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◆ 法57条【表示対象物質】
(1)製造許可物質
(2)爆発性の物、発火性の物、引火性の物その他の労働者に危険を生ずるおそれのある物であって政令で定めるもの
(3)ベンゼン、ベンゼンを含有する製剤その他の労働者に健康障害を生ずるおそれのある物で政令で定めるもの
上記(1)(2)(3)を容器に入れ、又は包装して、譲渡し、又は提供する者は、その容器又は包装に一定の表示しなければなりません。ただし、その容器又は包装のうち、主として一般消費者の生活の用に供するためのものについては、この義務を免れます。

この「一般消費者の生活の用に供するためのものについて」の義務の免除は、労働安全衛生法はあくまで労働者保護の法律であり、消費者の保護については、他の法令が規制するためです。この理由は以下の条文でも同じです。

◆ 法57条の2【通知対象物質】
(4)製造許可物質
(5)労働者に危険又は健康障害を生ずるおそれのある物で政令で定めるもの
上記(4)(5)を「通知対象物」といい、これらを譲渡し、又は提供する者は、文書の交付その他の一定の方法で通知対象物に関する一定の事項を相手方に通知しなければなりません。ただし、主として一般消費者の生活の用に供される製品として通知対象物を譲渡し、又は提供する場合については、この義務を免れます。

◆ 法57条の3
事業者は、厚生労働省令で定めるところにより、(2)(3)及び(4)(5)による危険性又は有害性等を調査しなければなりません。



さて、(1)(4)は同じものです。
そして(2)(3)と(4)は、共に令別表9、令別表3、則別表2を元に定められ、範囲や形状、化合物や濃度で範囲が違うのですが、(2)(3)よりも(4)の方がかなり広い範囲で定められていて、共通する物質も多いため、例外を恐れずにいうと、通知対象物質の範囲の中に表示対象物質があるといっても大きな間違いではないと思います。

ごくおおざっぱかつ簡単に考え方を言うと、特に危険有害な物質については、表示対象物質として容器や包装に表示を求め、それらを扱う労働者がいつでも見る形にして労働者を保護し、表示対象物質を含めてより広い範囲の危険有害な物質については、通知対象物質として書面を交付し、事業場が労働者の安全衛生管理体制を取れるようにする。と、いうことです。



法57条の3は、法57条の表示対象物質と法57条の2の通知対象物質について危険有害性の調査を命じています。この調査は「厚生労働省令」に基づいて行われます。

この「厚生労働省令」は、具体的には則34条の2の7なのですが、そこには「主として一般消費者の生活の用に供される製品に係るものを除く」と書かれており、一般消費者の生活の用に供される製品に係る物質については調査義務がありません。

つまり、その物質が「製品として」一般消費者の生活の用に供される場合は、表示義務も通知義務もなく、調査の必要もありません。



さて、問題が法条文からの切り出しで作成された場合、表示対象物質や通知対象物質については「法」に「主として一般消費者の生活の用に供される製品として供される」場合の義務免除が書かれていますから、作問する場合、例外規定なしで「正」の肢を作問すると、かなりグレーな肢になります。

しかし、調査については、「法」である法57条の3には一般消費者向け製品の例外規定がありません。

例外規定は厚生労働省令(施行規則34条の2の7)にあります。

したがって、法条文からの切り出しで作問された場合、例外規定なしで「正」の肢を作問しても、グレーの度合いはかなり低くなります。

ただし、規定全体では例外規定はあるのですから、これはあくまでグレーの濃淡の話に過ぎません。



蛇足ですが、表示対象物質の場合「容器又は包装」が、通知対象物質の場合「製品として」、「一般消費者の生活の用に供される」ものとして譲渡提供される場合に表示や通知の義務を免れ、調査は「一般消費者の生活の用に供される製品に係るもの」について調査義務を免れます。

つまり、その「物自体」が最終製品や梱包物として一般消費者に流通し消費される場合に規制を免れるのであって、最終製品が消費者向けてあっても、最終製品を作るための原料として譲渡提供される場合は規制を免れません。

参考になった:5

poo_zzzzz 2018-08-06 13:27:34

詳しいご説明ありがとうございます。
理解できました。

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1121  2018-08-06 14:07:43



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