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> しかし、別なサイトでの解説で、それを認めてしまうと小規模の適用事業所が存在しなくなるおそれがあるとの理由付けがされており、一定程度納得ができました。

私はこの説明を知らないですねぇ。
そう思うなら任意単独被保険者の制度を設けなければ良いのではないかと思います。
逆に、事業所での包括的な任意加入の場合に、被保険者の全額負担による任意加入を認めれば良いのではないでしょうか?

私は、そういう問題ではなく、国の被用者政策からそうなっているのだと思っています。

元々、厚生年金保険は被用者保険です。つまり、サラリーマン・OLのための保険です。
労働契約関係(一部委任関係)によって労働する者については、無職や自営業者と異なり、事業主が費用の一部を法定福利費として負担する前提で保険のシステムが構築されています。
これは「使用されている」という点で、無職や自営業者と切り分けて構築されたシステムです。
ですから、強制適用であっても、個人事業の事業主は加入できません。

国は長らく、被用者中心の社会を構築しようと腐心してきました。
企業があり、それに雇われる被用者が多く存在する社会は、国にとって都合が良いのです。
例えば所得税・住民税の適正な申請と納付について、源泉徴収・特別徴収・年末調整・給与報告で、企業に全部責任を負わせることができます。
健康診断や安全衛生についてもそうです。
このため、企業に相応の負担を求め、かつ被用者には事務負担の軽減と福利厚生の充実を図ってきました。
極端に言えば、被用者にメリットを与えて、国民が被用者となるように囲い込んでいると言えるかもしれません。
健康保険・厚生年金保険の事業主負担もその一環です。

ですから、健康保険・厚生年金保険の任意加入は、包括的な事業所の適用であっても、個人の単独適用であっても、事業主が費用負担して適用する、というのが絶対的な基本なのだと思います。
任意加入に、事業所単位の包括加入と、個人単位の単独加入があるのだと考えれば、その保険料負担や事務負担が同じであるのは当然だと思いませんか?
高齢任意加入被保険者の扱いは、70歳以上で、かつ、老齢年金の受給権がないという非常に限られた状況にある場合の例外で、それを除けば、制度そのものが被保険者の全額負担を考えていないのだと思います。
これは、被用者を保護するという政策的なテーマの中の決めごとですから、ある一部分だけで得失を論じても意味がないように思います。

今現在、任意単独被保険者の制度は、適用例が少ないです。
適用場面としては、
・適用事業所以外の事業所がある
・そこに他社を定年退職した高スキルの労働者が65歳で入社してきた
・入社の条件に、厚生年金保険の加入があった
のようなパターンか、事業主の親族への適用くらいしかないと思います。
現在の制度で、何の理由も無しに特定の者に加入を認めていたら、労務管理が崩壊しますからね。

任意適用事業所は5人未満ですから、数人がそういった希望を出して、事業主が応じるなら、包括的な任意加入になるはずです。
そして、それが国の意図するところではないかと思います。



また、仮にある一人の労働者の保護を考えて、全額自費負担の加入を認めてしまうと、今度は、それなら無職や自営業者にも厚生年金保険の門戸を開いてよ、という話になりませんか?
被用者を保護するという視点で事業主が負担するというシステムを枉げるなら、そのシステムを無職や自営業者に使わせないという理由は乏しいと思います。
現実に、国民年金と厚生年金保険の積立金の統合は議論されていますし、システム全体を統合しようという提案も行われていますから、すでに夢物語ではないのかもしれませんけどね。



最後に、以前にも書きましたが、仮説の正誤は、受験対策としてはあまり意味を持ちません。
あなたご自身の記憶のきっかけになればそれでいいのです。
「納得できない」というのも、記憶のきっかけですからね。
「受験対策」としては、深入りすべき部分ではないですし、それでも敢えて深入りする場合は、原則的に他人を頼るべきでは無いと思います。

テキストに書いてあることは、受験のために精選した情報です。
何を載せるか、だけではなく、そこでは、何を載せないか、が極めて重要です。
テキストは、その意味で受験に特化した「武器」です。
「載っていないこと」は「武器」としての特質であり、長所です。
手にした武器の長所を殺してしまうような学習方法は、正直言って私はお勧めできません。

私はよく言うのですが、テキストと口述講義と過去問を中心にした学習は、整備されたなだらかな尾根道をたどる登山のようなものです。
そんな道があり、同じ頂上を目指すのに、敢えて急峻な崖をよじ登り、滝が待ち構える沢を遡行するなら、それに必要な装備も技術も、ご自身で手に入れ、ご自身で必要な経験を積まれるべきだと思うのです。

勘違いしないで欲しいのですが、私はそのような学習方法を、お勧めはしませんが、否定しません。
私自身は、納得できないことは、受験対策を超えてできる限り詰めてきました。そういった学習方法は大好きです。
ですから、あなたの質問の内容にも好感を持っています。
ただ、それは自己の力で解決すべきことだと申し上げています。
また、誰かの助けを求めるなら、それにふさわしい場を選ばれるべきだと申し上げています。

この質問広場は「社労士受験に関すること」について、誰でも質問ができ、誰でも回答できる場です。
また、ここで質問すると言うことは、誰とも知らない他人の、知識と時間と労力を無償で借りようとするということであることは、ご留意ください。

なお、私の上記の記述は、国の被用者政策から導き出した「私なりの結論」です。
正誤についての責任は持ちません。

参考になった:6

poo_zzzzz 2020-09-23 14:24:44

お礼の返信が遅れてしまったことをお許しください。

今回もお忙しい中、懇切丁寧にご回答頂き大変感謝しております。

未だ初学者入門用のテキストにて勉強中なのですが、既に膨大な知識を記憶するためには何らかの整合性があるという理解ができないと私には難しいと感じ、また、先達はみなきっとそうして来たのだろうと盲信してしまっておりました。

何を載せないかが武器であるという視点は目から鱗でした。

これからはアドバイスを肝に銘じ、合格という目的を第1に、深みを避けるため、アクセルとブレーキのコントロールを常に意識しながら学習を進めていきたいと思います。

また、相応しくない質問をしてしまうかも知れませんが、その際は相応しくないと一言おっしゃっていただくだけで結構ですので、どうかこれからも宜しくお願い致します。  

本当にありがとうございました。

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Wasur3na1id  2020-09-29 23:46:43

こんばんは。
下記の過去問を解ていて、高齢任意加入被保険者の加入要件としての事業主の同意又は不同意と保険料の負担についてみた時、Wasur3na1id さんと似たようなことを考えていまして、この質問広場を検索した時に、『厚生年金保険法/適用事業所以外の事業所における高齢任意加入被保険者』の投稿にたどり着きました。

平成24年 厚生年金保険法 問10 肢A
適用事業所に使用される70歳以上の高齢任意加入被保険者は、保険料の全額を負担し、自己の負担する保険料を納付する義務を負うものとする。ただし、その者の事業主(第2号厚生年金被保険者又は第3号厚生年金被保険者に係る事業主を除く。)が当該保険料の半額を負担し、かつその被保険者及び自己の負担する保険料を納付する義務を負うことにつき同意したときはこの限りではない。○

『その者の事業主(第2号厚生年金被保険者又は第3号厚生年金被保険者に係る事業主を除く。)が当該保険料の半額を負担し、かつその被保険者及び自己の負担
する保険料を納付する義務を負うことにつき同意したときはこの限りではない。』との例外が設けられているのは、どういう理由からなのでしょうか?

「仮説の正誤は、受験対策としてはあまり意味を持たない。自身の記憶のきっかけになればそれでいい。
「納得できない」というのも、記憶のきっかけ。
「受験対策」としては、深入りすべき部分ではないし、それでも敢えて深入りする場合は、原則的に他人を頼るべきでは無い。
とのお考えを伺った上で、このように質問を差し上げるのは、非常に申し訳ないのですが、ずっと疑問に思っていたことへの答えにやっと巡り会えたものですから、もし、お考えをお聞かせいただければ、ありがたい限りです。
よろしくお願いいたします。

投稿内容を修正

piyotyan3517  2023-03-18 23:56:58



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