまわりたくお願い申し上げます。