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最初に、教材を見ていないことをお断りします。

時給や日給の場合とは異なり、月を単位に定められている賃金は、一般的に所定労働日数や所定労働時間の多寡に関係なく支払われます。
「一般的に」というのは、月の中途で入退社があった場合や、業務の繁閑や内容による特別な手当があった場合は、その月の賃金は就業規則等を含む労働契約に従うからです。



それにあなたは、お尋ねの部分のテーマを正しく捉えておられません。
テキストの内容は見ていませんが、お尋ねのか所だけでなく、前後を広く読んで意味を考えていますか?
この部分は、「繁忙期から中途入社」や「閑散期から中途入社」が、論点ではないのです。



仮に法32条の4の変形労働時間制が、4月1日から翌年3月31日を単位として行われているとします。

この場合で、9月30日に退社があったときに、4月1日から9月30日の間で、実労働時間を平均し、週40時間を超えた部分(法33条・法36条で割増賃金の支払い対象となった時間を除く)について、法37条の割増賃金の規定の例によって計算した追加の賃金を支払います。

同じように、9月1日に入社があったときに、9月1日から翌年3月31日の間で、実労働時間を平均し、週40時間を超えた部分(法33条・法36条で割増賃金の支払い対象となった時間を除く)について、法37条の割増賃金の規定の例によって計算した追加の賃金を支払います。

この追加の賃金は、法37条の割増賃金の規定の例によって計算しますが、法37条の割増賃金ではありません。
このため、これを支払わなかった場合、法37条違反ではなく、法24条違反(賃金の全額払い違反)が成立します。(H17労基2Dに出題あり)

仮に、実労働時間を平均し、週40時間に足りなかったとしても、法的には何も起きません。
それは、就業規則等を含む労働契約の問題であって、法令が規制する部分ではないからです。



追記
「同じように、9月1日に入社があったときに」という部分を、誤って「同じように、9月1日に退社があったときに」と書いていました。
これでは、何のことか分かりませんね。
申し訳ありません。訂正します。



さて、法は、所定労働時間の多い月・少ない月について、月を単位に支払われる賃金そのものを、コントロールしようとしているのではありません。

「一週40時間(原則)、1日8時間」が法定労働時間で、いずれかを超えれば、即、法定労働時間の違反であり、割増賃金の対象になるのが、労働時間の原則です。
これを、労使協定の締結等、決められた手続きを条件に、定められた期間について、1週平均40時間(原則)を超えなければ、法定労働時間の違反としないのが変形労働時間制度です。

このため、適法に実施されている法32条の4の1年単位の変形労働時間制が、4月1日から翌年3月31日を単位として行われているならば、4月1日から翌年3月31日の間で、休日労働についての割増賃金と、日又は週を単位に割増賃金の対象となった時間(※1)の割増賃金を支払っていれば、あとは定められた1年間の総枠について、1週平均40時間(※2)を超えている部分について割増賃金を支払えば適法です。
※1:休日・時間外労働がある場合の36協定は必要。日又は週を単位に割増賃金の対象となった時間については、昭和63.1.1基発1号、平6.3.31基発181号通達参照。
※2:1年単位の変形労働時間制には、1週平均44時間の特例は適用されない。

これは、この1年単位の変形労働時間制で働く個々の労働者が、中途退社であっても、中途入社であっても変わりません。
休日労働についての割増賃金と、日又は週を単位に割増賃金の対象となった時間の割増賃金を適法に支払っていることは前提ですが、上の例で、定められた期間を通じて1週平均40時間を判断するのは、あくまで4月1日から翌年3月31日までの1年間であり、中途退社であっても、中途入社であっても、在籍しなかった期間も通じて定められた1年間で判断するのです。

中途退社や中途入社で定められた1年間の全部を働かない労働者については、在籍期間に所定労働時間の偏りが生じます。
所定労働時間の偏りがある場合の、その所定労働時間の労働に対する賃金の計算内容は、原則として、先に書いたように就業規則等を含む労働契約の問題です。
お尋ねの「閑散期から入社した場合、逆に給与が減らされるということになるのでしょうか」という疑問の部分もそうで、労働基準法が規制する部分ではありません。
そして、月を単位に定められている賃金は、一般的に所定労働日数や所定労働時間の多寡に関係なく支払われます。
5月のようにゴールデンウィークがあっても、6月のように祝日がなくても、月給部分は同額であることは、変形労働時間制の話を持ち出さなくてもお分かりだと思います。

しかし、定められた1年間の途中で入退社があった場合、実際に在籍した期間について、日又は週を単位に割増賃金の対象となった時間を除いても、1週平均40時間を超える可能性が生じます。
これは、法定労働時間の違反ではありません。先に書いた通り、法定労働時間の違反かどうかは、あくまであらかじめ定められた一定の期間(上記の場合4月〜3月の1年間)で判断するからです。これは変形労働時間制の条文の書き方から「そうなってしまう」部分です。
しかし、労働者個人から見れば、短い時間で帰れる期間が無いのに、長時間労働したのは事実です。
このため、法37条とは別に、割増賃金の支払いを命じているのが、お尋ねの法32条の4の2です。

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poo_zzzzz 2021-09-15 16:14:04



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