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厚生年金保険法/障害者の特例
rouse 2021-09-18 19:58:08
特別支給の老齢厚生年金の障害者の特例についてお願いします。
被保険者資格を喪失している障害厚生年金の受給権者が、
例えば、63歳に報酬比例部分の支給開始年齢に到達するとして、
64歳の時に障害者の特例を請求した場合は、
支給開始年齢に到達した63歳の時点で請求があったものとみなされ、
報酬比例部分に定額部分も合わせた特別支給の老齢厚生年金が支給されると理解しています。
この場合、
もし障害者の特例を請求する64歳までは障害厚生年金3級を受給していたとしても、
63歳の支給開始年齢に到達した時点からの定額部分が支給されることになるのでしょうか。
わかりにくい文章ですみません。
よろしくお願いいたします。
疑問が起きたときはご自身の頭の中の知識を疑い、テキストを丁寧に、それこそ用語の定義に遡るつもりで、広い範囲で読み直す必要があります。
疑問の原因は、疑問が生じたか所以外の場所にあることが多いからです。
「そんな、面倒くさい」と言わないでください。
そうすることで、ジャングルの獣道のように見える法令の構造が、スッキリと整って見えるようになっていきます。
どんなプロ選手でも、必要な基礎トレーニングは繰り返し行うのと同じで、基礎は、通り過ぎた場所ではなく、必要に応じて繰り返し学習すべき場所なのです。
法38条の併給の調整を学習し直してください。
支給事由が異なる年金たる保険給付は、一人一年金の制度により併給されません。
この場合、受給権者が複数の年金たる保険給付のうち一つを選択し、その支給停止を解除して、これを受給します。(法38条2項)
A年金を受給中に、B年金の受給権が生じ、それによりA年金の支給を停止すべき(当然B年金の支給も停止すべき)場合に、A年金が支給されたときは、A年金の支給停止の解除が行われたものとみなされます。(同条3項)
年金の支給停止の解除は「将来に向かって」撤回することができ、受給中の年金の支給停止の解除を撤回し、他の年金の支給停止を解除して、それを受給します。(同条4項)
基礎年金も含め、年金の支給停止の解除の撤回と、別の年金の支給停止の解除は、「将来に向かって」しか行うことができません。
お尋ねの疑問が生じる余地は、ないのではないでしょうか?
参考になった:2人
poo_zzzzz 2021-09-19 07:19:53
早速ご教示いただき誠にありがとうございます。
とても丁寧な解説ですっきりと理解することができ、助かりました。
年金の支給について基礎的な部分の知識があいまいなまま質問をしてしまい、
恥ずかしい限りです。
もっと精進しないといけないと気付かされました。
本当にありがとうございました。
rouse 2021-09-19 08:07:28
丁重なコメントありがとうございます。
切り取られた知識ではなく、重なり合い結びつけられた構造が理解できるよう、学習を進めてください。
今回お尋ねの部分の「当該各号に規定する日に同項の規定による請求があったものとみなす。の部分は、
① 被保険者資格の喪失
② 報酬比例部分の老齢厚生年金の受給
③ 障害の程度
という障害者特例の要素について、障害厚生年金を受けることができるなら③は明らかですから、①②が揃えば障害者特例を改めて請求する必要はないので、「請求があったものとみなす」制度です。
法附則9条の2第5項は、①②③の揃う順序によって、一号が①③→②、二号が①②→③、三号が②③→①に分けて書いてあるに過ぎません。
ですから、最初のご質問の「64歳の時に障害者の特例を請求した場合は、」の部分は間違っています。
63歳の特別支給の老齢厚生年金の受給権発生時に、①③→②の順で「請求があったものとみなされている」のですから、その後には請求できません。
お尋ねの例の場合、老齢厚生年金の裁定請求の際に障害者特例が自動的に適用され定額部分が付きますから、実務的に言えば、老齢厚生年金に定額部分が付くことと、障害厚生年金と併給調整されることと、有利な選択について係員から説明があるはずです。
「遡って権利が発生する」部分が本来のテーマではありませんから、その意味では、私の先の説明も、本来は適切ではありません。
ただ、今回の場合、選択受給の考え方を理解されていないことが明らかだったので、その理解の方が基礎的で重要だと思い、そちらを優先して説明しました。
例えば国年法で行われるべき手続きが、厚年法や住民基本台帳法の手続きにより、しなくて良い場合がありますよね?
お尋ねの部分は、手続きの要否だけであれば、それと似た性格の規定と考えれば、趣旨が理解しやすいはずですし、お尋ねのような疑問もおそらく生じません。
また、年金法においては、ある権利を持っていることが他の規定の適用に影響する場合があり、「いつ権利が発生したのか」が重要になるため、書かれている内容の正しい理解が必要です。
参考になった:3人
poo_zzzzz 2021-09-19 11:17:42
まさか追加でここまで教えていただけるとは、
本当に感謝しかありません。
日本年金機構ホームページの障害者の特例(https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/tetsuduki/rourei/jukyu/20181107.html )にある、
「障害年金を受給中の方は、特例の適用を受けられる状態になった時点に遡って請求したものとみなされ、その翌月分以降、報酬比例部分に加えて定額部分を受け取れます」という記載を読み、
障害厚生年金受給中の人は、後から請求しても遡って権利を発生させることができるのかなと勘違いをしていました。
何度も教えていただけたことで、
自分が障害者の特例の趣旨を理解できていなかったこと、
また何より知識を関連付けて考えることができていないことがわかり、
反省しきりです。
貴重なお時間を割いて論理的でわかりやすい説明をしていただき、
誠にありがとうございました。
rouse 2021-09-19 14:57:30
> 後から請求しても遡って権利を発生させることができるのかなと勘違いをしていました
勘違いではないですよ。
ただ、「障害者の特例を請求」すること自体があり得ないのです。
あるのは報酬比例部分の老齢厚生年金の受給権の発生と、その請求です。
そして、報酬比例部分の老齢厚生年金の受給権の発生時に、障害者特例の請求があったものとみなされます。
しかし、障害厚生年金と老齢厚生年金は併給調整されますから、障害厚生年金を受けていた期間に、重ねて老齢厚生年金が支給されることはありません。
ただね・・・
この併給調整についての年金の支給停止の解除の撤回は、条文では、受給権者の申出について「将来に向かって撤回することができる」と明記されています。
この条文は受給権者の申出に対する条文ですから、保険者側が保険者側の判断で、過去に遡って選択替させることを禁じている訳ではないように見えます。
このため、お尋ねの部分では、遡ることが実務的に行われている可能性はない、とは言い切れません。
年金機構のHPにも、選択替について、「原則として遡ることができない」のように「原則として」と書いてあった覚えがあるのでね・・・
これは、実務で当たっていないので、「そのようなことはない」とは、私には言い切れません。
もし、お尋ねのポイントが、初めからそういった保険者側の扱いについての部分であるなら、失礼をお詫び申し上げます。
参考になった:4人
poo_zzzzz 2021-09-19 17:10:30
私が最初から日本年金機構のHPを示して質問をしなかったせいで、
何度も何度も説明していただくことになってしまい、本当に申し訳ございませんでした。
意図のわからない質問にお時間を使わせてしまったこと、重ねてお詫び申し上げます。
今まで受けてきた講義、見てきたテキストの何倍もわかりやすく、
また丁寧に教えていただいたおかげで、
併給調整、障害者の特例について、より深く理解することができました。
心から感謝申し上げます。
本当にありがとうございました。
rouse 2021-09-19 18:59:20