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一般常識(労一)/就業規則による労働契約の内容の変更についての判例
aoisaki 2021-10-27 20:48:24
使用者は、労働者と合意することなく、就業規則を変更することにより、労働者の不利益に労働契約の内容である労働条件を変更する事はできない、という条文ついての判例でわからないことがあります。
以下がその判例です。
労働契約の内容である労働条件は、労働者と使用者との個別の合意によって変更することができるものであり、このことは、就業規則に定められている労働条件を労働者の不利益に変更する場合であっても、「その合意に際して就業規則の変更が必要とされることを除き」、異なるものではないと解する。
山梨県民信用組合事件 最判平成28年2月19日
①「」で括った部分の、その合意とは、労働者と使用者との個別の合意、のことを指しているのでしょうか?
②また、就業規則の変更が必要とされる、というのはどういった場合があるのでしょうか?
どなたか分かる方がいたら教えてください。
よろしくお願いいたします。
(1)
(a) 労働契約の内容である労働条件は、労働者と使用者との個別の合意によって変更することができるものであり
(b) このことは、
(c) 就業規則に定められている労働条件を労働者の不利益に変更する場合であっても
という、(a)(b)(c)の後に続く「その合意」ですが、これが何を指すのかは、(a)と(c)が「このことは」で結ばれていることにより、説明の必要はないと思います。
(2)
労働契約は私契約ですから、その変更については双方の合意があればよく、書面の作成や変更は必要ありません。
労働基準法15条及び則5条は「労働契約の締結時(期間契約の更新を含む)」に限って、書面による通知を求めています。
また、この不確かさを埋めるために、労働契約法4条2項は「労働者及び使用者は、労働契約の内容(略)について、できる限り書面により確認するものとする。」と定めていますが、これは努力義務であり義務ではありません。
つまり、労働契約の内容である労働条件の変更において必須なのは、使用者と労働者の合意のみです。
しかし就業規則は労働基準法89条によって、作成時も、変更時も、就業規則を作成し、行政官庁に届け出なければなりません。
就業規則に定められている労働条件を変更する場合は、使用者と労働者の合意だけでは足りず、就業規則を変更する必要があります。
つまり、就業規則に定められている労働条件を変更する場合の必須な事項は、労働契約の内容である労働条件の変更と同じではありません。
判決文は、労働契約の内容である労働条件の変更と対比している都合上、そのことを言っているだけです。
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poo_zzzzz 2021-10-28 11:24:32