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毎年7月、10月、12月、4月の年4回、定期に賞与を支払う会社があったとしましょう。

この会社が本年7月に算定基礎届を出す場合、前年7月・10月・12月・本年4月の賞与を合算し、合算額を12で除して得た額を「報酬」として、本年4月・5月・6月の各月の報酬にそれぞれ加算します。

そして加算後の本年4月・5月・6月の各月の報酬のうち、規定の報酬支払基礎日数を満たす月の報酬を合算して報酬月額を算定し、原則としてその報酬月額で標準報酬月額が定時決定されます。

つまり、この算定基礎届による定時決定で、本年9月から翌年8月まで適用される標準報酬月額には、考え方として、前年7月・10月・12月・本年4月の賞与の合算額の12分の1が含まれているのです。

「考え方として」というのは、標準報酬月額は等級表になっていて、額のすべてが反映されるとは限らないからです。

この標準報酬月額で12か月間保険料を徴収すれば、考え方として、年7月・10月・12月・本年4月の賞与の合計額分の保険料は徴収できてしまいますね?



さて、このような会社において本年7月2日に就業規則が変更され、10月の賞与支払がなくなり、賞与が7月、12月、4月の年3回になったとしましょう。

7月1日においては定期に年4回の賞与を支払う会社だったのですから、何度も書きますが、この会社の今年9月から来年8月までの標準報酬月額には、上記のように、考え方として、前年7月・10月・12月・本年4月の賞与の合算額の12分の1が入っています。

この場合に、本年7月・12月・来年4月の賞与支給時に、それぞれ賞与支払届を提出し、それぞれに賞与分の保険料が賦課されたら、どうなりますか?

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poo_zzzzz 2019-05-28 23:59:50

ご返信ありがとうございます。ご丁寧な流れの解説ありがとうございます。

「本年7月・12月・来年4月の賞与支給時に、それぞれ賞与支払届を提出し、それぞれに賞与分の保険料が賦課されたら、どうなるか。」
について、さらに賦課されてしまう、で合ってますでしょうか?

どうぞよろしくお願い致します。

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1121  2019-05-29 05:59:39

そうです。

本来は「賞与」であるものを「報酬」とする、ということは、保険料徴収の流れから見れば、標準報酬月額決定の基礎になる報酬月額の中に、賞与が組み入れられる、ということです。

賞与は毎月支払われませんね?

すると、賞与を「報酬」として報酬月額に組み入れるには、ある期間を区切って、その間に支払われた賞与を、その期間の月数で除して報酬月額に組み入れる必要があります。

定時決定で考えた場合、その年の9月から翌年8月までの標準報酬月額決定の元になる報酬は、毎月の給与に関してはその年の4月・5月・6月の給与が「報酬」です。

この定時決定で、賞与に関してどの期間の賞与を「報酬」とするのか?が問題になりますよね?

この期間が7月1日前の1年間、つまり、前年7月からその年の6月であり、その期間の賞与を12で除して得た額が「報酬」として報酬月額の算定に使用されます。

つまり、定時決定において、前年7月からその年の6月までの賞与を12で除して得た額を「報酬」として使うということは、その年の4月・5月・6月に支払われた給与を「報酬」として使うということと、性質として同じです。

この場合、前年7月からその年の6月までの賞与は、健康保険法・厚生年金保険法においては「賞与」ではなく、その年の定時決定における「報酬」です。

そしてこの場合、その年の7月から翌年の6月までに支払われる賞与は、翌年の定時決定において「報酬」として取り扱われます。

翌年の定時決定において「報酬」となるものなのですから、その年の7月以降に支払われた賞与も、健康保険法・厚生年金保険法においては「賞与」ではありません。

法律上の「賞与」ではない、のですから、賞与支払届が必要かどうかは、本来であれば論じるまでもありません。



ただ、お尋ねの問題の場合、7月2日以降に給与規定等が改定されて、賞与が年4回支払われなくなった場合、なので迷ってしまうのです。

しかしね、4月・5月・6月に支払われた給与と、前年7月からその年の6月までの賞与を、「報酬」として7月に算定基礎届を出したのでしょう?

つまり、以前に支払われた賞与を、定時決定に「報酬」として組み入れているのですから、例え7月2日以降に給与規定が変わって賞与年3回以下になっても、翌年の定時決定(翌年7月・8月・9月の随時改定を含む)があるまでは、賞与を「賞与」として保険料賦課の対象にはできません。

そうでないと、保険料の二重取りになってしまいますからね。

つまり、この扱いは「制度の都合による手続の流れ」から来るものなのです。

賞与が年3回以下で「賞与」の場合と、賞与が年4回で「報酬」の場合を切り替える場合、「支払ごとに保険料を賦課するシステム」と「一定期間のものを別の一定期間の標準報酬月額に反映させて付加するシステム」の、タイプが違う2つのシステムを、行ったり来たりします。

このため、どこかで同じ賞与を2回カウントし、どこかで賞与をノーカウントにしないと、制度が成り立ちません。



従来、年3回の賞与を支払っていた会社が、令和元年の7月2日に「これからは年4回にしよう」と変えたとします。

この場合も、令和元年7月から令和2年6月までの賞与は「賞与」のままです。賞与支払届は出さなくてはいけませんし、賞与の保険料は賦課されます。

そして令和2年の定時決定で令和2年4月・5月・6月の報酬に、令和元年7月から令和2年6月までの賞与を、12で除して「報酬」として加算します。

つまり、同じ令和元年7月から令和2年6月までの賞与が、支払ごとに「賞与」として保険料賦課の対象になり、かつ令和2年の定時決定で「報酬」として保険料賦課の基礎になります。

しかし、これは「二重の賦課」ではありません。保険料が賦課される時期が異なるからです。

これは単に、ある期間の賞与を、2つの別の時期の保険料賦課の基準として2回使うだけです。

そのようにしないと、賞与ありのシステムから、賞与を報酬とするシステムに移行できませんからね。

だから「制度の都合」です。

このため、その逆の場合、賞与がノーカウントの期間を作らないと、本当に保険料の二重取りになってしまうのです。



このような問題を考える場合は、白紙を用意して、横線を引いて区切り、30月くらいの枠を作って、「報酬」が「標準報酬月額」に対してどのように扱われるかを考えるのです。

通達とにらめっこしていてもなかなか解らないですからね。

徴収法もそうですが、保険料や解雇予告手当などの期間を切られる規定を考えるには、具体的な時系列の中で考えるのがコツです。

上記の説明も、文字で書けば長いですが、紙に線を引けば、数本の線で理解できますよ。

参考になった:7

poo_zzzzz 2019-05-29 10:03:34

ご返信ありがとうございます。
まさに通達とにらめっこしていました。再度具体的な時系列の中で考えて理解を深めたいと思います。
大変に感謝致します。
ありがとうございました。

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1121  2019-05-29 17:41:44



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