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(1)
この理由について述べた公的な文書を私は知りません。以下は私見です。

新法になって、厚生年金と基礎年金の障害・遺族の保険料納付要件が、共に「国民年金の保険料納付」の状況を問うようになりました。
しかしもともと、旧法時代の国民年金の加入手続や保険料の徴収には甘い部分がありました。
このため、原則の保険料納付要件が満たせない方が続出することを懸念して始まった制度が、保険料納付要件の特例です。
ですから、新法改正当初は、昭和71年(平成8年)までの10年間の時限措置でした。

ところで、この新法改正時の昭60法附則20条や64条には「ただし、当該障害に係る者が当該初診日において65歳以上であるときは、この限りでない」のただし書きは、なかったんです。
これが、制度的にまずい、ということになったんだと思います。

まず、国民年金の場合、65歳以上の被保険者は、任意加入被保険者の特例の対象者又は厚生年金保険高齢任意加入被保険者で、老齢退職給付の受給権がない者でした。
また、厚生年金保険の場合も老齢退職給付の受給権がない高齢任意加入被保険者だけでした。(厚年加入が70歳までになったのは平12改正。それまでは65歳以降は任意加入)
つまり、これらの者は、外国人の場合の例外を除き、老齢基礎年金や老齢厚生年金の受給年齢まで国民年金の保険料を十分に納めてこなかった方なのです。
65歳まで十分に保険料を納めず、老齢の年金を何とか受け取る目的で65歳以降も任意で被保険者になった者が、たまたま障害者になった場合に、旧法時代の制度の不備を補う目的で作られた保険料納付要件の特例を適用して良いのか?ということではないでしょうか?
若い時からきちんと保険料を納めてた方は、65歳以降の初診日では被保険者になれないために障害の年金を受け取れなかったのに、保険料を払ってこなかったために任意加入した者が受け取れるのは変な話でしょう?
また、今は死語ですが、「廃疾(障害)は早期の老齢」という考えが年金制度の底辺にあり、65歳以降での障害の年金の発生に消極的な面はあると思います。

おそらくですが、以上のような理由から、平成8年までの期限を平成18年までに延ばした平6改正の昭60法附則20条や64条に、「ただし、当該障害に係る者が当該初診日において65歳以上であるときは、この限りでない」のただし書きが加わったんだと思います。
そして平12年改正で厚生年金保険の被保険者が70歳まで(施行は平14)になった後も、そのまま、というのが流れだと思います。

これ、厚生年金保険側からだと、加入年齢の法改正が絡むので解りにくいんですよね。
国民年金側から見たら納得なのではないでしょうか?
しかしね、もともとは平成8年ですよ。
3回も10年ずつ延長したら、もはや時限措置ではないような・・・



(2)
これも理由について述べた公的な文書を私は知りません。以下は私見です。

要は、新法になって、障害の年金の制度は基礎年金に合わせた、ということだと思います。

だから厚生年金保険の3級は、旧法時代からあったから残している、みたいな扱いであるように思います。
障害厚生年金と障害基礎年金は共通の制度だけれど、旧法時代に3級があったから本来請求と事後重症は3級を認め、障害手当金も残した、みたいな。
障害等級3級に当たる場合が想定されていない、ことを異とせず、3級がある部分を例外と考えると、案外腑に落ちやすいように感じます。

参考になった:2

poo_zzzzz 2021-09-07 11:47:36

poo_zzzzz様

ご回答ありがとうございます。
お考えについて、詳しくご説明くださったことについても感謝致します。

①につき、なるほどと思いました。
国年学習時には「65歳以上の被保険者は、任意加入被保険者か第2号被保険者なので保険料の未納はありえないから」と(任意加入してすぐの人については考えないようにして)理解していたのですが、発想が逆だったのですね。

「廃疾(障害)は早期の老齢」という考えも初めて知りました。
事後重症などが65歳で切られる点、老齢基礎年金の受給権との兼ね合いかと思っていましたが、その考えが根底にあるのかなと思いました。

そこで、もう一つ疑問に思ったのですが。
高齢任意加入被保険者が被保険者期間中に初めて障害状態になった場合、保険料納付要件を満たせば、障害厚生年金が支給されますよね?
この時は、(70歳以上ではありますが)障害基礎年金が支給される、ということで合っていますでしょうか。

②について、基準障害を併合認定する制度が元々は厚生年金になかったということですね。

3級がある部分を例外と考えるとのこと。
わかりました、そのように努めることに致します。

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500505  2021-09-07 22:22:07

> そこで、もう一つ疑問に思ったのですが。
> 高齢任意加入被保険者が被保険者期間中に初めて障害状態になった場合、保険料納付要件を満たせば、障害厚生年金が支給されますよね?
> この時は、(70歳以上ではありますが)障害基礎年金が支給される、ということで合っていますでしょうか。

この質問には答えたくありません。
まず、前提が怪しい(下記②)ですし、第一、基礎的な事項の組み合わせで解ることだからです。
① 厚生年金保険の高齢任意加入被保険者が、国民年金の第2号被保険者ではない、と、いうことがあり得るかどうか?
② 厚生年金保険の高齢任意加入被保険者が、70歳以降に初診日のある傷病で、障害厚生年金の保険料納付要件を満たすことがあり得るかどうか?
③ 新たな障害による本来の受給権発生(国年法30条、厚年法47条)に年齢制限があるかどうか。

蛇足を書くと、②については、原則として、障害厚生年金の保険料納付要件を満たすことはありません。
これは、厚生年金保険の高齢任意加入被保険者の要件と、障害厚生年金の保険料納付要件を、テキストで見比べれば容易に分かることです。

「原則として」というのは、例外があるからです。例外については、
http://smon-hiroba.net/sr/bbs_each.php?rcdId=4176
の、2021-04-04 11:18:47の私の回答を参考にしてください。

また、③について、厚年法47条に年齢制限がないことには、あなたは疑義を持っておられないようなのに、国年法30条にかすかな疑問を持たれているようである理由が、①と合わせて考えたときに、私には理解できません。



> ②について、基準障害を併合認定する制度が元々は厚生年金になかったということですね。

旧法時代の運用は知らないのですが、基準傷病による併合認定の条文は、国民年金法も、厚生年金保険法も、昭和61年4月の新法改正で新たに加えられた条文です。
先の回答で述べた考え方で、だから3級が入っていないのだ、と、私は思っています。

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poo_zzzzz 2021-09-08 05:15:59

poo_zzzzz様

ご回答ありがとうございました。

①は、あり得る。というか、むしろ例外なくそうだと思っています。
②も、あり得る。
私はずっと海外で住んでいた方が高齢になって日本に帰国?された場合を考えていましたが、なるほど外国籍の方の方がありそうだな、と納得しました。
③については、国年も年齢制限はないと考えていました。
ただ今回「廃疾は早期の老齢」という考えから65歳以降での障害の年金の発生に消極的な面があると知り、軽く引っかかった次第です。
老齢基礎年金の繰上げをすると、障害厚生年金の事後重症の請求ができなくなるなど、国年の方が「65歳=老齢」というイメージが色濃く(と私は感じています)、老齢によって障害のセンが消えるので、あれ?もしかして?となった感じです。
でも、老齢の受給権がないわけですから、年齢とは無関係に障害の可能性は残りますね。

基準障害による併合認定についても、ご返答をありがとうございました。

投稿内容を修正

500505  2021-09-08 23:07:31

> 老齢基礎年金の繰上げをすると、障害厚生年金の事後重症の請求ができなくなるなど、国年の方が「65歳=老齢」というイメージが色濃く(と私は感じています)、老齢によって障害のセンが消えるので、あれ?もしかして?となった感じです。

うーん、やや知識がアンバランスですね。
何度も申し上げますが、テキストの読み込みを重ね、バランスの良い知識の取得を心がけてください。
書いておられるのは国年法附則9条の2の3ですが、厚年法附則16条の3に厚年側から見た類似の規定があり、老厚繰上げを受けた者に対し事後重症の規定を適用しない事等が書かれています。
何度も書きますが、障害厚生年金と障害基礎年金は、基本的には共通の制度です。
厚生年金側からは出題がまだないように思いますが、過去問とテキストを往復していく中で、該当規定に触れる機会はあるかと思います。

また、②についてあり得るとして、海外居住者を想定しておられたなら、なおのこと1つめの質問はないように思います。
そこまで考えておられたなら、長期の海外居住者が高齢で帰国し、厚生年金ではなく、国民年金の任意加入被保険者の特例で被保険者になった場合、70歳以降の被保険者期間中に初診日のある傷病で障害の状態になった時に、原則の保険料納付要件を満たすことはあり得ますから、その場合に障害基礎年金は支給されて当然とお考えになりませんか?
もしそうお考えであるなら、やはりなぜこの質問が出たのか解りません。
そう考えておられなかった(①②はOKだが③の国年法30条に疑義があった)なら、この質問は国民年金の任意加入被保険者の特例の疑問として出るのが自然だと思います。

私は「廃疾は早期の老齢」という考えが過去にあったと書きましたが、国年側の考えとは書いていませんよ。
年金法としての歴史は、厚年の方が20年も古いのですから、厚年側に考え方があったと考えるのが自然だと思います。
また、事後重症等について、厚年が国年と同じ考え方をしていることは上記の通りです。

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poo_zzzzz 2021-09-09 00:23:40

poo_zzzzz様

ご回答拝見しました。

何と申しますか、、、
老厚繰上げを受けた者に対し事後重症の規定を適用しない事等は同じ厚生年金の中での話なのでわかりやすい話です。
でも、老齢の受給権がなく、70歳以上で厚生年金に入った人は厚生年金に入っている主観で、実は国年にも自動的に入っているという形かと思います。
その人が障害状態になったときに、障害厚生年金をもらえるのは当然のことと受け止めるとして、障害基礎年金までついてくるのはちょっと意外な感じに思われるかと思いました。
実際そういう人がいるのか、と考えると極端な形であれ、例を一つ挙げられればいいので、70歳を超えて初めて日本に帰国した人を考えました。
もちろん厚生年金に入る前提なので、国年の特例任意加入者になることは考えません。
なので、国年の疑問として出てくるのが自然と言われても、、、こういう経緯なのでありえないです。

以上が、私が考えた大まかな道筋です。
そこに「廃疾は早期の老齢」という考えをうかがったので、あれ?となったという話です。

ちなみに、70歳を超えて初めて日本に帰国した人が国年の特例任意加入をしたとしたら、まあ、問われれば確かに障害基礎年金を受給できるというのはわかります。

これ以上細かく書くと、その考えは不自然だとか、なぜそれを疑問に思うのかなど、思いもしなかったことについてまであれこれ言われそうなので、ここまでとさせていただきます。

最後に、「廃疾は早期の老齢」が厚年における考え方だったとは失礼致しました。
一律の年齢で区切ることの多い国年側の考えだと思ってしまいました。

疑問は解消いたしました。
今回もご回答をありがとうございました。

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500505  2021-09-09 01:36:30

> その人が障害状態になったときに、障害厚生年金をもらえるのは当然のことと受け止めるとして、障害基礎年金までついてくるのはちょっと意外な感じに思われるかと思いました。

なぜ、「障害厚生年金をもらえるのは当然」なのですか?
一部の例外を除き、障害厚生年金も、もらえないのが当然なのです。
長期海外居住者の高年齢になってからの帰国や、外国人の高齢者になってからの来日は、その例外です。
私の最初の回答にも、「つまり、これらの者は、外国人の場合の例外を除き」と、私は書いています。
以下、これを「外国人等の例外」といいます。

若年~中高年で保険料を滞納していた方は65歳になっても、10年の受給資格期間を満たさない場合は老齢厚生年金、老齢基礎年金を受給できません。
厚生年金保険の高齢任意加入被保険者は国民年金の第2号被保険者になって、国民年金法の保険料納付済期間を積み重ねないと、いくつになっても老齢厚生年金の受給権を得ることができません。
厚生年金保険法、国民年金法共通して、老齢の年金で受給資格期間が問われるのは、国民年金法の保険料納付済期間と保険料免除期間の長さだからです。

障害や遺族も基本は同じです。
ただ、問われるのが、老齢の場合のような期間の長さではなくて、被保険者であった期間に対する割合です。
原則の保険料納付要件は、障害厚生年金、障害基礎年金、遺族厚生年金、遺族基礎年金共通で、「国民年金法の被保険者であった期間」に対する「国民年金法の保険料納付済期間と保険料免除期間」の割合が3分の2以上であることです。

厚生年金保険法、国民年金法共通して、保険料納付要件は、「国民年金法の被保険者期間に対する、国民年金法の保険料納付済期間と保険料免除期間の割合」を問います。
これは基礎中の基礎です。

「保険料納付済期間」「保険料免除期間」は国民年金法にしかない用語なので、以後これを「国民年金法の被保険者期間に対する保険料納付済期間等の割合」と書きます。


外国人等の例外を除き、65歳や70歳以降で老齢の10年の受給資格期間を満たせない場合に、「国民年金法の被保険者期間に対する保険料納付済期間等の割合」で、保険料納付要件3分の2を満たせるはずがありません。
このため、厚生年金保険の高齢任意加入被保険者は、障害基礎年金だけではなく、障害厚生年金も、保険料納付要件を満たすことは、原則としてありません。
老齢のように期間の長さではなく、割合ですから、この状況は任意加入の長さでは解消しません。
「その人が障害状態になったときに、障害厚生年金をもらえるのは当然」ではないのです。

「その人が障害状態になったときに、障害厚生年金をもらえるのは当然」ではなく、外国人等の例外でしか起きえない状況なのに、そういった状況について何の前提も書かずに質問され、かつ、その前提が、基礎中の基礎である、原則の保険料納付要件に係ることであるので、「答えたくない」と書きました。

「その人が障害状態になったときに、障害厚生年金をもらえるのは当然」ではなく、外国人等の場合の例外でしかもらえないのであって、その理由は保険料納付要件を満たしうるかどうかですから、これは厚生年金保険法ではなく、国民年金法をテーマとして論じるべき部分だと思います。
厚生年金保険法も、国民年金法も、原則の保険料納付要件で問われるのは、「国民年金法の被保険者期間に対する保険料納付済期間等の割合」で、共通なのですからね。
国民年金の任意加入被保険者の特例で被保険者になっている状況を考えれば、外国人等の例外を含め、障害基礎年金がもらえる状況と、もらえない状況は簡単に理解できるはずです。
そして、その考え方は、障害厚生年金でも同じなのです。

また、「一律の年齢で区切ることの多い国年側の考え」と書かれていますが、これは何を指すのでしょう?
障害に関しては、厚年も基本は同じかと思いますが・・・
厚年の加入年齢に関しては、平成14年(平12改正)までは65歳であったことは、先に説明しました。
まぁ、もっとも、旧法時代の厚年には加入年齢の上限はありませんでしたから、そこを言われるなら、そのとおりです。
先に「要は、新法になって、障害の年金の制度は基礎年金に合わせた、ということだと思います。」と書きましたが、制度全体も、厚年が国年に歩み寄っています。

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poo_zzzzz 2021-09-09 08:26:04



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