ニックネーム | *** 未ログイン ***
健康保険/家族療養費の支給額について
b000142 2020-02-02 01:08:25
いつもお世話になっております。
家族療養費の支給額について、過去に同様の質問があったのですが、再度質問させて下さい。
被保険者が70歳未満である場合、その標準報酬月額に拘らず、その被扶養者が70歳に達する日の属する月の翌月以後である場合の家族療養費の給付率は100分の80である、という事が過去の質問から分かりました。
そこで質問なのですが、例えば被扶養者が70歳以上で被保険者より年上の場合、被保険者が70歳未満の時の被扶養者の負担率は2割であるが、被保険者が70歳以上になり、被保険者の標準報酬月額が28万円以上で、かつ、被保険者と被扶養者の合わせた年収額が520万円以上になる場合は、被扶養者の負担率は3割に変わるという事でしょうかか。
被保険者が69歳の時の被扶養者の負担率は2割で、被保険者が70歳以上になって上記の所得以上になったら被扶養者の負担率が3割に変わるという事が不思議に思うのですが、試験対策としてはこのまま被保険者の年齢や所得要件を覚えるしかないでしょうか。
そうですねぇ。
組合健保で独自給付をしている例の有無は知りませんが、原則的にはおっしゃる通りになると思います。
まあ、被扶養者の負担、ではなくて、被扶養者の受診であっても、法律上の考え方ははあくまで被保険者の負担、ですが・・・
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000106245.pdf
この資料の5ページ(ノンブルでは4ページ)を見られると解るように、健康保険(被用者本人)の一部負担金は、昭和47年まで定額でした。
いきなり余談ですが、労災保険の通勤災害の一部負担金が200円の定額であるのは、この当時に通勤災害についての制度が検討・制定され、そこから変更されていないからです。
この当時の一部負担金制度を見ると、健康保険の療養についての給付の考え方がよく分かります。
療養の給付は(定額の一部負担金は徴収するが)10割の給付であり、だから「現物給付」なのですね。
しかし家族療養費のように、療養の給付以外は10割給付ではないため、現物給付できないから現金給付の制度になっているのです。
今の時代では解りにくい区別ですが、これが基本です。
このため、例えば家族療養費について「保険医療機関に直接支払われることにより現物給付となっている」という説明は、一般向けには良いですが、受験対策としては、個人的には好ましくない、と、思っています。
これは単に、被保険者の一時的な多額の負担を避けるため、及び、支給が細分化することによる保険者の負担を避けるための、便宜的な支払い方法に過ぎません。
試験にも出るフレーズですから仕方ありませんが、条文の書き方は現金給付を前提にしていますから、この説明は、条文を理解する上では害の方が多いと思います。
脱線しましたが、表を見れば解るように、被保険者の一部負担金がほぼなかったこの当時の被扶養者の自己負担率(家族療養費がカバーしない率)は、実に5割だったのです。
その後の変遷を見ても、被扶養者の方が被保険者よりも優遇されている部分は基本的にありません。
つまり、未就学児童の2割負担や、70歳未満の被保険者における70歳~75歳の被扶養者の2割負担は、被扶養者についての負担が被保険者よりも低いという点で、この部分が例外です。
この部分の詳しい考え方は審議会の資料を追っていかないと分からないので以下は私見です。
いわゆる働き盛り、と、呼ばれる現役世代の被保険者にとって、幼児や高齢父母のような、病気になりがちの家族の医療費は大きな負担です。
このため、平成の法改正により、未就学児童と70歳以上についての負担率を下げたのではないかと思います。
70歳未満の被保険者において、標準報酬月額や世帯の年収を問わず、未就学児童や70歳~75歳の被扶養者についての負担が2割であるのは、お考えのような年齢が近接した家族モデルではなく、現役世代が、子や父母や祖父母を扶養するモデルを意識したものであると考えます。
これに対し、被保険者本人が70歳以上である場合は、これを「医療にかかる機会が平均的に多い高齢者世帯」と考えて、本人の給与(≒標準報酬月額)及び世帯の収入に応じた負担をしていただこう、と、いうことではないかと思います。
上記資料にも、過去の審議会の論点として、「高齢者には、所得が高い者と低い者の両方の立場がある、ということを踏まえた議論が必要。」「年齢にかかわりなく、所得の高い人はそれなりに負担するべきではないか。」「高齢者医療に係る費用負担については、増加する医療費を見据え、高齢世代、現役世代、事業主、国、地方自治体など関係者でベストミックスを図るべきではないか。」と、あります。
このため、世帯を年齢層によって分け、年齢層に応じて対策した結果ではないか?と、いうのが、私の考えです。
参考になった:2人
poo_zzzzz 2020-02-03 12:55:45
ご回答ありがとうございます。
大変参考になりました。
被扶養者の負担に着目して考えてしまいましたが、家族療養費を含め、健康保険は被保険者の負担の軽減が目的だという事を忘れていました。
同じ3割負担でも、被保険者は10割給付→7割給付に、被扶養者は5割給付→7割給付に変わったのですね。この変遷から見ても被保険者の方が優遇されている事が分かりました。
b000142 2020-02-03 12:54:25
そうですねぇ、あくまで私見ですから、参考にしていただくのは嬉しいですが、もし間違っていたらごめんなさい。
ただ、このあたりの歴史的な流れを分かっていると、療養関係の給付の構造が飲み込みやすくなるはずです。
P/S
前の文章の流れがおかしかったので、コメントを書いていただいていた時間帯に少し修正しています。コメント後であれば修正できないのですが、コメント前に取りかかっていた修正は反映されるようです。このため、時系列が整合しなくなっています。
参考になった:1人
poo_zzzzz 2020-02-03 13:02:25
ただ単に暗記するのではなく、このような歴史的背景も頭に入れつつ健康保険の給付について理解した方が覚えやすいので、参考にさせて頂きたいと思います。ありがとうございました。
b000142 2020-02-05 10:50:06