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国民年金法/任意加入の喪失時期
sunflower7688 2017-12-31 18:02:01
高齢任意加入被保険者について、老齢基礎年金の額の計算の基礎となる月数を合算した月数が480に達したときは、その日に被保険者の資格を喪失するということですが、その日の翌日ではないですか。
満額の老齢基礎年金が受給できる月数(480月)に達した月の翌月1日が喪失日となると思うので、その日の翌日になるのではないかと思います。
特例高齢任意加入については、「老齢又は退職を支給事由とする年金たる給付であって政令で定める給付の受給権を取得したとき」その日の翌日に喪失するとありますので、同じように考えると「その日の翌日」
になるのではと思いますが。
解説をよろしくお願いいたします。
まず「高齢任意加入被保険者」という「用語」は厚生年金保険法のものです。
国民年金法の65歳未満の任意加入は、現実には該当者がないですが法条文上は20歳以上で可能ですから、「高齢」という言葉はおかしいのです。
通常、単に「任意加入被保険者」又は「法附則第5条の規定による被保険者」といいます。
また、「特例高齢任意加入」という言葉にも違和感があります。
通常は「任意加入の特例」であり、その被保険者は「特例任意加入被保険者」といいます。
さて、お尋ねの点は、法令の書き方の問題です。
法に書かれている「事実」なのですから、「こうなのではないですか?」と言ってみてもはじまりません。
テキストに書かれていることは、まず、「そうである」という受け入れがないと、理解ができません。
テキストが間違えている可能性はありますが、それが不合格に直接影響する可能性はごく低く、それよりもテキストを信じないという姿勢が学習に及ぼす影響の方が大きいのです。
そういうときは、「違う」ではなく、「なぜそうなるのだろう?」という姿勢が必要です。
これは「理屈」ではありません。
合格のために学習する「姿勢」として、とても重要ですから、まずそれを心に留めて読んでください。
法附則5条6項本文は「該当するに至った日」に資格喪失であり、その4号は「第27条各号に掲げる月数を合算した月数が480に達したとき。」です。
これは法の表記の「事実」ですから、国会以外は変えることができません。
私たちは、では、これをどのように解釈するのか?を考えなければなりません。
上記法附則5条6項4号の「第27条各号に掲げる月数」は、老齢基礎年金の額を計算するための「保険料納付済期間の月数」及び「保険料免除期間を保険料納付済期間に換算した月数」です。
ご存じのように、月の半ばで資格喪失した場合は、その月は国民年金の被保険者期間にはならず、当然ですが、その月は保険料納付済期間にはなりませんね?
月の末日まで被保険者でなければ、その月は保険料納付済期間にはなりません。
で、あるなら、「月数が480」に「達したとき」は、保険料納付済期間が480月となる、最後の保険料納付済期間の月の末日の「翌日1日の00時00分00秒」という解釈ができるでしょう?
この条文はそのような解釈で書かれていて、「当日に資格喪失」です。
これに対し、平6法附則11条及び平16法附則23条の任意加入の特例(特例任意加入被保険者)は、書き方が違います。
平16法附則23条で説明すると、7項本文に「翌日喪失」とあり、その3号に「第1項ただし書に規定する政令で定める給付の受給権を取得したとき」とあります。
先にも書いたとおり、任意加入によって保険料納付済期間(任意加入の期間には保険料免除期間が無い)を取得するためには、各月の末日まで被保険者でなければなりません。
そして特例任意加入被保険者が政令で定める給付の受給権(以下単に「受給権」といいます)を得るのは、この保険料納付済期間の積み上げによるしかないですから、受給権を得るのは受給資格に必要な「最後の保険料納付済期間」が成立したときです。
で、あるなら、先の解釈でいうなら、「受給権の取得は最後の保険料納付済期間である月の末日の翌日1日で、ならば資格喪失は2日?」という疑問が起きます。
しかし、そうではありません。
例えば平成29年12月で最後の保険料納付済期間を満たす場合、受給権の発生は平成29年12月31日なのです。
厳密に言えば「そのとき」は「平成29年12月31日24時00分00秒」です。
年金の支給は平成30年1月からなのです。
これは、65歳の年齢到達で老齢基礎年金の受給権が発生するのは、65歳の誕生日の前日であるのと同じ考え方です。
日本の法の上で人が65歳に達するのは、65歳の誕生日の前日の満了時点。つまり「65歳の誕生日の前日の24時00分00秒」です。
これは「65歳の誕生日の00時00分00秒」と同じ瞬間ですが、法の書き方はあくまで「65歳の誕生日の前日の24時00分00秒」であり、日で言えば「65歳の誕生日の前日」です。
ですので、65歳の年齢到達で受給権が発生するのは「65歳の誕生日の前日」です。
年齢到達で期間満了日の受給権発生としている以上、期間充足による受給権発生も、受給資格要件の満了日の受給権発生でないと不公平なのです。
つまり、この条文は、同じ瞬間ですが、平成29年12月31日24時00分00秒に受給権が発生し、平成30年1月1日00時00分00秒に資格喪失する、と、いう考え方です。
このため、こちらは「翌日に資格喪失」です。
まとめると、
仮に「最後の保険料納付済期間」が平成29年12月の場合、
法附則5条の任意加入被保険者の場合、平成29年12月31日が経過したことで、平成30年1月1日00時00分00秒に月数が480に達し、その日である平成30年1月1日に資格喪失。
平6法附則11条及び平16法附則23条の特例任意加入被保険者の場合、平成29年12月31日24時00分00秒に受給権が発生し、その翌日である平成30年1月1日に資格喪失。
資格喪失日は同じですね?
平成29年12月31日24時00分00秒と平成30年1月1日00時00分00秒は「同じ瞬間」ですから、最初に言ったように、これは「法令の書き方の問題」なのです。
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poo_zzzzz 2017-12-31 20:52:53
大変、詳細で分かりやすい解説をありがとうございました。どの参考書にものっていない、目から鱗の解説でした。
法令の書き方の問題であって、資格喪失日はどちらの場合も1日となると解釈すればよいということがよく分かりました。
大みそかのこのような時間に早速お返事をくださいまして、切に切に感謝申し上げます。
本当にありがとうございました。
sunflower7688 2017-12-31 21:10:53