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国民年金法/遺族基礎年金の子の支給停止について
sunflower7688 2018-01-27 12:26:06
後妻ー夫(父)ー先妻
(子1人) (子1人)
上記の図で、夫が死亡し、先妻は失踪していて、先妻の子は児童養護施設に預けられていて、夫が子に仕送りをしていた場合、
そして、後妻とも生計維持関係があった場合、法41条第2項には、「子に対する遺族基礎年金は、配偶者が
遺族基礎年金の受給権を有するとき、その間、その支給を停止する」とありますので、後妻に遺族基礎年金が
支給された結果、先妻の子は遺族基礎年金がもらえないということになるのでしょうか。
また、この場合の子加算は、2人分となるのでしょうか。後妻には、779,300円+224,300円×2=1,227,900円支給されるということでしょうか。
そして、この後、後妻が亡くなった場合は子の支給停止が解除されるということになると思うのですが、
後妻の子、先妻の子、それぞれに(779,300円+224,300円)÷2=501,800円が支給されるということになるのでしょうか。
教えていただきたく、よろしくお願い申し上げます。
「後妻とも生計維持関係があった場合」とは、後妻と誰が生計維持関係にあったのでしょうか?
(1) 後妻と亡くなった被保険者等との生計維持関係を指す場合
① 先妻の子の支給停止
書かれているとおり。
法41条2項の子の支給停止には、同項かっこ書きで除かれる場合以外の例外がありません。
② 後妻の年金額
法39条1項には「その者と生計を同じくした子につきそれぞれ」とあります。例示の場合、後妻と生計と同じくするのは後妻の子だけです。
③ 後妻の死亡後の年金額
書かれているとおり。
後妻が亡くなり、要件満たす子2人になった場合、この子らの権利は平等です。支給停止や失権の規定にかからない限り、遺族基礎年金の受給権を取得した子が2人であった場合の額を2で除して得た額が「法律上の」遺族基礎年金の額になり、それぞれの子にその額が支給されます。
(2) 後妻と先妻の子との生計維持関係を指す場合(後妻と先妻の子との間に必要なのは生計同一関係)
私見ですが、先妻の子が後妻と同居していない場合、単に亡くなった被保険者等が仕送りしていただけでは、一般的には後妻とこの子に生計同一関係があったとは認められないように思います。
これはなぜかというと、対象者が子の場合に住民票が異なるときは、「単身赴任、就学又は病気療養等の止むを得ない事情により住所が住民票上異なっているが、生活費、療養費等の経済的な援助が行われており、定期的に音信、訪問が行われていて、別居が必要な事情が消滅したときは、起居を共にし、消費生活上の家計を一つにすると認められるとき」に生計同一になるからです。
先妻の子の場合、亡くなった被保険者等の関係では仕送りや音信の有無で生計維持が認められても、例の場合に別居の原因そのものが先妻の子と後妻の関係にあるのであれば、先妻の子と後妻との間で生計同一を認められることは難しいのではないでしょうか?
このようなケースに実務経験が無いのであくまで私見ですが。
「受給権を取得した当時(つまり被保険者等の死亡の当時)」、被保険者等との生計維持関係とは別に、後妻が先妻の子と生計同一であったと認めてもらうため、又その後の年金受給中にそれが継続していると認めてもらうために、どのような状況が必要であるのか、私には解りませんが、それがあったものしての回答は以下の通りです。
④ 先妻の子の支給停止
上記①と同じ
⑤ 後妻の年金額
書かれているとおり。
後妻と2人の子との間に生計同一関係がありますから、子が2人の場合の配偶者に支給する遺族基礎年金の額が後妻だけに支給されます。
⑥ 後妻の死亡後の年金額
上記③と同じ
・ 以上の説明は、被保険者等の死亡の当時、その者と後妻及び後妻の子との間に生計維持関係があったこと、並びに被保険者等の死亡の当時、後妻の子が後妻と生計を同じくし、その状態がその後も続いていることが前提です。念のため。
参考になった:2人
poo_zzzzz 2018-01-27 20:15:31
大変分かりやすく解説をしていただきましてありがとうございました。
私が想定していたケースは、「(1) 後妻と亡くなった被保険者等との生計維持関係を指す場合」でした。分かりにくくてすみませんでした。
そうしますと、父親が亡くなった後、先妻の子は父親からの仕送りは途絶え、しかも遺族基礎年金はもらえず、後妻が亡くなるというような
ことがない限り、遺族基礎年金の支給を受けられないという不憫なことになるのですね。
法律の残酷さを少し感じてしまいました。
(2)のケースの解説で生計同一についての知識を深めることができました。
とても勉強になりました。本当にありがとうございました。
sunflower7688 2018-01-27 21:39:25
そうですねぇ、確かに先妻の子は気の毒です。
遺族基礎年金は旧法の母子年金や遺児年金が母体なのですが、救済の主目的が遺児であることを考えたら、被保険者等との生計維持関係はあったが、その配偶者との生計同一関係がない子についての配慮はあってしかるべきだと、私も思います。
後妻に子がなければ先妻の子に年金が支給されるわけで、そう思うと、余計に「なぜ?」と思いますね。
実務でそのような場面に遭遇すれば、また見えてくるものもあるのかもしれませんが・・・
生計同一ですが、遺族基礎年金では関係ありませんが、社会保険の年金法で出てくる(例えば死亡一時金など)の生計同一の対象が、子や配偶者ではなく父母等の場合は、この「別居が必要な事情が消滅したときは、起居を共にし、消費生活上の家計を一つにすると認められる」という要件がないんですよ。まあ、これは、分かる気がしますね。
もちろんお解りでしょうが、(1)の②の年金額は、子が1人の場合の額になります。念のため。
参考になった:4人
poo_zzzzz 2018-01-27 21:59:21
お忙しいところをお返事ありがとうございました。
先生の解説はいつも、参考書には載っていないけれど実務で突き当たった時に役立つ生きた知識を
得ることができます。
sunflower7688 2018-01-27 22:09:40